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斬雪   作者: de@co
第一幕夜乃英雄第一章過去の闇
2/8

②過去

〜幼少期〜

〈斬衛門〉

三河のある村

「おぬしらか!火ノ助を殴ったのは。」

十二歳の刄ノ助は自分より一尺も背の高い男たちに向かって言った。

「生意気な幼子であるな。」

その男たちは一気に殴りかかってきた。

刄ノ助は持っていた木刀で応戦する。

一人怪我をさせた。

が、すぐに殴られて倒れこんだ。

「兄者!」

弟の火ノ助は刄ノ助に近寄るのだがまた蹴られ、転ぶ。

「殺してしまうか?」

「そうじゃのう。」

そこに、

「やめておけぇ!」

と役人が流れ込んで来た。

「にげろ!」

男たちは逃げた。

「刄ノ助!火ノ助!大丈夫か!」

父の藤兵衛の幼なじみで役人の宗右衛門が言う。

「はい。」

宗右衛門が手を貸してくれたので刄ノ助は立ち上がることができた。

火ノ助も、その後に。

「刄ノ助、無茶なことをするでない。藤兵衛も悲しむ沿い。」

「かたじけない。」

その日は問題なく家に帰れた。が、次の日の朝は悲鳴で目が覚めた。目覚めた時、藤兵衛は刀を持って刄ノ助に近寄った。

「火ノ助を連れて逃げるのじゃ!」

「父上!なぜ!」

「父もすぐに追いかける。」

「は、はい。」

「良いか刄ノ助。これからどんな辛いことがあっても拳を握って、我慢して、誰かを助けることができないか、第一に考えるのじゃ。」

「はい。」

「はやくいけぃ!」

刄ノ助は火ノ助を連れて走った。

ひたすら、ひたすら。

その夜は空腹の中二人で身を寄せ合って寒さをしのぎながら寝た。

翌朝、どうすれば良いか思案したところ、宗右衛門のところへ行くことを思いついた。

自分の身を守るため、刄ノ助も火ノ助も脇差しを持っている。

良かった。

宗右衛門のところへ向かう。

「火ノ助。良いか?これから宗右衛門殿の家へ行く。腹が減っただろうが宗右衛門がなんとかしてくれるだろう。もう少しの辛抱だぞ。」

「あ、兄者・・・」

火ノ助はよろよろと立ち上がり、前を歩く刄ノ助の後ろについて来た。

薄暗い森を抜け、厳つい武士が歩く街をフラフラ歩いた。

「兄者・・・」

「耐えろ!」

半刻ほど歩き、宗右衛門の屋敷に着いた。

裏口をノックすると下女が来て怪訝な顔をした。

「我らは竹中藤兵衛の倅刃ノ助にと火ノ助にございます。宗右衛門殿にお会いしとうございます。」

「少々お待ちを。」

下女が引っ込んだ。しばらくすると宗右衛門が笑顔で出て来た。

「刄ノ助、火ノ助どうしたのじゃ?」

「実は・・・」

刄ノ助はことの成り行きを説明した。

「中に入れぃ」

家の中に通された。

「そうか・・・実は黙っておったのじゃが、藤兵衛は忍者団に精通している役人に狙われておったのじゃ」

「その役人とは?」

「わしじゃ!」

「ぇ?」

刄ノ助は後ずさった。

「刄ノ助、生きておっとのじゃのう。死に損ないめが!」

宗右衛門が刀を抜いた。

「三代名刀・斬鉄!」

刀に血の跡があった。

「この血は父上のものか!」

「そうじゃ!」

宗右衛門が刀を振り上げた。

刄ノ助は脇差しを抜いた。

振り下ろされた斬鉄をよけた。

畳に斬鉄が突き刺さる。

足の筋肉に力を込めて飛び上がり、脇差しを宗右衛門に向かって突き出した。

見事命中し、宗右衛門の腹から血が垂れて来る。

「じ、刃ノ助・・・・」

「父の仇!」

宗右衛門が倒れる。

「子供に殺されるなど馬鹿な男よのぅ」

後ろから強そうな男とその手下らしき四人が出て来た。

手下の一人が刀を抜いて刃ノ助に向けた。

「御免」

その時火ノ助が動いた。

刃ノ助しか見ていなかった男の足に向かって脇差しを刺したのだ。

「ぐおっ」

男は倒れる。

「くそう!」

その横の男が刀を抜く。と、

