第2話 Two Girls in Childhood
フェリスとは、幼いころから一緒だった。
遊ぶ時も、学校も。私たちはいつでも、どこでも一緒だった。
やがて私たちが恋を知る年になって――
その時初めて、私はフェリスがその相手なのだと分かった。
他の友達とは違い、私だけが同性に恋心を抱いていた。
そう知ったときの感情は、言い表せない。
なぜなら、小さなころから教会でのミサで、同性愛は罪だと教え込まれてきたから。
「同性愛は病気なのです」
「異常な愛を持つものはやがては主の御心から離れていくでしょう」
「それはすなわち主への裏切りなのです」
「だから彼らは徹底的に排除されなければならない」
そう繰り返し説く神父様の表情を、今でもはっきりと覚えている。
――創造主の意に背く行為。
まだ十代になったばかりの幼い私に、そのとてつもない重圧がのしかかってきた。
私だけが疎外されている。
この広い世界で、創造主という大きな存在に除け者にされているということの重みに、耐えられなくなっていた。
当然、両親にだって、学校の先生にだって言えなかった。
言えるわけがない。
捕まえられるのかもしれない。
今頃私のことを血眼になって探しているのかもしれない。
そう思うと、私が同性を好きになったことを、口にすることさえ怖かった。
「どうしよう……どうしたらいいのフェリス……?」
彼女を好きになったことには後悔はない。
どんなことがあっても、この気持ちを捨てたりなんかしたくない。
私だけの――大切で特別な想いだから。
一方でのしかかる、私がこの世界全体から拒絶されるのだという重圧。
この世界で、私だけが異常で、まるで病原菌であるかのように除け者にされ迫害される。
この気持ちに気付いてしまった以上、ほぼ確定しているであろう、その未来を想像するだけでゾッとした。
思考の波にさらわれ、螺旋の渦の中に放り込まれていった。