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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第5章:テスト勉強をしよう
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68.お金持ちのお宅訪問

リムジンの中は快適で、なんと車内なのに小型の冷蔵庫まであってジュースが冷えていた。

それを皆で飲みながら雑談していると間もなく車が止まり後部座席のドアが開いた。

どうやら黒部先輩の家に着いたらしい。

ドアに近い順に降りてみれば俺達の目の前にあったのは庭付きの洋館。

高級ホテルと言われたら納得出来るんだけど、この流れからして個人宅だよなぁ。


「皆様ようこそお越しくださいました」

「こちらこそ急な訪問に対応して頂きありがとうございます」


恭しく礼をする爺やさんに藤白がお嬢様のような礼を披露して応える。

何というか、俺達は場違いな気がしてきたな。


「ささ、外は暑いでしょう。早速中に入りお寛ぎくださいませ。

おぼっちゃま。私は車を車庫に入れてまいりますので」

「うむ。後は任せよ。さあ皆、こっちだ」


勝手知ったる我が家ということで先頭を歩く黒部先輩に続いて屋敷の中に入った俺達はエントランス(個人宅にあるんだな)を通り抜けてリビングへと通された。

まあリビングと一言で言っても俺の住んでるマンションの部屋より広いんだけどな。

部屋の中央にあるテーブルを囲むように置いてあるソファは庸一が3人座っても十分余裕があるくらいに広い。


「うわぁ。皆さん、このソファ凄いです。ふかふかですよ~」


テンションの上がっている青葉さんがいの一番にソファに座ってその感触に感動していた。

その様子を微笑ましそうに眺めつつ庸一がどれどれと座ると青葉さんの時より深めに沈み込んだ。

それを見て更に笑いだす青葉さん。

魚沼さんは本棚が気になってるみたいだ。

それをみたハルが興味深げに並んで本のタイトルを見ながら魚沼さんに問いかけた。


「何か面白い本でもありましたか?」

「はい。これとか、結構好きです」

「『雪は答えを知っている』ですか。確か雪の形などからその年の気候を推測出来たり大気汚染の状況が分かるんでしたっけ」

「うん。他にも降った先の街の人たちの幸せレベルによっても違うんだって。

犯罪が多い街では雪の結晶もぐちゃぐちゃになっちゃうんです」

「地域によっては雪は冬の精霊だっていう信仰の対象だったりしますしね」

「そうなんだよね」


うーん、あっちはインテリなのかと思ったら若干ファンタジーな感じだな。

それで藤白は言えば巨大な液晶テレビの下の引き出しをごそごそしてる。


「みんな見て見て。Wllに256にRS5もありますよ~」


どうやらゲーム機を発掘していたようだ。


「というか、人の家に来て引き出しを漁るんじゃない」

「え、そうなの?てっきりお宅訪問=ベッドの下を調べたりアルバムを探し出すものだとばかり思ってました」

「いやいや。今時ベッドの下に何かを隠す人とか居ないから。

そうですよね、黒部先輩」

「ん、あ、ああ。そうだな」


なぜか口元に手を当てながらそっぽを向く先輩。

え、もしかして何か隠している系ですか?

というかみんな自由にしまくってるけど止めなくて良いんだろうか。

そこへカートを押しながらフリルの付いた服を着たメイドさんがやってきた。


「皆様。お茶をお持ちしましたよ」


その声を聞いてみんなテーブルの周りに集合してきた。

ちなみに今回の席順は、一人用の椅子に黒部先輩。さっき青葉さん達が座っていたソファにはそのまま二人と魚沼さんとハルが座る。

そして俺となぜか藤白も床のカーペットの上に正座で座った。

ふむ。このカーペットもふかふかで座り心地良いな。

と思ってたら黒部先輩を始め、みんながきょとんとした目でこちらをみてきた。


「……なぜソファに座らないんだ?」

「いや庶民の俺としては高級そうなソファよりもこっちの方が落ち着くんですよ」

「私も」

「ん?村基は分かるがなぜ姫様もなんだ?」

「え、だって私も庶民ですから」

「「ええっ!?」」


藤白の言葉に何故か驚くみんな。

ってそっか。藤白がバイトしてるのを知ってるのは俺だけだし、もしかして皆は藤白はどこかのお嬢様だと思ってたのか。



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