「やめておけぃ!こやつらなかなか見所のある奴らやないか。滝谷所屋敷に連れて行ったらいいんでねぇか?」

と棟梁らしき男が行った。

「でも滝谷所屋敷には親分が行く場所でねぇか!」

「わしは教官になるんじゃ。手土産に将来が望めるガキ達を連れて行ったらええんでねぇか?」

「それもそうだ。」

「滝谷所屋敷とはなんだ!」

刃ノ助が叫ぶ。

「伊賀にある忍者の養成学校だ。」

「そこに連れて行って何にするんだ。」

「忍者だ。」

「断る。」

「ならばここで貴様らを斬る。」

「それは嫌だ。」

「ならば着いてこい。」

「火ノ助、お前は忍者になるか死ぬかどちらがいい?」

「忍者になる。」

「わかった。そこの親父。私等を忍者にしてくれ!」

「良いだろう。わしは左門だ。お主らは?」

「わしは刃ノ助」

「僕は火ノ助。」

「そうか。」


〈紅蓮〉

「どうらっ!」

風は幹を倒した。

「風。もう少し手加減してくれよ。力の差を考えろやい!」

「拙者は将来月次組のトップで戦う人間だ。仕事現場や戦場では手加減をしたら何をされるかわからん」

「・・・・・」

ここは滝谷所屋敷。忍者の養成学校で、ここにいる子供達は闇忍者団月次組にエスカレーターで入る。

風は十歳、首席の生徒だ。

風はニ年前に死んだ忍者・空の倅で、親はいないがここできちんと育っている。

「おい!風!」

教官の庵衛門が呼んで来た。

彼は新米だ。だが、力もあって風自身は気に入っている。

「はい!」

庵衛門に近寄る。

「これから新しい教官の左門というものが来るのだが、左門が二人新しい新しい生徒を連れてくるらしいのだ。兄弟なのだが、その兄弟の、面倒を見てやって欲しいのじゃ。」

「喜んで」


次の日、左門が来た。

一人子供を連れている。

「二人連れてくるのでは?」

庵衛門がきくと左門は

「途中で盗賊に襲われたので売って来たしだいでございます」

「そうでござるか。」

「こちらは弟で、火ノ助と申す。」

「こちらが指導の風でござる。左門殿、よろしくお頼み申す。」

「はっ」


「風、こちらが火ノ助だ。」

「ひ、火ノ助?」

「そうか。お前はここから出たことがないんじゃったな。この男は武士の倅だ。武士の倅は元服すると名前が変わるのだが、元服するまでの名前を幼名というのじゃ。それが火ノ助だったってとこだ。そちの名前は忍名だ。まあ火ノ助には忍名を与えるのは少し先だ。」

「そうでしたか。火ノ助、わしは風だ。これからそちの指導をする。頼むぞ。」

火ノ助は風の方をちらっとみて会釈した。がその後左門を睨む。

「兄者をかえせ」

火ノ助の目から涙がこぼれる。

左門の目が緩む。

「兄者をかえせ!くそぅ!」

火ノ助は左門になぐりかかった。

左門は顔に拳を受ける。

素人の子供にしてはなかなかいい拳だ。

火ノ助は左門を殴り続ける。

風は見兼ねて火ノ助を止めに入ったが左門が

「殴らせてやれ!」

と鼻血を垂らして言うのでどうしようか迷っているところだ。

火ノ助が二十発殴ったところで左門は火ノ助を抱きしめた。

「火ノ助ぇ!刃ノ助の事は!許されないことをしたんじゃわしは!だがな!刃ノ助はおめぇを守るために自分の身を売ったんだ。わしのことは恨んでもぇぇ!だけど兄ちゃんがおれから離れて行ったとかそう言うことは絶対に言うんじゃねぇぞ!いつか兄ちゃんに会うためにお前は立派な忍者になれよぅ!」

火ノ助にはその言葉の意味がわからなかったのか、涙を流してただだ立っていた。


〜転機〜

〈斬衛門〉

・江戸

夜・・・・・・・・・・・

「何者だ!」

「中村五郎太。戸田残衛門殿を斬りに参った。」

「闇討ちか。」

残衛門は鞘を握った。

残衛門は幼少期、刃ノ助と名乗っており、親を殺されて忍者として育てられるための旅の途中に盗賊に売られ、その後盗賊にも捨てられた。そこで戸田晃衛門に拾われ、晃衛門の養子にはいった。

