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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第5章:テスト勉強をしよう
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66.打ち上げどうしよう

いつもありがとうございます。

今回のサブタイトルは、まさに作者の心情を表してたり……

そして翌週になり、3日間に及ぶ期末試験が……終わった。

その解放感のお陰でどのクラスでも身体をほぐし腕を上げ喝采を上げる生徒がちらほらいる。


「終わった~~」

「いやぁ長かった」

「なんかあっという間だった」

「いやどっちだよ」

「終わればどっちだっていいさ」


俺のところにも庸一やハルが集まって来てお互いの老を労う。


「よ、おつかれさん」

「ああ。一会も」

「そうやって拳を合わせるのって体育会系っぽくて良いですね。じゃあ僕も。

あ、ちなみに今回も無事に赤点は回避出来そうです」

「そりゃ良かった」


今回のテストの山勘は的中率8割だったので解答する時に欄を間違えたとかしなければまず大丈夫な筈だ。

隣を見ればこちらを窺ってた藤白と目があった。

なぜか右手をにぎにぎしてるけど、もしかして藤白も拳を突き合わせて健闘をたたえ合う的なこれがやりたいのかな。


「えっと、藤白もやる?」

「あ、えと、いえ。結構です」


若干思い悩んだ末に首を横に振っていた。

あれはきっとやりたかったけど周囲の目が気になったとかそんなのだな。


「それで前回トップの藤白は手応えはどうだったんだ?」

「そうですね。カバ尾君のお陰でいい線行くと思いますよ」

「いや猫だから」

「「??」」


俺達のやり取りに首を傾げる庸一たち。

今ここで俺の描いたマスコットキャラが何に見えるか投票してもらっても良いんだが、それでカバに票が集まったらテストで赤点を取る以上に凹む自信があるので止めておこう。

どうせ俺は美術の成績は毎年2だ。

小学生の時には独創性に溢れていますねと評価された俺の芸術はピカソのように現代人には理解されないものだ。


「ま、それは良いとしてこの後の打ち上げどこに行こうか」

「あ、そういえば行き先は特に決めてませんでしたね」


テスト終わったら皆で打ち上げに行こうぜと話してはいたものの具体的に何をするとかは考えてなかった。

まあ無いとは思うけど赤点確定で打ち上げどころじゃない奴が居るかもしれないしな。

ともかく俺達だけで決めることでも無いし皆で集まってから決めるか。


「まずは他の皆さんと合流しましょうか」

「だな」


俺が言おうと思ってたことを先んじて藤白が言ってくれたのでそれに追従する。

さて集合場所だけど校門前でって言うとまた騒ぎになるんだろうなぁ。

なら裏庭に集まってからでいっか。

手早くみんなにメールを送りつつ俺達も裏庭へと移動する。

ただその途中、何人もの生徒たちとすれ違い気になる声を聞いた。


「この後どこに行く?」

「うーん、今回はカラオケかなぁ」

「おっけー」

「ねえねえ、駅前のパンケーキショップ行こうよ」

「いいね~」


当然と言えばそうなんだけど、テストの打ち上げに行こうと考えていたのは俺たちだけじゃなかったみたいだ。

もう誰も彼もが示し合わせたように放課後に寄り道をしていくようだ。

となると学年もクラスも違うせいで集合に時間を掛けている俺達は出遅れてしまったと言っていい。


「さてどうしたものか」

「確かに今から向かってもどこも混んでそうですよね」


裏庭に集まった俺達は頭を悩ませていた。

折角気晴らしに行こうとしてるのに満席で待たされるとか微妙だしなぁ。

いっそのこと別の日にするという手もあるかなって考えたけど、その場合は俺や藤白の予定が合わなくなる可能性が高いからと却下された。

何とも友達想いで有難い限りだ。

でもそうすると多少遠出するか他の人があまり行かない穴場スポットを狙うかという話になってくる。

と、そこで意外な提案が飛び出してきた。


「ふむ。ならば我の家に皆を招待するというのはどうだ?」

「黒部先輩の家、ですか。そんな急に6人も押しかけたら迷惑じゃないですか?」

「ふっ、なに。無駄に広い家だ。6人くらいどうという事は無い」


そうなのか。

うちだったら6人もやってきたら座る場所にも苦労するだろう。

自分の部屋の中を想像している内に、黒部先輩は善は急げと携帯を取り出しだ。


「よしそうと決まれば早速家に電話するとしよう。

そうだな。この人数では移動も面倒だから車を寄越すか」

「車ぁ!?」

「あ、もしもし。私だ。今日はこれから我が家に友人を招待して遊ぶことになった。

ん、誰のだと!?私のに決まっているだろう。

……ああそうだ。それで車で迎えに来て欲しい。

ああ。よろしく頼んだ」


なにやらひと悶着あったっぽいけど無事に親の許可は取れたみたいだな。


「12分32秒で校門前に着くそうだ」

「秒って」

「なに。爺やは几帳面だからな」

「「爺や!?」」


てっきり家に居る家族に連絡を取ったのかと思えば爺やと来た。

この話の流れからして実は祖父でした、なんてことは無いだろう。

もしかして黒部先輩は本物のおぼっちゃんなんだろうか。



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