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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
序章:村人Aは学園に通う
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9.買い物

放課後になりいつものように庸一とハルは部活に向かい俺はひとり鞄を持って学校を出た。

今日は久しぶりにバイトの無い日だ。

そういう日に何をするかというと、買い物だ。

……我ながら所帯じみている気もするけど、いつも総菜に頼る訳にもいかないし自炊の方が多少は経済的なはず!

まあ家計簿をつけている訳じゃないから実際にいくら安くなってるのかは確認してないんだけどな。

ともかくいつものスーパーに入った俺はお目当ての食品を買い物かごへと入れて行く。


「と、あれは」


どこかで見たような後ろ姿を見つけた。

というか、間違いなく藤白だな。髪型といい学校でみたまんまだ。

俺と同じで学校帰りにスーパーに来たんだろう。

さてただのクラスメイトとしては無視しても良いんだけど友人としては声を掛けるべきか。


「よっ。藤白」

「えっ。あぁ。村基くんですか」


俺が声を掛けると若干警戒しながら振り返る藤白。

俺の顔を見てほっと安心してもらえるのは少し嬉しいな。


「今日は放課後の用事はなかったのか」

「はい。毎日ある訳じゃないですから。

そういう村基くんも夕飯のお買い物ですか?」


言いながらチラリと俺の買い物かごを確認して、首を傾げた。


「えっと……つかぬことをお聞きしますが、今日の夕飯は何ですか?」

「見ての通りだろ?」

「いえ、見て分からなかったから聞いているのですけど」


俺の買い物かごに入っているものと言えば、豚肉の切り落とし、玉ねぎ、キャベツ、納豆、長ネギ、卵、ニラ、オクラ、カブ、ナス、キュウリ。

最近は季節に関係なく大抵の食材は手に入るから有難い。

現代の農業技術と農家の努力には頭が下がる。

と、それはともかく。ここから俺の夕飯を推測するのはそれほど難しいだろうか。


「豚肉と玉ねぎで焼肉作って、キャベツの千切り。

後は長ネギとニラと卵でお吸い物を作る予定だ。

あとはカブとナスとキュウリで浅漬けでも作れば完璧だろう。

もちろん別でご飯は炊くぞ」


我ながら何とも豪勢な夕飯だと思う。

肉も野菜も摂れるから栄養バランスもそこまで悪くないし。

納豆とかは朝食だ。

俺の回答を聞いた藤白も納得したように頷いてるので大丈夫だろう。


「驚きました。ちゃんと考えて料理してるんですね」

「まあな。ただ一つだけ問題があるんだ」

「なんですか?」

「量がな。多くなり過ぎるんだ」

「あぁ……」


心当たりがあるのかしみじみと頷く藤白。

キャベツなんて小玉とは言え丸1個なのだ。一度に食べようとすればそれだけでお腹がいっぱいになるどころか食べきれないだろう。

普通に考えれば4回くらいに分けて食べる必要があるが、そうなると鮮度の問題もある。

それにキャベツはあくまで副菜。他のも合わせればだいぶ豪勢になることだろう。

改めて籠の中を見れば4人家族なんですと言っても納得されそうな量がある。


「それ一人で食べるんですか?」

「まあな。流石に数日に分けて食べるつもりだ」


今日はバイトが無いけど明日からはバイト終わって帰宅した後に料理することになるから飯にありつけるのは22時過ぎる。

夜中の食事は健康に良くないんじゃないか説もあるけど、料理しないと鮮度が落ちる一方だしな。


「腐らせない様に気を付けてくださいね」

「おう。そういう藤白の方は、あぁちゃんとばら売りされてるのを買うんだな」

「私だって丸々1つとか食べきれないですから」


俺みたいに3つ入り1袋とかじゃなくて、お1人様用に用意されてるのを買うみたいだ。

ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ、肉。極めつけはカレーのルーがあるとなれば何を作るかは自明だろう。

カレーかぁ。嫌いじゃないけどな。やっぱりどうしても鍋いっぱいつくっちまうからなぁ。

中々手が出しづらいところだ。


(あなたは加減という言葉を知らないんですか?)


男の料理って言うのは量も含めて豪快なものなんだ。

どうしても食べきれなかったら……その時考えればいいんだよ。



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