今は党首で在ると同時に奏電流の達人だ。

「中村殿、その大太刀は田宮流の居合術か?」

「その通りだ。」

居合術は鞘から刀を抜くのが勝負だ。早々に刀を抜くことはない。

「拙者は奏電流だ。」

言うと同時に刀を抜く。

刀を持って走り出す。

五郎太の近くに寄り、右腕を引く。五郎太が刀の柄を握ると同時に残衛門の刀が五郎太の首を一閃した。

五郎太の首は遠くへ飛ぶ。

刀を鞘にしまい、息を吹いた。

五郎太は江戸の北条家一番の人斬りだ。

もう、後戻りはできない。


三月前

「戸田殿は酒に強いのう」

松下三郎右衛門が残衛門に言う。

「松下殿は弱いのですなぁ」

「「はははははははははははは」」

その後半刻ほど飲み、店を出た。

「戸田殿でないか!」

途中で知り合いと会ったりして歩いていると薬屋から養父の晃衛門が出て来た。

「父上!どうしたのですか?」

「ここの店主に元気が出る飲み物をもらったんじゃ。元気が出たぞい」

「それは良かったですねぇ!」


翌月家に早く帰った。

「ただいま帰ったぞ」

まだ妻の辰はいないようだ。

一人で上がり、鞘を腰から抜いて持ったまま襖を開ける。

そこには見知らぬ男が三人。

「何者だ!」叫ぶとその後ろに倒れている人影が在る。

晃衛門と辰だ。

どちらも血を流している。

「貴様ら何者じゃぁ!」

残衛門は身構える。

「丹月堂の者だ。」

一番偉いと思われる奴が答えた。

丹月堂と言えば残衛門もよく行く商店街の一店である薬屋だ。

一月ほど前晃衛門がそこから出て来て何か薬をもらったと言っていた。

刀を抜き、絶対に口を割らなそうな偉そうな奴を斬った。

「うおぅ!」

他の二人が取り乱した。

二人とも口が軽そうだ。

刀を横にして斬りやすかった方を斬る。

「あ、あ、助けてください。」

「あぁ助けてやろう。」

「この御恩、一生忘れませぬ!」

その男がこの場から逃げようとしたので捕まえた。

「誰も逃がすと入っておらぬ。お主はこの二人より辛いのじゃ」


その男は金兵衛と言う商人だった。

金兵衛によると丹月堂は大麻と言う日の本では禁止されている薬を売っていたと言う。

大麻は依存性が高く、体に悪影響を及ぼす。丹月堂は晃衛門に最初は無料にし、それから少しずつ、我慢できなくなるまで値段を上げて来た。

いまになっては高額で取引したと言う。

晃衛門は依存してとてつもない借金をし、支払いをしないなら殺すと言われ、殺されたらしい。

戸田奏電流の開祖は晃衛門で、残衛門以上の使い手なので、おかしいとおもっていたが、ようやく辻褄があった。

それを止めに入った辰も殺された。

取り敢えず丹月堂に行ってみようと思い、入った。

「いらっしゃ〜い」

言われたと同時に男の近くによる。

「主人を呼べ」

「わしが主人でごわす」

「大麻をくれ。」と囁く。

「黄色?」

「?」

「漢方でっか?」

「斬って欲しいのか?大麻をくれ」

「ウチで大麻なんてもの売ってないでごわすよ」

わけがわからなくなって店を出た。

家に帰ってから金兵衛にその話をした。

「痛い思いをしたくないのなら行った方が良いぞ」

「へぇ。黄色って言うのは合言葉さ。黄色と言われて南蛮草と答えるのさ。そうすると誰かの紹介だとわかって大麻を売ってくれる。なんで大麻を買うんだ?」

「そんな事はどうでもよかろう。」


次の日大麻を買い、調査を始めた。

裏路地に入る。いかつい男達に睨まれながら堂々と歩く。

「おのれは何様のつもりじゃぁ!」

一人が殴りかかって来た。

周りの者を見て猪口才で酔っているだけの男だと確認した。

刀を抜き、並々ならぬ剣さばきで男の腕を斬る。

「ぐぁっ!」

男は倒れる。

周りのもの達が逃げ始める。

すぐそこにある古民家に入る。

「嵩兵衛殿!残衛門だ。」

「おうおう残衛門殿ではないですか!何の御用でしょうか?」

背の低い人の良さそうな男が出て来た。残衛門は懐から袋を出す。

「これの発信源を突き止めて欲しいのじゃ。買ったのは丹月堂だ。」

「へぇ」

それから間も無く、嵩兵衛から連絡が来た。

「こりゃぁまずいでっせ。正規の道で、ダメなものを清から輸入しているんです。」

「つまり、北条氏直が関わっていると?」

