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序文

我が愛する娘エッダに

 地球の皆さん、初めまして。私はいま、火星のマーシャルノーズ研究所で、この原稿を書いています。


 木星の衛星ガニメデで、人類が初めて宇宙生物、すなわち地球外生命体を発見したのは、いまからおよそ50年前。そしてそれ以降、人類は次々と新たな生物を発見していきました。

 最初の10年は、ガニメデで100種類以上に及ぶ生物を。そして以降は、太陽系の外でも次々と新しい生物が発見されていきました。


 ガニメデで発見された最初の宇宙生物ジューリック(joulic)は、当時の人々にとってはまさに奇怪な生物でした。

 地球のカタツムリに似た形状をしており、カタツムリの殻に相当する部分の直径は1mm程度。そこに無数に生えた微細な毛で、水中を泳ぎ回っていました。泳ぎ回る、というよりは、掘り進む、と言った方が適切かも知れません。ジューリックは、殻を発熱させることで氷を融かし、その中を進んでいたのです。

 ジューリックは、ガニメデの地中深くに住んでいます。ガニメデの大地は氷で出来ており、その中には、わずかながら硫化鉄が含まれています。彼らは、それを食べて生きていたのです。

 ジューリックの発見により、宇宙は私達地球生命体だけの物ではないことが、証明されました。また同時に、私達は決して特別な存在ではないこと、そして孤独な存在でもないことが、証明されたのです。


 宇宙生物の研究は、日を追うごとに過熱しています。生物の存在する星をひとつ見つけることは、同時に、数千、数万種類もの新種を一度に発見することに等しいからです。その膨大な数の新種たちを、私達は毎日調べています。

 日々更新される宇宙生物図鑑。私は、地球の皆さんにその一端をご紹介し、少しでも宇宙生物を身近に感じていただきたいと思い、本書を執筆しました。


 本書のために自身の研究結果をご提供下さったニコラス・バロウ様、各惑星の地質学の知識をご教授下さったサラ・ホーガン様、私が執筆している間に研究を肩代わりして下さった上司・同僚の皆様に、多大なる感謝を捧げます。




コレット・R・ダイアモンド

21XX年15月 火星、北ヴァージニア大陸にて

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