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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第5章:テスト勉強をしよう
60/208

60.何かの意図を感じる

入口でひと悶着あったけど、無事に俺達は案内された席へと着いた。

5人だったからテーブルを挟んで2人と3人になって、体格の大きい庸一が居る方が2人なのもまぁ納得できる。

ついでに庸一の隣に青葉さんが居るのもまあいい。

でもなぁ。


「……これは俺に対する当てつけか何かか?」

「いえいえ」

「すまん、他意はなかったんだが」

「?」


座った順番は窓側に青葉さんと魚沼さん。その隣に庸一とハル。そしてハルの隣に俺だ。

それぞれの頭文字を取って図にするとこんな感じだ。


|―――

|魚庸

|□□□

|青ハ俺

|―――


つまりだ。

どこからどう見てもカップル2つとぼっちの俺って構図だ。

せめて男女で分かれるとかあったと思うんだけどさ。

まあいいんだけどな。


「それよりも注文はドリンクバーと軽く摘まめるポテトとかで良いか?」

「はい」


テスト勉強がメインなのでこの辺りのチョイスはさくっと決める。

呼び出しボタンを押せばさっきの店員さんが来てくれたので注文を伝え、男子3人で全員分のドリンクを取って来て、カバンから教科書類を出せば勉強の準備は完了だ。


「それで、庸一とハルが心配してるのはどの辺りだ?」

「俺は英語だな」

「僕は歴史の方が心配です」


日本の英語教育っていうのは多少改善された部分もあるけど、まだまだ本場では使わないような文法やら慣用句などを覚えさせるものが多い。

大半は暗記で済む訳だけど、暗記って言うのは興味のある分野でしか力を発揮しにくいからな。

ハルの歴史も同様に暗記ものだ。

それでも教える教師というか問題を考える教師の癖を見抜けばある程度出題を絞れたりする。


「そうだなぁ。今回の試験範囲で出てきそうなのは慣用句は例えばこれかな。

『It's not rocket science』

さてどういう意味だっけ?」


俺の問いかけに首をひねる庸一。


「うーむ、直訳すると『これはロケット工学ではない』か?」

「そうだな」

「……分かった。ロケット工学じゃない。実はミサイル工学だったんだ」

「いや、確かにミサイルとロケットは形が似てるけどな。

正解は『そんなに難しくないよ』っていう意味らしい。

つまり別に月まで飛べとは言ってないってことだ」


今時代はロケット工学って理系の大学に行けば一般教養として教えられるそうだけど、この言葉が出来た時代ではごく一部の専門家のエリートじゃないと分からないような難題だったんだろう。


「じゃあ続いてこれかな。

『When pigs fly』」

「なぜ豚が空を飛んだか、か。煽てられたからじゃないか?」

「いやそれじゃあ日本の慣用句ですよ。それに質問の答えじゃなくて質問そのものを考えないと」

「うん、英語では冷静に豚が空を飛ぶなんてどう考えても無理。

つまりあり得ないよ、絵空事だよって意味になるらしい」


国が変われば発想も変わるらしい。

ある意味どうすれば豚が木に上ったり空を飛んだりするかを真剣に考えてしまう日本人は真面目なのかもしれないな。

個人的にはそういう考え方は嫌いじゃない。


「あとはこれとこれと、この辺りを覚えておけば赤点は回避できるだろう」

「おう」


庸一は馬鹿じゃないしさっきの慣用句だって単語自体は理解出来ていた。

だからこういう引っ掛け問題さえクリアできればまず赤点にはならないだろう。

ただ、庸一とハルは俺の話をなるほどと聞いていたけど、女性陣はそうでは無かったようだ。


「あの、村基さん。お言葉ですが、そんなマイナーな慣用句がテストに出るんですか?」

「うん。普通出ないですよね」


それを聞いて顔を見合わせる庸一とハル。

そしてすぐに意味ありげに笑い出した。


「ふっふっふ。甘いですよふたりとも。

一会君が出ると言ったら8割がた出ます」

「あ、そこは必ずじゃないんですね」

「まあ預言者でもなければ超能力者でもないからな」

(そういう人の直感ほど馬鹿に出来ないんだけどね)


それでもかなりの確率で当たってくれるし、それでテスト以外でも救われたことは結構ある。

あとは出来れば宝くじとか競馬とかで同じように当たってくれたら大金持ちなんだけど、なぜかギャンブルだとめっきり当たらないんだよなぁ。


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