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第3話:君への思いに気付いた日。


ピピピピッ...ピピピピッ...


「んぅぅぅ...」


目覚ましを止め起き上がろうとするが瞼と身体が重くて起きれない。昨日夜遅くまでリストに思いを馳せてたせいで寝る時間が遅くなってしまった...


でも早く起きて朝食を作らないと妹の健康に支障をきたす。


そんな事を思っているといつの間にか起き上がっていた。


布団から出てパジャマ姿のまま階段を降り洗面所に向かう。


パシャン!


「よし!」


顔に水を浴びた私は目が覚め意識がはっきりとしてくる。顔を拭いたら今度はキッチンへとむかう。


妹には健康に育って欲しい為眠たい朝でも気は抜かない。今日はご飯に目玉焼き、ウィンナーとキャベツにしよう。あっ味噌汁も入れないとね。やっぱり朝と言ったらこれだね。朝食ついでに自分のお弁当も作る。


「朝が来る前に♪消えた星までの地図を♪キミへの歌に変え♪地の果て...」


お気に入りの歌を歌いながら朝食を作ってると階段をゆっくり降りる音が聞こえてきた。この可愛らしい足音は妹...瑠愛に違いない。私は詳しいんだ。


「んん...お姉ちゃん...おはよう」


眠そうに目を擦りながらもしっかりと自分で起きてきた瑠愛に笑顔を見せおはようと言う。瑠愛は顔を洗った後服を着替え始めた。


そして朝食を作り終わった私は机に並べるもちろん父の分もだ。


お皿を置いたと同時に父が起きてきた。


「おはよう」


「あっパパ、おはよう!」


瑠愛は父に対しても元気に挨拶をしてくれる。こんな虐待するヤツに挨拶しなくてもいいのに。


顔を洗い終わった父と私と妹の3人で食卓を囲む。


「いただきます!」


瑠愛はいい子だ朝なのに元気な挨拶をしていて父とは大違い。その肝心の父と言うといつも通り無気力だ。無言ではあるが手を小さく合わせてはいる。多少のマナーは残っているのだろう。


そして朝食を食べ終わった私たちは各々の事をする。父は新聞を読み瑠愛はテレビを見ていた。私は学校の支度をする為部屋に戻る。


着替え終わった私は洗面所に向かい髪の毛を整える。


「ヨシッ!」


全ての支度を終えたがまだ出るには早い為再び部屋に戻り昨日書いたリストを見る。


「幸せの音かぁ...」


リストを見ていた私はいつの間にかそう呟いていた。ふと窓の外に耳を貸すと色々な音が聞こえた。


チュンっ...チュンっ...

鳥の鳴き声。

サァァァァ...パラパラ

風が吹き葉っぱが舞う音。

トットットットッ

子供が元気に走る音。


どれも違う。こんな身近なものじゃあないはず。もっとこう...なんだろう...うまく言えないなぁ。


今まで聴いた中で可能性が高いものは昨日聴いたあの音。


トクントクンと胸に優しく響く音。


でも確実にこれじゃあないのはわかる。


それに昨日聴いた音はどう言った理由で聴こえたのかが分からない。


だから...私にはまだ...


