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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第6章:さあ夏休みです!
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75.のんびりお祖母ちゃんの家

朝、目が覚めると古ぼけた天井が見えた。

ゆっくりと身体を起こして左右を見てもやっぱり少しずつ古ぼけていて「ああ、お祖母ちゃんの家だな」としみじみ感じてしまいました。

部屋を出て1階に降りる途中で漂ってくるお味噌汁の匂い。一人暮らしをしてるとなかなかちゃんとしたお味噌汁を作る機会も減ってしまいましたからね。

台所を覗けば割烹着を着たお祖母ちゃんの後ろ姿が見えました。


「おはよう、お祖母ちゃん」

「はい、おはよぅ」


のんびりとしたお祖母ちゃんの挨拶を聞いてると、もう何度目かも分からない帰ってきた感が私を包みます。

う~ん、意外とホームシックだったのかも知れないですね。

やっぱり田舎と都会では、空気も水も時間の速さだって違いますから。

この田舎独特ののんびりした雰囲気はどう頑張っても都会では味わえません。

朝ごはんの準備を手伝いふたりで食卓を囲みます。

あ、あ、お祖父さんはもうずっと前に他界しています。


「今日は何か予定はあるのかい?」

「特にはないから掃除でもしようかなって思ってるよ」

「そおかい。ありがとねぇ」


私の答えにゆっくりと頷くお祖母ちゃん。

それなりに広い家だしお祖母ちゃん一人だと掃除もなかなか行き届かないから、折角こうして帰ってきたのだし、少しでもお祖母ちゃん孝行をしていくつもりです。

ただ、いざ始めてみると想像以上に大変なのが分かりました。

まずはよく使う台所から取り掛かってみたところ、長年に渡りこびり付いた汚れが私の行く手を阻みます。

というかこんなに汚れていたんですね。

中学生までは私もこの家で暮らしていたので、もちろんその頃から家事も手伝っていましたし、台所にも毎日のように立っていました。

その時は別に「これが普通」と思っていたので特別汚れているとは思っていませんでした。

でも一人暮らしを始めて、自分で家の事を全部やる様になったお陰でそれまでは見ても気付かなかったことに気付けるようになったようです。

つまり私も成長しているんですね。

そしてこうして家の掃除をすることでお祖母ちゃんにも私の成長を見てもらえることにも繋がります。

そうと分かれば俄然やる気になるってものです。


「ふぅ」


結局気が付けば掃除1日目で綺麗に出来たのは台所だけ。

それもまだまだやり足りないというか落としきれない汚れがいくつもあります。

あれを落とす為には今の装備では厳しいようです。

それこそプロ仕様の洗剤などが必要かもしれません。


「お茶が入りましたよ」

「は~い」


お祖母ちゃんと一緒に縁側に座ってお茶を啜りながらおせんべいをポリポリと食べます。

庭先にはスズメが飛んできてちゅんちゅん鳴きながら地面の土を突いているのを見るのも都会ではあまり見られない光景です。

10年くらい前なら公園とかに行けば見れたらしいですけど、今ではめっきり減ったと以前先生がぼやいてました。

代わりに鳩の糞の被害も減ったからそこは良かったとか言ってましたけど。


「そういえば以前聞いた歌詞の中に『なぜかいつも戸棚の中にはおやつが用意してある』なんていうのがあったっけ。

実際のところこのおせんべいとかどうしたの、お祖母ちゃん」

「これかい?これはそうだねぇ。確か佐藤さんが旅行先で美味しそうだからって買って来てくれたものだねぇ。

生菓子は悪くなっちゃうから早めに食べるから、こういう長持ちするものは後からゆっくり食べるんだよ。

でも私ももう顎が弱くなったからねぇ。硬いおせんべいとかはなかなか減らなくてね。

姫乃が食べてくれて助かるよ」


これも田舎あるあるなのかな。

旅行のお裾分けやらお中元やお歳暮が使い切れないくらい積み上がって行くっていう。

さっきも戸棚の中にそれっぽい紙箱に入った海苔があったし。



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