「へぇ」

「後ろ盾が大きすぎる・・・・・」


翌月、闇討ちにあったが、撃退した。

大麻密輸入を残衛門が嗅ぎ取っていることが北条家にばれたようだ。

その夜、家に男が十五人ほど押し寄せて来た。

「戸田残衛門だな。」

一斉に男達が刀を抜いた。

「おとなしくついてくるのなら今すぐは殺さない。」

「いいだろう。」死を覚悟した。


「入れ!」

残衛門は男達に縛られて氏直のいる部屋に入る。

「こやつが戸田残衛門にございます。」

「残衛門よ、妹のお達が恋しいか?」

嫌な予感がした。

「はっ」

「死んでほしゅうないか?」

「はっ」

「ならば、残衛門、北条家の人斬りとして働かぬか?」

腕が震えた。生きる道が開けたのだ。そんな事できるはずがないのに。

自分の死か。大量の人の死か。

心を決めた。

「私、戸田残衛門。北条家の人斬りとして働かせてもらいとう存じます。」

氏直がにんやりと笑った。

「よかろう。」


三年後・・・・・・・・・・

「斬衛門よ。謀反を起こそうと企んでいる柴上藤助を殺して来てくれ。あそこは用人が三十いるらしい。」

北条氏は滅亡し、今忠誠を誓っている相手は徳川家康だ。

だが基本残衛門に命令をするのは多田航兵衛である。

今は人斬りとして名を馳せ、斬衛門と呼ばれている。

「おぬしの血刀で一人残らず殺して来てくれ。」

「御意」

残衛門は平伏した。


少し忍びのような服装に腕には甲冑。腕だけ重くすると刀を振りやすいのだ。そして腰には血刀をつけて夜の道を歩く。

柴上邸につく。

門番に話しかける。

「ここら辺に宿はないか?」

門番は持っている槍を構えるのをやめ、立てた。間合いを詰める。

「そこを真っ直ぐ、ぐおっ!」

門番の首が道を転がる。

扉を開ける。

用人がたくさんいる。

ざっと見たところ、三十。

鞘を抑える。

「斬衛もぉーん!」

一人が槍を持って来た。

突き出された槍をよけ、懐に潜り込み、腹を一閃する。

「がっ」

左足を軸にしてくるりと回り、後ろから狙って来ている長身の大太刀男の股間に向かって血刀を突き出す。

「だぁ!」

後ろから刀で斬られそうになったので前転してよける。

そのまま血刀を返し、男の胸を斬る。

前にいた細い男を斬り、その後ろの男に血刀を突き出す。

そうして倒している間に残りが一人になった。

「その刀、血刀であるか?」

「おう」

「人の血が滲み、通常の刀から妖刀になったという異例の妖刀・血刀。その力、見してもらおう!」

男が刀を抜く。

「三代名刀・空蛇か。」

「中村太郎右衛門。だあ!」

隙のない形で太郎右衛門が向かって来た。

血刀を握り締め、構える。

空蛇をよけ、腕を斬る。

「腕かっ!」

刀を持っていた腕落とした太郎右衛門が歩き出す。

「見苦しい!」

体を斜めに斬る。

血刀を鞘に収める。

藤助の部屋へ向かう。

襖を開ける。大広間が広がっている。人が六人いる。

その中に藤助もいる。

「ちっ、月次か。」

そこにいる藤助以外の五人はは忍者団・月次組だ。

伊賀が本部だが、江戸に支部ができたと航兵衛が言っていた。

「月次組。済まぬ。死んでもらうことになる。」

近くにいたごつい男に向かって血刀を抜き、振り上げた。

その男の胸から血が溢れ出す。

「斬衛門を殺せ。」

そう命じたのは江戸支部の一番忍者・蝉だ。残りの三人が構えた。

「江戸支部二番忍者・兎」

「江戸支部三番忍者・午丑」

その中の二人が忍者刀を抜いて飛びかかって来た。

午丑の手首を斬る。

動脈が切れ、血が飛び出す。

兎が忍者刀をを突き出して来たので後退する。

兎も動脈を切る。

「斬衛門。やるな。」

蝉が前に出て来た。もう一人の忍者が前に出たがそれを遮り、

「風。拙者が相手をする。」

「はあ、」

蝉が小刀を抜いた。

構える。

「たぁ!」

良い剣さばきだ。がよける。

蝉はすぐに態勢を整え、後ろ蹴りをしてくる。

右足を軸にしてよけ、血刀を振り下ろす。

「ぐぁっ!」

膝下が落ちる。

蝉は倒れ、風と呼ばれる忍者に言った。

「にげろぉ」

「風とやら。逃がさんぞ。」

風が薄笑いを浮かべる。

腰から苦無を取り出し、まだ意識がある蝉に投げつけた。

