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精霊騎士である為に  作者: 雪那 由多
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妖精騎士

予約投稿です。

すでに前回の日付を覚えてないのでいつ投稿なるかわかってません!<ちゃんと確認!

「所でこの子だけどなんて言う子なの?僕初めて見る子なんだ」


可愛いと言ってさっきから足元に寄り添う真っ白な狐を小さくしたような妖精を抱え上げ博士へと見せていた。


「珍しいな。フェイヘイじゃないか。こいつは本来ならもっと標高の高い寒い地域に住んでいる妖精だ」


図鑑もなく一発で言い当て、その上生息地域まで覚える記憶力に感嘆の溜息さえ出そうになるが、博士はとたんに難しい顔をし


「今すぐ森を出よう。ランはその子を連れて来い。契約はするなよ」


言って口笛を一つ。

ピーッ

あまり長いともいえない合図でリコの実を食べていたシェムブレイバーが揃っていた。

リコの実で口の回りも服を真っ赤に染めているのも気にせずに、けどリコの実は抱きしめたまま集まった彼らに


「チェルニはこれから最短まで街に出る道の先行になれ。人が居たらすぐ知らせに来い。

 アウアーとルクスは空から探索だ。この森にフェイヘイを連れてくるような人物がいないか探せ。

 プリムは俺達の護衛だ。

 それとラン」


言って真剣な目を向ける。


「シュネルはいるか?情報収集を頼みたいのだが」


いつのまだろう。

ランの妖精のシュネルが羽音も立てずにランの頭の上に舞い降りた。

それから体が淡く輝きその光が私達へと飛び込んできた。

輝きは語るよりも鮮明だった。

聞いた事のない言葉と見た事のない鎧を来た男達が沢山の妖精を連れてこの森を歩いていた。

視点がシュネルだからか頭の中の映像は早くてよく判らないけど、どうやらその男達はウェルキィの森へと向っているようだった。


「ちっ、作戦は変更だ」


言って胸ポケットから赤いリボンをチェルニに括りつけ


「最速でアルトの所まで行け」


言ったとたんその姿はぶれるように、光の帯はあっという間に森を抜けて言った。


「急いで森を出よう。プリムは同行、アウアーはしんがり、ルクスは先行してくれ」


鞄からショートソードを取り出しシェムエルの名を頂く森の主シェムブレイバーの案内で道なき道に飛び込む。

博士はなれているのかショートソードでざくざくと雑草を切り払い道を作って進む後をついていく。

教壇に立てば立ち見もできる年に数度の特別講義は入学を決め手からは毎回出ていた。

たった二つ年上なのにストイックなまでの講義と、大人顔負けの理論の論弁。嫌がらせにも近い質問にも見事応じ、見事叩き伏せる。憧れるには十分だ。

だから、


「こんなワイルドな先生だなんて思わなかったわ」

「俺も。すっげー頭がよくってすっげー妖精使えるって位にしか思ってなかったけど」

「意外とタフって言うか」

「アバウトって言うか」


森自体に道は無いから自分達で切り開く物だが、ある程度獣道とか何度か通った事で出来た道もあるが、こうやって切り開く斬新さはまだ持ち合わせてなかった中でランがポツリと言う。


「家の中でも森の中でも大して変らないじゃん」


なんとなく不安を覚える一言だったが無駄な体力は使いたくなかったから聞き逃しておいた。

それから小一時間する間もなく森を出た。

あそこまで2時間ほどかけて獣道を抜けたのにあっという間だった。

足や手は草や木の枝で傷だらけだけど一番近くの村がすぐそばにあった。


「何でシェムエル村が目の前に・・・」

「俺ら二時間かけて行ったはずなのに」

「同感」


予想外の場所から現れて偶然通りかかった村人は驚いていたけどブレッドは上空を見上げていた。

何を見ているのかと思えば空に一筋の光。

ブレッドが手を上げたかと思えばルクスが上空に舞い上がり光がくるくると絡み合ったかと思えばゆっくりと舞い降りてきた頃には大きな影が頭上を覆った。


「ティルル!」

「私も一緒です」

「ジル先生!」


ランの嬉しそうな声にこの方がティルシャルの主人かと有名なのに初対面な事を改めて気が付いた。

ノヴァエスで医者として生計を立てていると言うジルベール・ヴァレンドルフは短い銀の髪を手櫛で整えながらブレットに一枚の服を渡し、受け取ったその勢いで赤を基調とし金の飾りが付いたコートを羽織った。

