07 人形と爆弾
07 人形と爆弾
好樹は暗号の紙を手に取ってバレッタに言う。
「おーい、目的のものが見つかったから帰るよ。」
「ちょっと待って!ここにぬいぐるみがあるの!」
みーくんが何かを言う。
「…みんと、………。」
「え、何?」
「あの人形が置いてある机の下の箱の中身は爆弾かもしれない。」
(わー、なにこれ。すごく可愛いわ。)
バレッタは人形に手を伸ばす。
好樹が何かわめいているがそれはもう聞こえない。
「バレッタ、触るな!」
バレッタは人形をしっかりつかんだ。
「バレッタ、それは爆弾かもしれない!」
(…爆弾?上の世界で戦うときに使われるという、あの兵器のこと?)
バレッタの頭の中は真っ白になっていく。
急に人形が振動し始めた。
ぽとっ。
バレッタは人形を落とした。
(あの、塵一つ残さず、辺りを吹っ飛ばすという?)
箱から鼻をツンと突く異臭が漂ってきた。
走り出す好樹に、みーくんが鋭く言った。
「ミント、あのテーブルの右側は、もし爆弾が爆発しても安全そうだよ。」
「ありがと。」
ミントはバレッタを突き飛ばした。
…突き飛ばしたはいいものの、焦燥感が無くなったために恐怖が勝ってしまったのだろう。足がすくんで動かなくなってしまった。
「みーくん、ガードとかお願い。」
「そんなもの、使えないよー。」
みーくんは困った声で言った。
視界が白で染まった。
ズドン。
そんな音と地響きが起こり、教会から煙が一筋、立ち上った。
村長を初めとした村のみんなは何が起こった、とただ煙を見つめていた。
好樹は恐る恐る目を開けた。
最初は暗闇に目が慣れなかったが、ろうそくの明かりが手伝って、ようやく見えるようになってきた。
右前方でバレッタがパタッと倒れる音がした。
急いでかけ寄る。
「怪我は?」
「大丈夫よ。そこまで痛いところは無いわ。それより、どうして私を助けたりなんかしたの?」
消え入りそうな少女の声で、好樹は見栄を張ってみたくなった。
「僕は、時々自分でもバカじゃないのかと思うようなことをやるのさ。」
「そう…説明になってないわね。」
バレッタは弱々しく微笑んだ。
「あ、確かにそうだな。」
(恥ずかしい。)
好樹は顏を赤らめる。
「…まあ、とにかくありがとう。おやすみ。」
「おやすみ。」
そして、バレッタは意識を失った。