『グサッ!』

「斬衛門よ。蝉よりわしが弱いとでも思っておるのか?」

「どういうことじゃ!」

言うと同時に風が苦無で斬りかかって来た。

速すぎて後退する。

かすって服が破ける。

血がにじむ。すかさず左したから斬り上げる。

風はバク転をしてよける。

そのまま回って斬る。

「ぐっ!」

風の胸が浅く切れる。

「斬衛門、やるなぁ」

「おぬしこそ。」

風が蹴り上げたので後ろに飛び、左手で脇差しを抜き、投げつける。

風の右手に当たり、苦無と人差し指が落ちる。

風は左手を腰に回し、苦無を取った。

「妖苦無・龍聖か。なぜ貴様のようなものがそれを?」

「教官であり、今は亡き宗次郎殿が死に際に渡してくれた。幼少期一度これを使ったことはあるが、それ以来腰に収めるだけにしておいた。」

「そうか。風よ。」

風が飛びかかって来た。

隙だらけだ。

「これが血刀のちからだぁ!」

血魔を出す。

「人の恨みや未練が詰まった刀!この血刀に貴様の血も混ぜればより強くなる!」

途轍もない速さで風の腹を横斬りしようとする。

「妖苦無・龍聖!」

龍聖から白龍が出る。

眩い光が残衛門を包む。

血と光がぶつかり合う。

二人はそのまま倒れた。


「おい!起きろ!」

侍五人くらいに囲まれる。

刀を取られ、力も抜けているので抵抗できない。

手錠をかけられる。

「こやつらは全員殺したのか?」

「一人生きている。」

「まあいい。藤助に逃げられた。罪は重い。」

牢に入れられた。

航兵衛はこちらを見て鼻笑いをした。


〈紅蓮〉

「風、いよいよ元服だな。」

教官である庵衛門に言われる。

「庵衛門殿のおかげでござる。」

「そんなことはぁないさ。江戸に行くと火ノ助にも会えなくなるのう」

風は月次組の江戸支部に行くことになった。

「寂しい気持ちもないことはない。でも拙者がいない事で火ノ助が成長するのなら良いでござる。」

「さすが火ノ助の兄は違うのう!」

「わしは兄ではなく友でござる。火ノ助には忘れられない本当の兄がいるようですから。」

「そうだな。おーい!火ノ助!左門!」

そこに火ノ助と左門が来た。

「風。また会おうな。」

火ノ助がにっこりと笑った。

左門は風に笑いかけた。

言葉ではない見送りだ。

風は火ノ助に向かって言った。

「火ノ助よ。達者でな。」

その日、風は伊賀から江戸へのきついたびへ出発した。


江戸に着いた。

庵衛門とともに江戸支部の暖簾をくぐる。

「徳之助殿!庵衛門でござる!」

庵衛門が叫ぶ。徳之助とは江戸支部の責任者だ。

「おお!庵衛門殿ぉ!あと風殿!よくおいでなさった」

徳之助が言う。

「どうも、風でございまする。」

「風殿、早速仕事についていただきたい。風殿に入っていただく班は蝉の班だ。」

「せ、蝉・・・・」

蝉は江戸支部一番忍者だ。

蝉の班は江戸支部の実力者四人が集まる班だ。その中に・・・・

蝉の班の面々は

蝉。火ノ助と同じく小刀で戦う。

午丑。忍者刀の達人。兎と連携。

兎。忍者刀の達人で午丑と連携。

蜂左衛門。蝉の一番弟子で小刀型。


三年後・・・・・・・・

蝉班の仕事に慣れ、江戸支部四番目の実力になった。

蜂左衛門を倒したのだ。

それから蜂左衛門とはギクシャクしている。

徳之助に呼び出された。

「蝉班よ。柴上藤助を守ってくれ。異例の金が入る。恐らく、斬衛門が斬りに来る。」

「ほほう。」

蝉が薄笑いを浮かべた。

「一度手合わせをして見たかったのですよ。」

「五人は柴上殿のそばにおれ。門の裏に用人三十二人を入れさせる。恐らく全員殺されるだろうがな。」

「「「「「はっ」」」」」


柴上藤助のそばにいて、外で残忍な音が聞こえる。

兎、午丑はもちろんのこと恐らく蝉にも勝てる。

斬衛門がどれほどのものか、楽しみである。

足音が聞こえる。襖が開く。

自分たちが着ている忍者着の袖なし版を着ており、腕には甲冑をつけている。鼻まで布がかぶさっており、よく顔がわからない。

斬衛門が唾を吐く。

「月次組、すまぬ。死んでもらうことになる。」

言うと同時に斬衛門は蜂左衛門を斬った。

兎と午丑も簡単に斬る。

蝉の膝下を斬った。

今だ!