よく見れば同じ物を身に纏っていて、そのコートの仕立ては思わず息が止まる思いに駆られる。


「妖精騎士の制服だ」


この姿に憧れて私達は妖精使いを目指している。

滅多に出会うことのない彼らが今目の前に二人も居るのは貴重な体験。

いつか私もこの赤いコートを着るのだと夢見心地で眺めるも


「本部には今アルトが向っています。我々は村の村長に協力を求め公民館を作戦室にお借りします。状況は?」


コートのボタンを留めながらブレッドは私達にもついてくるように手招きして村の公民館へと向えば、ティルシャルの姿に村長は既に公民館の鍵を開けて建物の前で待っていた。


「フリューゲル騎士団妖精部隊ジルベール・ヴァレンドルフとブレッド・アクセルです。ご協力感謝します」


ジルベール・ヴァレンドルフはぴんとした背筋を伸ばして騎士団の礼を取るのを送れて私達も礼をする。

村長は私達に眉も顰めるも


「院生ですが手伝い程度の人員にはなります」


ブレッドの的確すぎる説明に村長は納得し、私達は苦い思いだけが広がる。

そりゃ一年生だし体力も知識も何もないけど栄えある学院に入学したのだからもう少しぐらい評価してくれても良いのにとおもっていれば


「ラン、シュネルをもう一度偵察に出してくれ。出来れば上空からの足取りを確認だ。急いでくれ。

 ジル、黒板にシュムエルの森とウェルキィの森の略図だ」


ランは慌てて外へと飛び出し、言えば難しい顔をしたジルベールはそれでも言われた通りに地図を書いていく。

その隣でブレッドがこの村の位置に村名を書き森の池や崖、目印になる岩などを書き込んで先ほどいただろう場所に×印を書いた。


「お前達は椅子を片付けて机を中央に寄せろ。要らない物は……」

「裏の倉庫に運んでください」


村長が早速村人を集めて椅子をどんどん片付けていく中に私達も混ざる。

椅子が片付け終わる頃に


「ブレッド!」


ランが部屋の中に入ってきたと同時にシュネルがあの光をブレッドとジルベール、そしてランに向けて放つ。

今度は私達には見せてくれなかった。


「これは……」


呟くジルベールとは反対に


「予想通りウェルキィの森に向ってるな」

「ええ……」


言いながらブレッドは黒板の略図に疑いもせずあの鎧の男達のルートを書き込んで行く。

ジルベールは先ほどから何か書いていたものを筒に入れ


「ティルシャル、レオンハルト公に使いをお願いします」


それだけを言えばティルシャルはごった返している人込みを音もなくすり抜けあっという間にレオンハルト公の屋敷の方へと向かって行った。


「ルクスは護衛だ。行け!」


言えばあっという間に姿がなくなり、光だけがキラキラと舞っていた。


「ブレッド、僕達は他に何か手伝う事は?」

「本部の設営が出来たら騎士団が集るまでやる事は無いからな……」


言いながらも地図を書いた横にも何か書いていく。

その一番上にはガーランド国と言う文字が書いてあった。


「ガーランド国……」

「フリュゲールの北隣の国だ。千年以上続くこの周辺では一番古い国だな」

シュネルが見せてくれた映像を元に部隊の情報を書きながら、まだこの辺りの地理に詳しくないランに説明を始める。

「領地面積はフリュゲールと南西隣のヘリオール国を合わせてたぐらいで大きく五つの部族で成り立っている。

なんども戦争して統合した名残だ。

 領地面積は大きいがフリュゲールとの境のガムザ山脈を始めガーランド北側は数千エール級の山が連なり、東の海側は海抜0エール地帯で満潮の時は海に浸食されて草の生えない不毛地帯。

 元々は今の首都ガーランドがガーランド国の始まりの地で小さな国だったが、冬は厳しく夏は短い地域で豊かな土地を求めて南下を始めたのが巨大国家の成り立ちだ。

 最初は近くの集落や村を統合しながら領地を広げ、今から800年前の戦王ガルフォード・ガーランドが当時海まで続く大平原の一大国家だったスミルナ公国を戦争で落としてからガーランド国の発展の始まりになる。

ガルフォード・ガーランドがスミルナ公国の姫を娶り、他の王族は王権剥奪、首都ガーランドの城に幽閉、貴族階級は解体して一般市民。事実上の人質と乗っ取りで掌握。

 もちろん周辺国からの援軍対策には姫を共に兵を引いて戦争に出て、周辺国もまとめて手に入れたと言う、今の時代から見ても戦略と手際のよさは舌を巻くほどだ」


言った所で黒板には兵力の分析が書き終わった。


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