無自覚と悲しみ
『さて、じゃあ早速能力をあげまくろうか。』
「そんなに上げて大丈夫なのか?何か制約があったりしないのか?」
『んーないわけじゃないんだけどね。確かにね?上げまくりすぎていきなり強くなった自分に酔って他の世界に行って暴れたりするやつもいるからね。』
「俺はそんなことはしないよ。そんなの辛いだけじゃないか。」
『そういうことが言えるなら問題ないよ。』
「そう思ってもらえて何よりだよ。」
『じゃあまずは状態異常と属性に対する完全耐性をあげるよ、超越たる私があげる耐性だから何事においても効かないよ。そこらの神や龍達の属性攻撃すら無効にする文字通り完全耐性だよ。』
「いきなり凄いな。状態異常って言うのはどんなのがあるんだ?」
『例えば毒とかモンスターからうける麻痺とか、火傷とかそういった体に悪いと判断されるもの全てだよ。』
「手を火の中に突っ込んでも?」
『火傷しない』
『猛毒を飲んでも?』
『死なないし効かない』
「凄いとしか言いようのないな。」
『あとは攻撃系スキルと防御系スキルかな。』
「?、なんだそれは?」
『このスキルって言うのはね?レベル毎に技や恩恵に預かれるんだよ。』
「例えば?」
『剣スキルだったらレベル1で剣の速度が5%上がるよ。』
「それってどうなのかわからないな。」
『まぁ、レベル無しとレベル1じゃ大した差はないかな。』
「大きくなっていくとそれだけ強くなるのか。」
『えくせれんとー。そのとおりだよ。』
「今さっき言ってた龍ってあの童話とかに書いてある奴のことか?」
『そうだよ。代表的なモンスターにゴブリンとかもいるね。』
「ごぶりん?なんだそれ。」
『おや?ゲームはしたことないのかい?』
「ない。義兄さんはやってたけど俺はやったことは無い。」
『……それはどういう意味かな?』
「おれは孤児院で育って引き取られて生活してたから。やしなってもらってるのにそんな贅沢はいえないよ。」
『……いらない事を聞いたみたいだねぇ。ごめんよ。』
「?なんで謝るんだ?おれは幸福だったぞ?」
『どこがだい……?』
「ひきとってもらえて、1日に2食も食べさせてもらえたんだから。」
『……』
「偶に殴られたりしたけどヘマをした時ぐらいだったから。」
そう言うとビスは悲しそうな顔で抱きしめてきた。
アレッタ・マキナも抱きしめてきた。
みんな悲しそうな顔で。
「おいおい、どうしたんだよ?」
『きみは自覚してないようだね……今はただ抱きしめさせてくれないかい……』
「い、いいけど……」
その後しばらく俺はビス達に抱きしめられ続けた。
ちょっとシリアスな感じになりましたがまだシリアスはやって来ます。
と言っても次はふつうに戻りますけどね