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第1話:君との出会い。


「...?」


学校から家に着いた僕はポストに何か入ってるのが見え中を覗いてみると僕宛の封筒だった。


ひとまず玄関を開けると母親の声で「おかえり...」と聞こえたが返事はせず部屋まで行き荷物を置いて椅子に座り先程の封筒の中を覗く。


中には手紙と写真があった。僕はまず手紙から読む事にし封筒から取り出した。


「!?」


宛名を見た僕は思わず涙がこぼれそうになった。


そしてたたんである手紙を開け1行目を読んだ僕は堪えていた涙は顔をつたわらず下へと落ちていった。


ふにゃふにゃの文字で1行目に書いてあった言葉は、



"幸せだったよ。"



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

第1話:君との出会い。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



"不幸せ。"


私は常にそんな事を考えて毎日を過ごしている。


表では成績は優秀で明るい性格の少女でやっているが本当はそんなんじゃあない。


本当は根暗で喋りたくないし動くのも面倒で辛い。なんの気力も出ないからいつも生きたくないと思うが死にたくもない。

こうなった原因は、


虐待。


前までは母親と父親そして私と5歳年下のの妹。


皆幸せに暮らしていたが私が中二だった頃突如母親が病気により死んだ。そしたら父親がおかしくなった。本当に急に。


父親は暴飲暴食をし今までやらなかった。酒やタバコ、パチンコにも手を触れた。それだけならまだ良かった。


でも、ある日父親は私を殴った。


14歳で力の無い女の子である私を強く握り締めた拳で頬辺りを殴った。


その日はそれだけで済んだのだが日に日にエスカレートしていった。


頬。

頭。

肩。

腕。

腹。

足。


殴るだけではなく蹴るなど暴力の限りを尽くした。


...でもよかった。妹の瑠愛(るあ)には手を出していないのだから。


そして今高校2年生になっても暴力は終わらない。


殴られて出来た痣はマスクや服で何とか隠してある為皆にはバレていない。チラッと見えてしまった痣は妹と喧嘩をして出来た痣だと誤魔化してる。




キーンコーンカーンコーン


4限目が終わりお昼の時間になる。

基本的に友達とお弁当を食べるがたまに1人で食べる時がある。今日はその気分なので友達の誘いを断り教室をでる。


向かった先は使われない机が置いてある教室だ。私は表の顔に疲れて1人になりたい時いつも来てる。


ガラッ


少し猫背になりながら扉を開けると椅子に気だるそうな君が座っていた。


彼はこちらに気づき顔を向けるが気にせず弁当を食べ続ける。


私は少しガッカリした。ここは誰も来ない穴場スポットだったので、こうやって誰かが居ると少しやな気分なる。


一人になりたい私は他の所を探そうと扉を閉めようとした時少年がぽつりと言葉を漏らした。


「…ここ、君の場所?」


その一言で足が止まった。思わず振り返ると、彼は箸を止めず、こちらを見もしないままだった。適当に声をかけたのか、それとも本当に気にしているのか、判断がつかない。


「…別に、そういうわけじゃないけど。」


私はそっけなく答えた。だが、自分でも驚いてる。普段なら、明るい調子で冗談のひとつでも言えただろうに、ここでは本音が出やすくなる。


少年は肩をすくめ、


「ならいいじゃん。座れば?」


とだけ言った。


妙な誘い方だと思った。私は父親の虐待のせいで1人になるのが好きになってしまった。1人なら誰にも気をつかわないで済むから。でも...今は何故だが不思議とこの教室に居たいと思った私は足を前に出す。


「…邪魔しないなら。」


彼は何も答えない。ただ、弁当を食べ続けている。空気は重くも軽くもない、妙な静けさに包まれていた。


教室の隅に置かれた椅子を引き、腰を下ろす。蓋を開けた弁当の中身を眺めながら、食べる気にならない自分に気づく。


「弁当、まずいの?」


唐突に彼が言った。その声には興味もなければ、嫌味もない。ただ事実を確認しているような冷静さがあった。


「…そんなことない。ただ、食べたくないだけ。」


「ふーん。」彼はそれ以上何も言わず、また黙々と食べ始めた。


この無関心さが不思議と心地よかった。おそらく、私に気を使う気などないのだろう。それが逆に、私の疲れた心を少しだけ楽にしてくれた。


数分の沈黙が流れる中、ふと思い出したように彼が口を開く。


「君、いつもここに来てるの?」


「…たまにね。」


私は嘘をつく必要がないと思った。


彼は目を細め、何かを考えるような表情を一瞬だけ見せた。そして再び無表情に戻る。


「僕も、ここ好きなんだよ。人が来ないから。」


彼の言葉に驚きと共感が混ざった感情が湧いた。


「じゃあ…これからもここに来るの?」


「さあ。でも、今日みたいに人が来るなら考えるかも。」


皮肉か冗談か判別がつかない言い方だったが、不思議と嫌味には聞こえなかった。


「じゃあ、次に来た時は…互いに邪魔しないようにしようか。」


「ん。」彼は短く答え、弁当箱を閉じる。


彼の名前も知らないまま、私は少しだけその居心地の良さに浸ることにした。この教室で彼と再び会う日が来るのかどうかは、まだ分からない。けれど、虐待からの癒しにはなりそう。そう私は思った。