風は腰から苦無をだし、蝉に投げつける。蝉は死ぬ。

「斬衛門よ、蝉よりわしが弱いとでも思っておるのか?」

二人は戦った。人差し指が落ちる。

お互い妖武器を使ったので揃って倒れた。


目を覚ますと斬衛門はいなかった。

死体が転がっている。

そこに2軍の童衛門班が来た。

「風殿。蝉殿達は・・・・」

「殺された。呆気なかった。斬衛門とわしは互角に戦ったのじゃが、相打ちじゃった。気がついた時には斬衛門はいなかった。」

「そうでござったか。」


藤助を助けたことが認められ、伊賀の本部へ移動となった。

本部には火ノ助もいる。

嬉しい。


伊賀に着いた。徳之助には最初、滝谷所屋敷に行けと言われた。

入る。

「風でござる。」

「おお!風か!」

おくから庵衛門が出て来た。

「庵衛門どの!」

庵衛門は風を抱きしめる。

「火ノ助と左門殿は?」

「火ノ助は本部におる。左門は潜入官になったんじゃ。」

「左門殿が?」

「あゝ。」

「それは大出世ですねぇ!」

「俺も頑張らなきゃな。」

「そうですね」


「風、君は蝉を殺した斬衛門と互角に戦ったそうだな。」

伊賀本部no.3の徳右衛門に言われる。

「はっ」

「これから四人組の精鋭忍者班を作ろうと思うのじゃ。入ってくれぬか?」

「よろこんでっ」

「よし!これで班名が決まったぞ!四人組の風林火山じゃ!」

「風とはわしでございまするか?」

「あゝ、林は林之助。火は火ノ助。山は山だ。」

「ひ、火ノ助・・・・」

「ああ!そうであったな。火ノ助とそちは滝谷所時代の同志で兄弟同然であったな。」

「はぁ、」

「よし!風林火山に決まりじゃぁ!」

風林火山の会合室は月次組の本部・上野城の一室だ。

通される。そこには火ノ助ととてもがたいのよい男がいた。

「火ノ助!」

「風!」

火ノ助が立ち上がり、近寄って来た。

「火ノ助、大きくなったのう」

「蝉殿より強くなったとは誠か?」

「そんな!滅相もない。運が良かっただけだ。その証拠に、ほら。」

切られた人差し指を出す。

「痛々しいのう。」

「本当だ。」

「あっそうだ。この方が風林火山の山・山さんでござる。」

「おお!あなたが。よろしくお頼み申す。」

「こちらこそ。よろしくお頼み申す。」

「山殿は武器を使うのでございますか?」

「鉤爪を。」

「ほほう。妖武器を持っているのですな?月次四大妖武器の一つ、龍碧の持ち主とは山殿のことでございますな?」

「そういう風殿も、龍聖の持ち主ではないですか。」

「林之助殿は?」

「持っております。」

「龍朱ですか?」

「おお!龍朱は火ノ助でございますよ!」

「え?」

「風、そんなに驚くことはなかろう。」

「火ノ助、まさか強くなったのか?」

「叩き斬るぞ」

「ふふっ。そうだ!山殿、今度手合わせを願います。」

「楽しみですなぁ。」

そこで襖が開いた。背が高く、腰に長柄の大太刀をつけた長身の男が立っていた。

「おお!林之助!」

「山か、それに火ノ助。あなたが風殿か。」

「林之助殿か。よろしくお頼み申す。」

「よろしくお頼み申す。」

「風、この林之助は伊賀忍者斬殺術六段を持っているんじゃ。四大妖武器の一つ、龍紫を所持しているのも林之助じゃ」

「林之助どの、手合わせしませぬか?山殿も。」

「よし!いいだろう!」

山が立ち上がった。

横に置いたあった南蛮風の箱を取る。

「闘技場に半刻後、集合じゃ!」

火ノ助も立ち上がり、鞘を背中に刺した。

林之助だけ立ち上がらない。

「林之助殿、行きますぞ。」

風が声を掛けると、林之助は

「おぬしらはお互いを知る行為が戦うことなのか?」

「何言ってやがる!」

火ノ助が刀の柄に手を掛ける。

「火ノ助ぇ!」

風は叫ぶ。

「それでも構わぬ。互いを知る行為は戦うことしかないのだから、戦ってくれぬか?」

「仕方ない」

林之助が横に置いたあった龍紫を持って立ち上がった。

「半刻後だぞ。」

そう言って部屋を出た。


半刻後・・・・・・

風林火山は闘技場に集まった。

下っ端忍者の泰平が行った。

「勝ち抜きにしましょう」

一試合は林之助対火ノ助だ。

火ノ助は屈み気味で林之助の様子を見る。

「伊賀忍者斬殺術とは居合術のことなのか?」

大太刀だったので聞く。

「違う」

「はぁっ!」

火ノ助は飛び上がって背中から龍朱を抜いた。

振り下ろす。

林之助は左手で鞘ごと刀を抜き、鳩尾に柄頭を食い込ませる。

