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「笑顔が嘘くさい」と言ってきた転校生が恋人の親友になった  作者: 小槻みしろ/白崎ぼたん


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十一話 幸人の独白

 幸人は、眠る和希を見下ろしていた。和希は苦しそうに、眉をひそめる。悪い夢でも見ているのだろうと思った。頬を手で包んでやると、表情が和らいだ。


「和希」


 幸人は、そっと抱き寄せる。温度を求めるのか、寄り添ってくる和希に、愛しさがこみ上げる。ずっと泣いて、自分にすがっていた。

 ずっと家で虐げられてきたせいで、和希は自分のことを、周囲の言うとおりの悪人だと信じ切っているところがあった。和希が笑顔を手放せないのは、ただ母を守って、生きていくために必要だったからなのに。


 初めて会った時、和希の美しい目の奥に、ふらりと悲しい色が揺れた。

 気になって、幸人は、和希のことを構った。今にして思えば、しつこいくらいだったけど、和希はいつも、嬉しそうに笑ってくれた。その顔が、輝くみたいにきれいで、幸人は夢中になった。和希の目が、きらきらすると、幸人はこの上なく甘い感覚になった。それを幸福だと知った。

 いつだってかわいいけど、俺といる時の和希が一番かわいい。

 それは、きっと思い込みではない。そう信じたくなったころ、幸人は和希に告白した。


 和希はぽかんとして、それから泣きだした。失敗したか、と焦ったけど、和希はうなずいてくれた。


「僕も、幸人が好き」


 嬉しかった。それは、叫び出したいくらい。思わず和希を抱きあげて、ぐるぐる回ったくらいだった。和希は顔を真っ赤にして、笑ってくれた。

 これで、一生一緒にいられる。そう思った。


「そういうことでもないよな……」


 幸人は、苦笑する。和希の頬を包んで、そっと額にキスをする。ずっとそばにいたい。離れることなんて、絶対に考えられない。

 けど、和希はどうなんだろう。きっと、和希だってそう思っているに違いない。そう漠然と信じていた。けれど。


「俺のこと好き?」


 眠っている和希に、尋ねる。手に入れたと思った瞬間から、だんだん臆病になっている自分がいる。たぶんそれは、もっともっとと求めているから。

 離れたくない。和希にも、そう思ってほしい。けれど、和希の気持ちが見えない。自分を必要としてくれているのは、この上なくわかるのに。

 和希が悲しい思いをしたあとでも、こんな不安な気持ちになるなんて、自分は恋人失格だ。

 和希は、遠野のことを「立派で頼りになる人」だと、褒めていた。幸人にとって不愉快なことではあったけど、そんな遠野にこんな風に裏切られて、さぞ傷ついただろうに。

 ぎゅっと、和希を抱きしめる。このまま抱きしめていたら、絶対離れられなくなったらいいのに。全部、自分のものになることが、和希の一番の幸福であればいい。


 幸人は、和希の唇にキスをする。寝息さえ、奪ってしまいたかった。




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