そして最後の授業が終わり放課後になる。私は特に部活をしていないし委員会の仕事もない為家に帰る。でも家に帰ると暴力が待っている。でも帰らない訳にもいかないから、いつもゆっくりと歩いて帰る。


下駄箱から靴を取り出した私は校門の方にお昼の少年が居るのを見掛けた。彼はここでも猫背で気だるそうな感じだった。


私は声を掛けようか迷ったが直ぐにやめた。多分向こうも1人の時が好きなのだろう。とても良く分かる。1人の方が気楽だから。


校門の角を曲がって見えなくなったタイミングで私は靴を履き家へと帰る。


「ただいま...」


暴力が待ってる...憂鬱な気分で家へと上がると元気な妹が迎えてくれた。基本的に世話は私がしている。


「おかえり!お姉ちゃん!」


まだ小6の妹は虐待の事を知らない。それは父親からのせめての愛情らしい。


父親は私に暴力を振るうものの妹が居る所ではしない。それにたまにコンビニの弁当とかを買ってきてくれる。


...高校生の私に暴力を振るうけどまだ小学生の妹には振るわない。なんなら世話もたまにしてくれる。これなら妹は普通の生活を送れる。

だから父親の事を誰にも言えない。それに一応仕事には行ってるらしい。だから父親が捕まってしまったら妹は普通の生活を送れなくなってしまう。


妹の幸せは私の幸せ。ただ瑠愛がちゃんとした人生を送れるのならそれでいい。


「乃愛、ちょっと来てくれ。」


始まった。

また殴られるし蹴られる。

私と父親は瑠愛から見えない所に行き私を殴った。

仕事での鬱憤や死んでしまった母親の想い。全てが私にぶつけられる。


「うっ!」


何年も何年も毎日殴られるけどやっぱり慣れない。痛いものは痛い。けど性暴力は受けてない。だから他に虐待を受けてる人達に比べたら私は全然マシだと思う。そう思いたい。それにこの暴力は私への恨みじゃあない。さっきも言った通り、鬱憤の捌け口だ。私がいないと父はもっと酷い人になっちゃう。


それに私が我慢すれば妹は幸せに暮らせる。だから死にたくないし、死ねないんだ。


その夜、私は布団の中で昼間のことを思い出していた。あの教室で会った少年、名前も知らないけど、不思議と彼のことが頭から離れなかった。あの無関心な態度。でも、それが妙に安心感を与えてくれる。