「いってきまーす!」


憂鬱な気分になりかけてた私は妹の元気な声で正気を戻す。


「そろそろ行かないと」


バックを持ち階段を降り玄関へと向かう。

扉を開けると眩しい太陽が出迎えてくれた。


「いってきます...」


聞こえないくらい小さな声で呟き家を出る。


しばらく歩いてるといつもの友達がやってきた。


「おはよー!」


笑顔で手を振りながらこっちに走って来るので私も笑顔で手を振り返す。


「その...昨日の約束...覚えてるよね」


約束...?あーんの事か。えっ本気でやるの!ちょっと恥ずかしいな...そう思い私は恥ずかしさで俯いてしまった。


「えっ...覚えてないの?」


すると友達が口角が下がりショボンと下を向いてしまった。私は落ち込む友達の姿を見てすぐさまに言葉を掛ける。


「あーん、でしょちゃんと覚えてるよ。」


微笑みながらそう言うと友達はパーっと笑顔を戻しお礼を言い放った。


「ありがとう!楽しみにしてるよ!」


委員会の仕事があるのか笑顔のまま走り去ってしまった。



そして



キーンコーンカーンコーン


お昼だ!でも今日は一ノ瀬の所には行かない。友達との約束があるからね。


「乃愛ー!こっちで食べよ。」


私は友達の前にある席を借りて向かい合う形に座る。


「よいしょっと。」


席に着きお弁当箱を開けると友達は希望の眼差しでこちらを見つめてくる。


「ん?...わかったわかった。あーん、でしょ」


そう言うと友達はコクっと頷いた。

卑しいヤツめ...そう思いながら自分の箸でオカズを持ち上げる。


「はい、あ〜ん」


「あ〜ん」


オカズを口の中に入れた瞬間目と口を閉じた友達はあじわうようにモグモグする。


「んむんむ」


とても幸せそうな顔をしながらモグモグする姿はどこか妹のような可愛らしさを感じた。


「幸せぇぇ...」


これでもかってくらい満面の笑みを見せられるとこちらまで笑顔になってしまう。


あ〜んされるのがそんなに嬉しいのか...


これ、一ノ瀬にやったらどんな反応してくれるかな...


いやいやいやいや...さすがに異性にあーん、は恥ずかしいな...


でもあの優しい一ノ瀬なら...


「乃愛?」


あっ私ったらまた一ノ瀬の事考えてた。


「まさかぁ...一ノ瀬じゃあないよね...」


「エスパーじゃん。」


何故わかるんだろ。そんな顔にでてたのかなぁ?


「もぉ!今は私と乃愛だけ!一ノ瀬の事なんか考えないで!」


「はいはいごめんって。」


私は笑いながら頭を下げる。


そしてお弁当を食べ終わりなんやかんやあり放課後になった。




「せめて一ノ瀬になにか言っておけば良かったな...」


一ノ瀬に何も言わず友達とご飯を食べた事を悔い謝りたい私は放課後にも関わらずいつもの空き教室にむかう。


「さすがに放課後だから居ないよね...」


ガラ


私は教室の扉をそっと開けると


いた!


「一ノ瀬!?なんでいるの?」


戸惑った私はすぐさま一ノ瀬に問い掛ける。


「水城の事だから放課後に来ると思ってね。」


見透かされてる!エスパーじゃん!なんで!?私の周りエスパーばっかじゃん。


てか友達が私の考えてる事分かるのはいいとして一ノ瀬が私の考えてる事分かるのなんかおかしくない?。一ノ瀬と出会ってまだそんなに経ってないのに...


もしかして一ノ瀬私の事...す...


「どうしたの?水城」


はッ!私ったら一ノ瀬の事となるとすぐ考え込んじゃう。


我に返った私は直ぐさま一ノ瀬の方を向き来た理由を再び伝える。


「いっいやいつもここに来てたから今日だけ来ないのわぁおかしいかなぁって...」


「だからぁ...そのぉ...ごめん...」


歯切れの悪い理由を伝えてるといつの間にか謝罪を入れてしまった。


「別に気にしてないけど…」


「ちょっと...寂しかった…」


この時またあの音が聞こえた。


トクン...トクン...


胸に優しく響き

とても心地良く

心から嬉しくなれる音。


トクン...トクン...


これって...この気持ちって...


「水城?顔赤いよ...体調でも悪い?」


恥ずかしい...まだ下の名前で呼びあってもないのに...抑えきれない。


トクン.トクン.トクン.トクン.


気がつくと音は早まり心が苦しくなりふらついてきた。


やっぱりこの気持ちは…


...恋?


「水城!肩貸すから保健室行こう」


私は一ノ瀬に身体を預け保健室へと向かった。




「37,5…微熱だね…寝てりゃあすぐ治るよ」


「水城は風邪なんですか?」


カーテン越しに保険の透子(とうこ)先生と一ノ瀬の会話が聞こえた。


「うーん…顔は赤いし心拍数も上がってるけど風邪とかそーゆー類いとはなにか違うんだよ」


「ぇえ?新手のウイルス?」


「いやウイルスでは無いのだよ。ただね、たまに水城みたいな症状を持った子が来るんだよ」


私と同じ症状…?