火ノ助は後ろに勢い良く飛ぶ。

林之助が右手で鞘から龍紫を抜く。

目が穏やかになった。

龍紫を舐め始めた。

火ノ助の体に鳥肌が経つ。

こんな林之助始めて見た。

刀を握りしめ、走り込む。

林之助が刀を振った。

風が起きる。

「どうよ!これがくノ一よ!」

林之助が高い声で言う。

「林之助、なんでござるかその声は」

火ノ助は聞く。

「林之助?それは私の亭主だ。私はくノ一、月影。」

「小芝居は体に悪いでござるよ!」

火ノ助は足の筋肉に力を込め、跳ぶ。

刀を突き出す。林之助は斜めに刀を振る。

なるほど。林之助の闘い方の拍がわかった。

一拍遅く刀を振ることで敵の油断を促す刀の振り方だ。

二拍遅く行けば良いのだ。

素早く林之助に近寄る。

刀を振り上げる。足で拍を取り、一歩後退する。

林之助がこちらに向かって来た。

大太刀とは思えぬ速さで斬って来る。

人には闘い方の拍がある。

それを読めば絶対に勝てる。

そのようなことを中心に火ノ助は滝谷所屋敷で勉強して来た。

林之助は先ほどと拍が全然違う。

目は死んでいる。

火ノ助はよけるのにやっとだ。

拍が何と無く掴めた。右、左、左、左、右、右、左、右、左左の順でよけるのだ。

右によけた時、急に刀を突き出して来た。目が鋭い。

右手に当たり、龍朱が飛んで行く。

手のひらから血が出る。

首筋に龍紫が当たる。

「林之助・・・」

「わしは一じゃ。」

「はじめ?」

林之助の目が変わった。

「火ノ助、おぬしには話しておらなかったな。わしは多重人格なんじゃ。一人目は既に死んだわしの家内、くノ一の月影の人格、もう一人は槍の名手、宗田一の人格、もう一人は土左衛門という百姓の人格じゃ。土左衛門は長刀で最後まで刀狩りに反抗したと言う。

本名は知らないが、土左衛門という仇名で呼ばれていたいたそうだ。」

「・・・・・・・・・・参った。」

次は風対山だ。

「山殿、準備を。」

「おう。」

山が箱を開け、根元から爪が折れた鉤爪を右腕につけた。左腕にも付ける。

爪を前に倒し、金属の留め具を付ける。

首を回し、関節を鳴らす。

風は腰から一本苦無を取り出す。

三大苦無・奏度だ。

山は龍碧を突き出す。

風は後ろによけ、思い切り跳んだ。

「おわりじぁっ!」

上から奏度を山に向かって突き出す。

山は両手の龍碧をバツ証にして受け止める。風は後ろへ飛ぶ。

「なかなかやるのう」

山が笑い、龍碧を振り上げる。

風の着物に切れ目が入る。

「山、やるのう!」

風は奏度を山に投げる。

山は見るからに驚き、龍碧で弾く。

その間に風は腰に手を回し、右手で龍聖、左手で普通の苦無を取り出す。

弾いて広がった山の右手は無視し、そのままの左手に普通の苦無、首に龍聖を当てる。

「ま、参った。」

「どうじゃ!」

そこに俊兵衛が入って来た。

「風林火山!初仕事が入ったぞ!」

「おう!」

山が言う。

「林之助、勝負はお預けじゃ」

「知らん。」


〜関ヶ原の戦い〜


〈斬衛門〉

「おい!斬!」

門番から残衛門に声がかかる。

「な、なんだ」

「上様が来た。」

「上様?」

「徳川家康様じゃ!」

「え?」

そこにふくよかな人の良さそうな男が来る。

「そちが、斬衛門か?」

「戸田、残衛門にござる。」

「まあ良い。今外の世界では太閤秀吉公が死に、わしの世の中となった。これから三成と天下分け目の合戦を行う。山奥に逃げ込んだこぼれ球を斬って欲しいのじゃ。特に大名をじゃ。」

「何を、今更。」

「お主がここに入ってから人斬りを他に雇ったのじゃが、お主とくらべると弱いのじゃ!」

「行ったら、どうなるのですか?」

「わしがかった暁にはお主に高い地位を与える。」

残衛門は笑う。

「喜んで。」

話を聞くと山奥に来たこぼれ球を中田五郎右衛門と山本湖兵衛とともに斬るらしい。

仕事が終わったら五郎右衛門と湖兵衛を斬り、逃げる。

それで良い。

牢から出され、着替えをした。

「明後日、出陣じゃ。」

すると航兵衛が来た。

「斬衛門よ、久しぶりじゃのう。」

「航兵衛様、お久しゅうございます。」

「ほら、これをやる。」

航兵衛は残衛門に袋に入った刀を渡した。

袋を取ると見覚えのある鞘と柄が見える。

「血刀で、ございますか?」

「その通りじゃ。いつかおぬしが戻って来るじゃろうと思い、誰にも与えなかったのじゃ。」

何を言うかっ!牢にわしを入れたのは貴様だろぅ!

