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第三中学友人会  作者: 金ヶ崎 悠
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エピローグ プロローグ

「やっとできたな、新年会。一月の終わりかけだけど」


「四捨五入すれば二月だけどな……年明ける前から企画してたのにな」


「好きだよな。四捨五入。にしても、もう高校生活も終わるんだよな……」


「懐かしいな」


「色々あったし、戻りたいとは思えないけどな」


「一色が色々……ね……」


「だったら肉食べんなよ、糸魚川。川につり糸に魚。ブラックバスもニッコリだぞ」


「あ! 俺の育てたタン! それに俺の好きな魚はブリとマグロだ。淡水魚は御免だね」


こんな他愛もない話は久しぶりだ。俺と一色は大学受験生だった。というよりは指定校推薦で一足先に大学が決まっている高校三年生。一色とは、高校は違うものの進学先の大学は一緒。いつもは七人だったせいか少し寂しいが、今は合格の祝賀会もかねて焼肉屋に来ている。全員の受験が終わってからと思っていたが……


「二年前の新年会も今頃だったか」


「そうだな」


中学時代に仲良かった七人が新年会と銘打って開いた同窓会もちょうどこの日だった。俺は中学に上がると同時に転校したから知り合いは誰一人いなかった。

そんな俺に最初に話しかけたひょうきんなヤツがいた。そいつは代田といって今でも集まる七人のうちの一人。俺を一色や他のみんなと出会うきっかけを作ってくれた中学時代の英雄だ。同窓会のメンバーは俺以外同じ小学校。普通であれば完全にアウェイなのだが今やホーム。本当に感謝している。


「一色、二年前は一番安いコースだったのに今は一番高いコースだ」


「それだけ成長したってことだろ」


「そうだといいんだけど」


変えられない過去を悔やんでも意味がないと言い聞かせて、ここまで駆け抜けてきた。果たして正解だったのだろうか。


「そうに決まってる。流れるような高校生活じゃなかったろ?色々あった。QEDだ」


俺に今一番必要なものはQEDではなくAEDなのかもしれない。ただの食べ過ぎだといいのだがお腹が痛い。俺の内に秘めているバハムートが下っている。良かった病気じゃない! ……なんて言ってる場合ではない。バハムートを見せてはいけない、当たり前だ。


「ちょっとトイレ行ってくるわ」


極限状態で俺は便器に座る。戦いの末、俺は勝利した。敵ながらあっぱれと手を打ちたくなるほどの善戦だった。そのせいかなんだか眠くなって……

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