「そして皆に共通してる事は好きな人がいるという事。」


!?!?!?


まッまずいッこれはまずいよッ


「好きな人…?つまり恋の病的な?」


「その可能性が大だねぇ」


やばいッバレちゃうぅっ!ごまかせねばッ

でもどうやってッ


「ゲホッゲホッ…」


「どうした一ノ瀬…風邪か?」


そうかッ咳だよッ風邪をひいた時にかなりの確率で出る…咳ッ。のがれらるっ…のがれられぬカルマ…


「ゴホッ…ゴホッ…」


「む…水城も咳か?でも、咳は異物を取り除こうとする防御に過ぎない。誰にだって…」


「ゴホッ!ゴホッ!」


「でも…」


「ゴッホッ!!!ゴッホッ!!!」


「…」


「水城…入るよ。薬飲もうか。」


カーテンを開けた先生はどこか呆れた表情で薬を持ってきた。


無理に咳をし過ぎたせいで喉がやられてしまった私は枯れた声で返事をした。


薬を飲み落ち着いた私を見て先生は一ノ瀬に頼み事をした。


「一ノ瀬ぇ職員室からあの紙持ってきてくれ」


「あの紙とは?」


「あの紙はあの紙だよ。見りゃわかる。私は水城の事見てにゃきゃいかんから離れれなくてねぇ」


カーテンで見えないが一ノ瀬はしぶしぶ了承したようで扉を開け出て行った。


「ふぃぃ…水城も物好きだねぇ。あいつの事を好きになるなんてぇ」


「ゥウェッ!なッなんでなんで!?」


「ははっバレバレだったよ」


エスパーだったか…先生も…


色んな人に心を読まれていた私は思わずいじけて俯いてしまった。


「そうしょげるんじゃあないよ。一ノ瀬も多分水城事気に入ってるよ」


!?


「あいつはねぇいきなり喋らなくなっちゃったんだ…魂が抜けたようにね。理由を聞いても答えてくれなくて。何言っても首を動かすだけ...」


「でも今は違う。おそらく君と出会ってから変わったよ。話すようになって笑顔を見せるようになった。」


「君も一ノ瀬と出会ってから変わっただろ…」


そうだ...私一ノ瀬と出会ってから変わった。


今まで憂鬱だった人生がガラリと。


朝起きるのも登校するのも授業も友達との会話や遊びも嫌だった。


けど今は違う。


全部が楽しい。


どーゆー理由なのかは分からないけれど、一ノ瀬と居ると気が楽になるし自然と笑顔が出てくる。



これって…


私…


一ノ瀬の事好きじゃん。



「ははっ相当のようだねぇ」


えっ…あっまた心を読まれてしまった。


「あいつはガード固いから頑張れよ。」


ガラッ


その時一ノ瀬が職員室から帰ってきた。


「やっぱりあの紙なんてものありませんよ…」


一ノ瀬が戻ってきて静かだった保健室は私の心音でうるさく感じた。


「んぁ…悪い悪いあの紙はもう持ってたわ。」


「ぇええ…」


一ノ瀬って私以外の時こんな風に話すんだ…


一ノ瀬が誰かと話してる所なんて今日が初めだ。やっぱり先生が言ってた事本当なんだな。


「さ!一ノ瀬は帰った帰った!水城は少し休んでから帰らせる。」


「分かりました。」


カーテン越しに見えた一ノ瀬は軽く頷き保健室を出て行った。


一ノ瀬が居なくなり保険の先生も席に着き何か作業をしている。


シーンと静まり返った保健室には私の心音だけが響き渡る。


トクン…トクン…


でもこの音…空き教室で聞いた音とちょっぴり違う。


どこか…寂しい感じ…?これもまた言葉にしずらいが違うのは分かる。


.........


今はこの感情に浸ることにしよう。






「気を付けて帰れよぉ」


熱が治まり体調もすっかり良くなった私は先生に見送られながら学校を出る。


コツ…コツ…コツ…コツ…


特に何も考えずに歩いていたが突如ある事を思い出す。


来年は妹、瑠愛が小学生から中学生に上がる節目の年だ。


絶対に祝わなければならない。


私の時はお母さんは生きていたから可愛いホールケーキを作ってくれたな…それとずっと欲しかった大きいクマさんのぬいぐるみをくれた…


瑠愛にもそれぐらいしてあげたいけど父の稼ぎじゃああまり期待は出来ない。


んぅむ…


そうだ!バイトだアルバイトだよ!


