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第1章 第1話

第1章


第1話



何かがおかしいと感じる今日この頃。なぜか体が動かない。


本当に動かない。


腕や足を動かすことすらとても億劫で、息までもしづらい。胸の上に石でも乗っけてるのかと思うほどで。でも、石を乗せて寝る趣味はもちろん俺にはなくて、誰かのいたずらかと思ってもそんな一歩間違えれば大惨事になるような、タチの悪いいたずらをしかける友人にも思いあたらない。なので、もっとも考えたくない金縛りだったらどうしようと、現在俺は絶賛混乱中である。

しかも、目が開いているはずなのに視界が悪い。白いもやを眼球に貼られているみたいに視界は不鮮明で状況判断ができなくなっている。これはかなり、イライラする事態だ。何度瞬きをしても視界が悪い。


「あああああ…ぶううううう…」


しかも、これですよこれ。なぜかしゃべれん。なんでなんだ。なんとか意識があることをアピールしていると、巨大な何かが覗き込んできたのがわかった。


(ギャーーーー!なんだーーー!)


咄嗟に驚きすぎて声にならない叫びを心で叫んでいると。


「あらあら、おっきしたのね。よい子ね。お母様ですよぉ。」


(………?………はい?今なんと?…えっ?……ってうっわっ!!)


突然の浮遊感に驚いてみれば、ふわふわのすばらしい弾力が左側から感じられてつい手が伸びました。…いや、他意はないよ、なんていうかな、条件反射だから。男の子には必ずあるあれだから。皆が持つ反射神経だよね。

腕が動かないとかは関係ないよ。だって反射神経だからね。ほら火事場の馬鹿力ってやつとかがね。そんな感じなんだよ。………うん、ごめんなさい。

「カッツィーロ?どうしたの?どこか痛い?」

ひどく心細そうに話かけてくるこの女性に、無性に罪悪感を刺激され慌てて素晴らしい弾力があるらしき場所から目をそらし、女性の顔がある当たりに視線を向ける。


やっぱり、よくわかんねぇ。褐色の肌色と目に痛いくらいの赤い髪はわかるんだけどな。なんで外人に抱きあげられてんだよ。

誰か答えをくれ!!この何にもわからん状態はめちゃくちゃストレスになるわ。叫びだしたいほどなのに、この体のしんどさの方が勝ってて考えることもめんどくさくなる。





死んだ覚えもないままに、俺赤ちゃんになってました…。

と、絶賛混乱中の俺ですが。なぜか、母親らしき人に謝られ、父親らしき人に謝られ、お手伝いさん?っていうかメイドさんかな、に嫌そーな目で見られる。

だんだん眼が見えるようになってから判明したことです。今はばっちり見えております。そしたらなんだか変なんだよな。ヨーロッパ調の室内に水色の髪と眼の色をした女の人たちと深紅の髪と眼の色をしたきりっとしたきつめの美女。たぶんこれが母親かなって感じなんだよね。一人服装が豪華だし。お母様とか自分のこといってるしね、間違いないだろう。それとごくたまにやってくる父親だろう人。濃紺のストレートの髪に黒に近い青い目で、穏やかそうな美男子なんだよ。これは俺も人生勝ち組っぽい。絶対そうでしょ。遺伝的に顔面の形は保障されたも同然でしょ。ただ気になるのが、まれにしか見ないから多分お妾さんではないかと思うんです。玄関でお見送りとか、連れて行かれる時もあるからね。

だからなのか、メイドさんがなぜか俺に触るのをめちゃくちゃ嫌そうにするんだよね。やっぱりお妾さんの子供だからか?

ただ言えることは、この赤ん坊にはでかすぎる赤い宝石のついたネックレスと耳についてる大きめのピアスが邪魔っていうことかな。風呂に入れてもらう時にネックレスはずされると、体が軽くなるのに気付いてなんとかはずそうともがいてたら、メイドさんに見つかって全力で元に戻されちゃったよ。あの時は怖かった。美人なお姉さんの必死な形相マジ半端ねぇ。

うん。外さないから許して。ちょっとちびっちゃいましたけどそれも許してね。


まあ、体が上手く動かんから実際には外せないんだけどね。宝石付いてるだけあって重たいからね。

目がなんとか見えるようになってからは、周りを観察することだけを楽しみに生きてるけど、このネックレスはなんかの呪いなのかな。まじでこれ付けてるとしんどいんだけど。中世ヨーロッパって感じだからね。赤ちゃんに呪いとか付けちゃうのかな。


とか思っていたら、何やら不思議現象が目の前で繰り広げられてるんですけど。いやいやいや、それはないでしょ。ないない。と必死こいて否定するんだけどね。何にもないところから水とかが出ちゃってる場合は、どうゆうリアクションが正しいと思いますか。

ちなみに俺は、石化したね。数十分は固まった気がする。まじで。


なんじゃそらーーーー!!!


ですよ。もう目ん玉飛び出るかと思った。だって、メイドさんの一人が空の桶を床に置いて、その桶の中に青色のシャボン玉みたいな光りの玉が突然現れたと思った瞬間にはそこに水が溜まってたんだから、おしりの不快感すら忘れたね。おしめを変えてもらうという苦行すら、気がつかない内に終わっていた。ちなみにこの家はお金持ちみたいで、おしめの交換の度に水で洗ってくれる。だからいつでも清潔でうれしんだけど、お年頃の娘さんたちにされるのは、憤死しそうなくらいですよ。


ああ、ここは日本のってゆうか、俺の生きてた世界の常識が当てはまらないという事をやっとみとめました。認めましたとも。認めざるおえないでしょう。そんなもん見たら。俺の34年間はなんだったんだろうか。灰になりそうです。


なんて、常識と闘ってみたけどこの赤ん坊になっている時点で今さらなことに気がついたので、深く考えないことにしてみました。うん、その方が精神的に正常だよね。深く考えない。スルーって大事なスキルだよね。

今大事なのは、なんとしても生き残ることだと感じてます。なんせ、メイドさんに嫌われちゃってるのが地味にこたえるんだよね。赤ちゃんって女性の庇護欲を、そそるようにできてるっていうのは嘘なんでしょうか。以前テレビで言ってた気がするんですけど。俺泣かないようにがんばってるんだけど、それでもだめなんでしょうか。できるだけ迷惑にならないように空気読んでるんですけど、空気読めるスキルって大事でしょ。


ああ、誰とも会話できないってしんどいわ。動けないし。もうちょっと大きくなったら絶対に、このネックレスとピアスの重さとしんどさをアピールせねば。


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