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ドワーフの武器1

「おーい、ファムランドー」


「おう、マヤじゃねーか、随分久しぶりに帰って来たんじゃねーか?」


 マヤたちはドワーフの里で武器を購入した後、キサラギ亜人王国に戻るなりファムランドのところを尋ねていた。


「色々あってさ。それで、お願いしたいことがあるんだけど――って、その綺麗な人誰?」


「ああ、こいつはレオノルってんだ。何でもいろいろな国を放浪してたエルフらしくてな」


「へえ、よろしくね、レオノルさん」


「はじめまして、マヤ陛下。陛下にご挨拶もせず陛下の国の一員となっておりますこと、ご了承下さい」


「あー、いいよいいよそういうの。エメリンさんか誰かがいいって言ったんでしょ?」


「ジョセフ殿に許可をいただきました」


「そういうことなら問題ないよ。それより、何でレオノルさんはファムランドと一緒に候補生達と戦ってたの?」


 マヤの言葉通り、マヤがファムランドのところにたどり着いた時、レオノルはファムランドとともに、精鋭部隊の候補生達と戦っていた。


 マヤが出発する前はファムランド一人にあっという間に全滅させられていた候補生達だが、今はファムランドとレオノル相手に善戦していたので、マヤたちがいない間に随分成長したらしい。


「それはこいつが俺の部隊の副長になったからだな」


「そうなんだ。強いんだね、レオノルさん」


「いえ、マヤ陛下の後ろにおられるお二人ほどではないですよ」


 レオノルはマヤの斜め後ろに控えているオリガとカーサに視線をやった。


「そうかな? 本気でやればこの二人にも勝てるんじゃない?」


「…………そんなことはないと思いますが……」


 スッと目を細めたマヤに、なぜだか見透かされた気がしたレオノルは、一瞬言葉に詰まってしまう。


「そうかな? まあいいや、レオノルさんがそう言うならそういうことにしとこう」


「そんなことよりもファムランド、ドワーフの武器を全員分買って来たんだけど、使ってみない?」


「おお! そいつはありがてえ! でも大丈夫なのか? ドワーフの武器と言やあ、質も高いが値段も高いだろう?」


「はははは……、正直大丈夫じゃない……エメリンさんにバレたら殺さ――――」


「私にバレたら、なんですか?」


「「「「「…………っ!?」」」」」


 音もなくマヤの後ろに現れたエメリンに、マヤ、ファムランド、レオノル、カーサの4人は言葉を失ってしまう。


 唯一実の娘であるオリガだけは慣れているのか驚いた様子はなく、驚く4人を見て申し訳無さそうに苦笑していた。


「エ、エメリンさん……突然現れないでよ……」


「突然ではありませんよ? 普通に歩いて来ましたよ?」


「ねえオリガ、ちょっとあなたのお母さんが何言ってるのか翻訳してくれる?」


「あはははは……、えーっとですね、簡単に言うと、何個か魔法を併用してとてつもなく大きな一歩ではるか遠くからマヤさんの後ろに移動してきた、ということだと思います」


「全然普通に歩いてないじゃん!?」


「そうですか? 私はよく使ってますけど?」


「マヤ、姐さんは昔からこんな感じなんだ。すげえ人なんだが、ちょっと天然でな……」


「そうですね、お母さんはそういうところありますよね。すごい人なんですが……」


「な、なんですか2人して! それとファムランド、その呼び方はやめて下さいといったでしょう!」


「マヤさん、エメリンさんが、天然なのは、今は、どうでもいい、と思う、よ?」


「どうでも良くは――」


 愛娘に天然だと思われていた事がよほどショックだったのか、珍しくムキになっているエメリンの言葉に被せるように、マヤはわざと大きな声を出した。


「確かにカーサの言う通りだね! ドワーフの武器を早くみんなに使ってほしいんだった。オリガ、出してくれる?」


「わかりました。持物(インベントリ)


 オリガが、呪文を唱えると、空中に空いた穴からマヤたちがドワーフの里で買ってきた武器が次々と出てくる。


「オリガとカーサに相談して、エルフのみんなには魔法発動を補助する杖を、オークのみんなには魔法耐性が高い剣を買ってきてみたから、とりあえず使ってみてよ」


 マヤに使ってみてと言われたものの、誰から取りに行ったものか躊躇してる候補生達を見て、ファムランドとレオノルがそれぞれ武器を取った。


「俺はこの剣を使わせてもらいたいんだが、大丈夫か?」


「うん、オークは魔力がないから杖に余分に買ってきてないけど、剣は使いたいエルフもいるかと思っていくつか予備があるから大丈夫だよ」


「私はこの杖を使わせていただきましょう。補助具なんて使うのはいつぶりでしょうね…………おや?」


 杖をとって魔法を試し打ちし、そのまま首を傾げてしまったレオノルに、オリガが近づく。


「レオノルさん、その杖には魔力消費を抑える効果もあるらしいですから、レオノルさんのような熟練の魔法使いでも使う意味はあると思いますよ」


「なるほど、さすがはドワーフの武器、といったところでしょうか」


「すごいですよね。私も自分の魔法の使い方で魔力消費を抑えることばかり考えていて補助具を使うという発想がなかったんです。だからこれを見た時に本当に驚いてしまって」


「わかります。なんとなく補助具は初心者のもの、という印象があって、私も補助具を使うという選択肢はありませんでしたが、これは認識を改めないといけないかもしれません」


 ファムランドとレオノルが武器をとったことで、他の候補生たちも次々と武器をとった。


「すげえ、なんだこれ!? 全く魔力が減ってる感じがしないぞ!」


「こっちの剣もめちゃくちゃ軽いくせにめちゃくちゃよく切れるぞ!」


「それに魔法耐性もあるって言ってなかったか? おい、ちょっとこっちに魔法打ってくれよ!」


 杖で魔法を試し打ちしていたエルフが、声をかけてきたオークに魔法を打ち込む。


 大きな火の玉がオークに向かって飛んでいき、そのままオークに直撃しそうになるが、その直前、火の玉が真っ二つに切れた。


「「「うおおおおお、なんだこれえええ!」」」


 その後もしばらく、候補生たちはドワーフの武器を使って模擬戦闘を続けていた。


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