「…バカみたい。」


自分をからかうように呟き、布団をかぶる。明日も学校に行かなくちゃいけない。暴力が待つ家を出て、明るい仮面をかぶり、また疲れる日常に戻るだけだ。



翌朝、私は普段通り制服を着て家を出た。玄関では父親の冷たい目と妹の明るい声が交錯する。そのコントラストに胸が痛むのも、もう慣れてしまった。


学校に着き、教室のドアを開けると、友達がすぐに話しかけてくる。


「おはよー!昨日の宿題やった?」


「うん、ちゃんとやったよ。」


仮面をかぶる。いつものことだ。笑顔を作りながら、友達と話を合わせる。それでも心の中では、またあの使われない教室に行きたいという気持ちが湧いてくる。


昼休み、私は自然と昨日の教室に向かっていた。扉を開けると、そこにはやはり彼がいた。昨日と同じように猫背で弁当を食べている。


「…こんにちは。」


彼が気だるそうに顔を上げる。昨日より少しだけ親しげなトーンだった気がする。


「邪魔しないから、気にしないで。」


私は彼から2個離れた席に腰を下ろし、弁当を取り出す。彼は何も言わずに食事を続けた。


しばらく沈黙が続いた後、彼がぽつりと口を開いた。


「昨日、君が出て行った後、誰も来なかった。やっぱりここ、穴場だね。」


「…そうでしょ。」


私は少しだけ自慢げに微笑む。彼の無遠慮な言葉が、なぜか気を楽にさせる。


「あっ君、なんて言うの?」


そういえば言ってなかった。私は直ぐさま名乗る


「水城乃愛。(みずきのあ)」


「僕は一ノ瀬凛だ。」


一ノ瀬凛...いい名前。短い会話の中で、私たちは少しだけ距離を縮めた気がした。



放課後、私は再び校門で凛を見かけた。今度は、意を決して声をかける。


「…一ノ瀬。」


彼が驚いたように振り向く。


「何?」


「…別に。名前、呼んでみただけ。」


私はなんとなく笑ってみせる。彼も少しだけ笑ったように見えた。


「じゃ」


そう言い残して、彼は歩き去った。その背中を見送りながら、私は初めて、自分の日常が少しだけ変わるかもしれないと思った。



家に帰ると、いつも通りの光景が待っていた。妹の明るい声、父親の冷たい視線。わ私はため息をつきながら部屋に入る。


けれど、今日は少しだけ違っていた。あの教室と、一ノ瀬の存在が心のどこかで私を支えている。たったそれだけのことで、少しだけ自分が軽くなれた気がした。


「…また明日。」


呟きながら、私は眠りにつく。果たしてこの小さな変化が、どこに向かうのかは分からない。でも、少しだけ希望が見えた気がしていた。


そして日は昇り朝になった。朝食を食べ学校へと向かう途中で一ノ瀬を見掛けた。


彼は1人で歩いており、他に友達が居る様子もなく下を俯いていた。

話しかけようか迷うが私と一ノ瀬はあの教室だけでの関係。それ以外では何にも接点が無い為話すのは辞めとこうと思っている所友達が話しかけてきた。


「おはよー!乃愛!...ん?あの子がどうかしたの?」


しまった。一ノ瀬の事をジロジロ見すぎてしまった。


「えっ...いつも俯いてて独りだなぁって思ってて...」


焦って誤魔化してる時友達が一ノ瀬について話始めた。


「あの子は確か...一ノ瀬、だったかな...一年生の頃は全然暗くなくて、でもそれ程明るくはなかったんだけどね、けど優しくて勉強も出来たからちょっぴりモテてた。何なら恋人も居たんだって。」


「えっそうなの?」と思わず私は聞き返した。友達は軽く頷いて話を続ける。


「でもね、ある日を境に今みたいに暗くなちゃったんだ。」


その話を聞きながら私はなんとも言えない気持ちになっていた。一ノ瀬が何かを抱えてるのは分かる。でもそれがなんなのかは知らない。


友達は肩をすくめながら言った。


「まぁ別に気にすることじゃあないよ。きっと彼女と別れたショックなんだと思う。」


友達はそう言ったが私はそれだけじゃあない気がした。ただ彼女と別れたからってあのようになるとはとても思えない。今の彼は生きる希望が無いような...そんな気がする。


心のどこかにモヤを感じてたらいつの間にか学校に着いていた。


そしてお昼。今日も例の教室に行こうとしたが、連日誘いを断ってため友達にどうしたのか聞かれたが何とか誤魔化せた。


ガラッ


教室に入るとやはり一ノ瀬は居た。


彼は気づいてはいると思うがこちらを見ず黙々とお弁当を食べていた。


今日は彼から1つだけ離れた席に着きお弁当箱を取り出す。

私も黙々と食べてると一ノ瀬がゆっくり口を開く。


「水城って友達多いんだね。」


いきなりの事に私は驚く。


「えっ...まあね」そう私は微笑みながら言った。


「けど良くここに来るよね。友達と居るより1人が好きなの?」


際どい質問に私はどう答えようか悩むが、いつの間にか本音を少し漏らしてしまった。


「うん...誰かと居るとなんだか落ち着かなくて。みんなの前では元気いっぱいだけど本当は全然でむしろ暗いんだ。」


言っちゃた。この時の私は君と居る教室の安心感で本音が漏れやすかった。


「めちゃ分かる。なんだか僕と水城...似た者同士だね...」


それに私は「ふふっ...」と思わず笑みが零れた。


私...なんだか...楽しい!別に面白い話はしていないし遊んでもないのに、自然と笑みが出るような楽しさがある。それに一ノ瀬も微笑んでるし、本当に似た者同士なのかな...


その後私と一ノ瀬は軽い話を続けてるといつの間にか時間が立っていた。


「むっ!もうこんな時間...それじゃあ私は戻るね」


急いで片付けをし空き教室を出ると一ノ瀬は微笑み手を振ってくれた。


「また明日...」


私も手を振り返し自分の教室へと向かった。


私と一ノ瀬は今の所あの教室だけでの関係。廊下ですれ違っても特に話さすことはないし、お互いの友達の前では会話もしない。それがなんとなく暗黙の了解になっていた。


けれどあの教室では違う。一ノ瀬と私は誰にも邪魔されず話せる。自由に笑える。ほんの少しの時間だけど特別な時間だと思ってる。


毎日お昼の時間に空き教室で一ノ瀬と会う。


今までは妹が幸せならそれだけで良かったけれど、1つだけ幸せが増えた。


1、妹の幸せ。

2、空き教室で一ノ瀬と過ごす。




続く--

ここまで読んでくださりありがとうございます。まだまだありませんがいずれ鬱展開が待っているので注意しておいてください。それとこの作品はメインの作品の息抜きで作っている為投稿スペースは劇的に遅いので気長におまちください。

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