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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第6章:さあ夏休みです!
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72.夏休みの予定

見つめ合う聖さんと紅玉さん。

ってこれだけ書くとBとかLの世界に突入してしまいそうですね。

実際に周囲の女子が何人か妖しい視線を送ってるように見えますし。

ただそんな周囲の視線をお構いなしに聖さんはビシッと紅玉さんに指を突きつけました。


「王子。多少テストの成績が良かったからと言ってこれで勝ったと思わない事です」

「む?そうか。つまりテストの点が絶対的な評価に繋がる訳じゃないって事だね。

だそうだ。村基君。君に対する不当な評価は彼自身が否定してくれたよ」

「なっ」


しまった!という顔をする聖さんと王子様スマイルを絶やさない紅玉さん。

この時点でどちらが人として成熟しているかは分かるというものですね。

そしてそこに更に追い打ちを掛ける紅玉さん。


「そういえば体育祭での一騎打ちも僕の勝ちだったね」

「それは確かにそうだが。しかし次にやれば絶対に勝ってみせる!」

「……決闘に次があれば良いけどね」


ふっと視線を逸らして意味深な言葉をつぶやいた。

まあ確かに私の夢の中でも何度か決闘やそれに近いシーンは出てきますが、それらに2度目があった試しはありません。

厳格な決闘であれば敗北=死ですからね。

でも学園でそこまで厳しいルールが適用されることもないですし、負けた教訓を次に生かすのも大切です。

予鈴のチャイムもなり、ひとまずこの場での言い合いはこれで解散となりました。

ただこの調子ならまだひと悶着ありそうですけど。


昼休みになって私達はいつものように裏庭へと集まりました。

夏の強い日差しも造って頂いた東屋のお陰で多少は快適に過ごせるのがありがたいですね。


「みなさん、夏休みはどう過ごされるんですか?」

「俺は墓参りも兼ねて祖父の家に行く予定だ」

「俺は特に決めてはいないな。多分ずっとこっちに居ると思う」

「僕もそうですね」

「私も」

「ですね」


ふむふむ。

村基くんはここを離れるけど他のみんなはこっちに居ると。


「我は毎年、別荘で過ごすことにしているが、良かったら皆で遊びに来るか?」

「「別荘!?」」


黒部先輩の別荘発現に思わず皆で声を合わせてしまいました。

先日お宅に遊びに行ったのでお金持ちなのは知ってましたが、まさか別荘まで持ってるんですね。

一般人の私達としては別荘と聞くだけでテンションが上がります。

うーんでも、行ってみたいですけど。


「すみません、私も夏休みは祖母の実家に帰省する予定なんです」

「む、そうか。村基と姫様は参加できないか。まあご家族を大事にするのは良い事だ。

それで他の皆はどうする?最初から最後まで居てくれても構わないし、都合の付く日だけでも良いぞ」

「そういう事であれば……」


どうやら皆は行く方向で話が進んでます。

その様子を私は村基くんと一緒に眺めていました。

ただその横顔がどことなくほころんでるようにも見えます。


「……村基くん、なんだか嬉しそう?」

「おっと顔に出てたか。

いやな。別荘に行けないのはちょっと残念だけど、ああして皆が楽しそうにしてるのを見るのも良いものだなと思って」

「なるほど、言いたい事は分かりました。

でも、その発言はちょっとお年寄り臭くないですか?

孫の成長を眺めるお祖父ちゃんというか」

「おじいちゃんは酷いなぁ。それを言ったら同じように皆を見てた藤白はおばあちゃんになってしまうぞ?」

「うっ」


しまった。藪蛇でした。

でも私もそんな目をしていたんでしょうか。


「おいそこの老夫婦。お前達も別荘に行ってなにするか意見だせ」

「って聞こえてたんですか!?」

「儂らはまだ若いぞ!」

「村基くんも乗らなくて良いから」

「は~い」


そうして私達は昼休み終了のチャイムがなるまで、色々と意見を出し合いました。

うん、やっぱり眺めているのも良いけど、こうして一緒に考えるのも楽しいですね。



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