と言いたかったが、ぐっと堪えた。

「ありがたき幸せ」


二日後・・・・・・・

山奥に五郎右衛門と湖兵衛と行った。

五郎右衛門は長身の堅物。

湖兵衛は中肉中背でお調子者。

「五郎右衛門殿、どれくらいの人が来るのでしょうか」

「わかりませぬ、ですが大勢が来ることは確かです。」

「そうですな。」

「お二人さん、そう緊張しなくとも斬ればいいのですぞ!ひひっ!ワシは徳川2番の人斬り、五郎右衛門は一番の人斬り、残衛門殿は伝説の人斬りじゃ、なんとかなるわい。」

そこへ、明らかに戦が怖くて列から抜けた、若者が来た。

恐らくこの戦が初陣だろう。

「そこの若人、しねぇ!」

湖兵衛が刀を抜き、その若者を斬った。

「へっへ。無惨な湖兵衛様よ!」

横の五郎右衛門が明らかに拳を握っている。

残衛門は薄笑いを浮かべ、湖兵衛に近づいた。

「湖兵衛殿・・・・・・・」

「ん?」

残衛門は血刀を抜き、斬った。

「あ、斬衛門‥‥」

「残衛門殿!」

五郎右衛門が柄を握った。

「黙っておいてくれぬか?」

そこで戦始まりの笛がなる。

「それは、できませぬ。」

「なら、正々堂々戦うしかないのう」

「大層な自身ですね。」

「立ち合いでいいだろう。」

五郎右衛門が刀を抜いた。

構える。あれは、一刀流か?

向かって来た。横に回って刀の背を抑え込み、そのまま少しずつ五郎右衛門側に刀をずらし、胸を斬った。

「五郎右衛門殿、結構な腕で有った。」

刀を突き刺す。

五郎右衛門の息が絶えた。

そこにたくさんのこぼれ球が来た。

残衛門は息を吐き、こぼれ球に混じって走った。

それからとにかく走り、流れに身を任せて西へ走った。


〈紅蓮〉

「お主らにも次の戦で石田殿率いる西軍に加勢して欲しい。」

徳右衛門が言う。

「どこで合戦だと考えられまするか。」

山が聞くと徳右衛門は

「美濃じゃ。関ヶ原あたりではないかのう。」

「そうですか・・・・・・・」


二日後、風林火山の四人は馬に乗って美濃へ向かった。

風を受けながら火ノ助はこう言った。

「戦とはどういうものなのじゃ。わしらは最前線で戦うそうじゃないか。」

「大丈夫じゃ。私等なら心配することはない。」

林之助が言う。

「私等のことを忘れるなよ。」

山が冗談を言う。

「土左衛門は出さぬ。わしと月影だけでなんとかするわい。」

その中で風だけは気持ちが浮かばれなかった。

父をなくしたのが戦場だからだ。

父の空は仲間と出陣し、全滅した。

まあ、父とは技術面でははるかに上回っているが、戦の規模が比べ物にならない。


着き、忍びとしての動きが憚られないくらいの甲冑を身につけ、風は尻上、火ノ助は背中、林之助は腰、山は腕に武器をつけた。

「いよいよか・・・・・・・・」

火ノ助が緊張している。

始まった。

風は奏度を抜き、走り出した。火ノ助は視界に入れておく。

回って斬る。その後ろにいたやつの首に足をかけ、ジャンプする。

『ボキッ!』

そのままその男から飛んだ。

背が異常に高く、そこからでも首に苦無が当たる奴に斬りかける。

横を見ると林之助が林之助のまま次々と斬っている。

火ノ助も持ち前の身体能力で地面に足をつけずに続々と斬っている。

山も周りのものを流れ作業で刺したり斬ったりしている。

だが一人の太刀が山の流れ作業を止める。

風も知っている刀の名手、伊東一刀斎だ。

山の顔が険しくなり、龍碧を振り回す。

一刀斎は俊敏によけ、山の背中に回った。

「だぁっ!」

早かった。山は死んだ。

林之助の動きが早かった。

もう一刀斎に斬りかかっていた。

一刀斎は受け止め、弾く。

林之助は後退する。

そして最上段で構えた。

一刀斎はしたから突き上げるように刀を突き出した。

林之助は最速で振り下ろす。

林之助の大太刀は一刀斎の刀よりも早く、顎に突き刺さった。

周りのもの達が揃いに揃って動きを止めた。

敵達は一刀斎と山の亡骸にたかった。

少しでも高価なものを探しているようだった。

風は感情を抑えきれなくなった。

火ノ助も、林之助ものようだ。

風は龍聖を抜いた。

「貴様らぁっ!」

龍聖から黄龍が出る。

こんなの初めてだ。

横を見ると龍朱から朱龍、龍紫からは紫龍が出ている。

三体の龍は周りの男達を一気に殺した。

林之助は息を吐いた。

「風、火ノ助。お前らは逃げろ。忍びの仕事にも嫌気が差していただろう?」

「お主は!」

「月次組に帰る。お前らのことはごまかしておくわい。」

「・・・・・・・すまぬ。火ノ助、行くぞ。」

「風!行くのか?」

「これからは人の役に立つ仕事をしよう。」

火ノ助は泣き始めた。

「わかった!り、りりりりん、の、すけ。達者でな。」

「おう。」

風と火ノ助は走り始めた。

その方向は、西。


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