私が頑張ってバイトしてお金を稼ぎ瑠愛に何か買ってあげよう!


でもどこで働こう…高校生のバイトって言ったらコンビニやレストランだよね…でも


コンビニはやる事や覚える事が多いって聞くし、レストランはクレームとかあるからなぁ…そもそも接客業自体が好きじゃあないんだよ


んぅ...


あっそういえば昔父が優しかった頃


ひだまり…珈琲店…ってところに連れていってくれたな。そこで飲んだコーヒーは苦かったけど店内の雰囲気が好きだしお客さんもあまりいなかった。


あそこまだやってるかな…


私は普段とは違う帰り道を通りひだまり珈琲店へと向かった。





む!まだやっている!


ひとまずはいってみるか…


カランッカランッ


店の扉を開けると全身に懐かしい匂いが漂ってきた。


「いらっしゃいませ。」


すると二人の店員が出迎えてくれた。1人はカウンターの向こう側におり白ひげの生えた渋いおじさん。もう1人はテーブルの片付けをしている高身長の青年。


前来た時はあの店長のおじさんだけだったからこの青年はバイトの子だろう。


テーブル席に着くとその青年がこちらにやって来て注文を尋ねてきた。


私はあの時飲んだコーヒーをもう一度味わいと思い同じものを頼んだ。


そして店長に注文が伝わりコーヒーを作り出す。


それから数分後私の元にコーヒーと角砂糖が届いた。


まずは角砂糖を入れずそのままカップを持ち上げ口元に近づけ匂いを嗅ぐ。


うん...コーヒーの匂いだ。


そして1口口に入れる。


...コーヒーだ。それ以上でもそれ以下でもない...コーヒーだ。


私は...コーヒー...苦手かな。


カップを置き隣にある角砂糖を全部入れてスプーンを使いかき混ぜた。


私はふと背もたれにもたれ掛かり周りを見渡した。


店員しかいないな…ここ…


こんなに客少ないのによく営業してるなぁ…それにあの青年もこんな所で働いて…暇すぎて苦痛じゃあないのか?


………


よしここで働こ。


さっきはああ言ったけどお客さんが少ないのは助かるし店の雰囲気も好き。人付き合いが苦手な私にとってここ、ひだまり珈琲店は最高の場所だ。


私は残っているコーヒーを時間をかけ飲み干しお会計をして店を去った。






「ただいまー」


家に着いた私は2階にいるはずの妹に向けいつもより大きな声を出した。


しばらくすると「おかえりー!」と声が聞こえ瑠愛が両手をひょこっと上げてドタドタと階段を降りてきた。かわいいなあ


それから妹に勉強を教えたり一緒に夕飯を作ったりしているうちに時間が過ぎていった。




「ふあぁぁ…」


私は布団に潜りあくびをしながら考え事をしていた。


明日は休みだ。もう1回あのお店に行って雇ってもらおう。



そもそもバイト募集してるのかな…


いやでも、あの青年がいるからなぁ…大丈夫かな。



でもやっぱり怖いなぁ、あの青年は店長の孫で特別に働いてるとかだったらどーしよぉ…



んーむ…




この時私は不安にかられて中々眠れなかったが色々考えているうちに案外すんなりと眠れる事ができ、1日を終えた。



~やりたい事と願い事リスト~

1、幸せの音を聴く。

2、妹の幸福。

3、一ノ瀬と過ごす。

4、父親の改心。

5、友達に本性を明かす。

6、お店で働く。←NEW!



続く--

ここまで読んでくださりありがとうございます。メインで書いてるやつよりこっちの方が進んじゃう。メインの方は、覚悟を決めるみたいなシーンのセリフが思いつかないせいで進まない…所で、やっぱり、がわ゛い゛い゛な゛ぁ゛る゛あ゛ぢゃ゛ん゛


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