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豚肉とタケノコの買い方

作者: 鶴ヶ友護
掲載日:2026/08/08

 スーパーに入って一番に感じたのは、夏空の鬱屈した暑さとは正反対の涼しさだった。

 天国……。そう呟きたくなる程この場所は居心地がよく、可能なら住まわせてほしいくらい。

 豚肉とタケノコはどこに……。

 客の少ない時間帯だから、ゆっくり買い物しても迷惑にはならないだろう。

 そんなことを考えながらまずやってきたのは精肉コーナー。

 様々な肉が陳列された赤いエリアにて、お目当ての品はあるのだろうか?

「……ああ、あった」

 テロリン。

 なんと豚肉を見つけた。

 脳内で独り言をつぶやきながら手に取ったそれを買い物かごに入れ、次なる場所へ。

 今度は緑のエリア。

「タケノコ、タケノコ」

 呟きながら見て回っても、それらしい姿はない。

「あれ~」

 ないのか~と思いながらもう一度見て回ると──。

「……」

 やっぱりなかった。

 しょうがない。みんなタケノコが食べたかったのだろう。うまいもんな、わかる。

 未練がましい思考を二秒後にはどこかへ捨てて、レジで会計を済ませて店の外へ。

 店の外へ……出たのだが。

「すぅー」

 もうちょっとだけ店内にいよう。

 外暑いし。

 灼熱地獄に旅立つにはまだ早い。

 もう少し居心地のいい温度になってから。

 頭の中で自分を納得させ振り返り、もう一度店の中へ。

 なにやら店員さんがこちらを見ている気もするが関係ない。

 だって俺は買い忘れをしたのだ。

「タケノコどこかな~」

 誰に向けたわけでもない呟きを漏らして、とりあえず左へと歩みを進めた。

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