変わらぬ人生
「あの黒い影みたいなのはなんだったんだろう……」
あの影は転生させられている最中の俺に【干渉】してきた。
今も転生している最中のようで周りが光で覆われているが今はあの影のことで頭がいっぱいだった。
「《見つけた》……って言ってたな。どういう事だ?」
考えても答えは出ないまま、周りの光が収まり始めた。
「考えてても仕方ない。これからの転生人生を楽しもう。」
そして意識が暗転し次に目を覚ましたのはベットの上だった。
周りには数人人が居る。
「呪われた子……」
「こんな髪はありえない。」
「適正属性がない……」
「呪われてるんだ……」
どうやらあまりいい予感はしない
しかし更に聞こうとしたが生まれたての体では体力がないのか、眠くなりそのまま眠ってしまった。
[5年後]
俺は前の人生の体と同じ体で生まれたらしく銀の髪に黒の瞳、女と見間違えるほど整った顔、その年の男の子にしては小さい体で、うまれた。
五年たっても逞しく成長する感じはなく、小さいままだった。
この5年間で分かったことがいくつかある。
一つは普通髪の色は銀はありえないということ。
金は逆に素晴らしいとされている。
黒い目は呪われていると思われるらしい。
主に貴族に。
その点にプラスして適正属性がわかる魔道具に生まれた頃検査されたらしく、適正属性がないことが分かっている。貴族でなくても人は適正属性を持つらしく、そこで余計に呪われていると思われたわけだ。
俺の生まれた家はガルフ王国にある貴族家、それも国を支える3大公爵家の一つ、アルディア家だ。
3大公爵家はそれぞれ
鉱物を担うディトリア公爵家
食料を担うソリアーノ公爵家
国防を担うアルディア公爵家と
何か重要なことを担っている。
俺は実力派のアルディア家に生まれたのに体も小さく力も弱い、更には適正属性も無いことから公爵家の子供なのに使用人よりも下として生活させられている。
もっぱら屋敷の掃除、洗濯、料理の下拵えなどをさせられ、倉庫で寝泊まりさせられている。
けど、前の頃と何も変わらないから何も思わない。少し孤児院や拾ってくれた家より広い、いやだいぶ広いが、前の人生でしていた事と、掃除や選択の量が増えたことぐらいしか代わりのない生活だからだ。それに前の頃よりご飯は美味しい。流石は貴族の[残飯]なだけはあるな。まぁ、前の俺を引き取った家のご飯はカップラーメンとかだったからな。
仕事が済めばあとは表に出てくるなと倉庫に戻される。そこから寝るまでは自由な時間だ。思う存分【魔法の練習が出来る。】
完全創造魔法じゃない、普通の魔法。
普通の属性魔法から禁術と呼ばれるもの、更には失われた古代魔法なども練習する。
なぜ適性がないのに使えるのか。それはある時まで時を遡る……
[3歳のある日]
3歳のある日、俺はとある仮定を思いついた。
「魔法が使えないって言ってたけど、完全創造魔法も魔法だ。ならば魔法が使えないんじゃなくて体が該当する魔法について無知なだけじゃないのか。」
そう思って教本をつくった。完全創造魔法から。
それは俗に言う魔道書と呼ばれるものだった。魔道書は1冊で城が買えるほどの金額になる代物。
それを終始はポンと生み出した。
彼は勉強において基本の教材以外前世では使えず、今回の生においても、勉強どころか机すら無かった。
だから彼は作り上げたのだ。自分が学ぶべき物の教本をだ。
机は作らなかった。そんな物が無いはずのところにあったら疑われること間違いなしだからだ。
それに比べて本なら倉庫の、厳密に言えば酒蔵の酒樽の間に隠しておける。
そう思ったからだ。そして彼は学び出し、魔法の訓練は始まった。
シリアスが帰ってきた。
逃げろ!