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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第5章:テスト勉強をしよう
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58.テストはオマケ

昼休みにいつものように集まった俺達は来週のテストについて話し合っていた。


「予想はしてたけど、青葉さんも魚沼さんも赤点の心配は無さそうだな」

「はい!

あ、でもでも、成績が良いとお母さんが喜ぶから勉強会はしたいです」

「部活動はテスト期間で自粛だと思うけど、馬の世話は必要だよね?」

「ええ、ジャネット達の世話はありますけど、朝の時間と昼休みに済ませてしまえば大丈夫です」


青葉さんは問題なく勉強会に参加、と。

続いて魚沼さんはと言えば楽しみというかちょっと不安そうだ。


「わたし、お友達と勉強会とか初めてです」

「大丈夫ですよ。勉強会って言ってもそんなに堅苦しいものじゃなくて、会話の内容がテストに関する事に変わるだけですから」

「そうそう。勉強1割お喋り9割だから、昼休みのこの時間とあんまり変わらない」

「いやそれはぶっちゃけ過ぎでは?」

「事実だけどな」


実際、数学や物理のように解き方が分からないから教えて欲しいって話でなく、単純な反復や記憶ものならひとりで勉強した方が集中できる。

ハルも庸一も赤点が心配なのはそういう暗記物とかだからな。


「藤白はどうする?」

「あ。ごめんなさい。その日は用事があって」

「そっか。テスト前なのに大変だな」


バイトなんかも職種によってはなかなか休めないし、習い事も3日休むと腕が鈍るって言うしな。

俺が藤白は大変だなと思ってたら隣から呆れたため息が聞こえてきた。


「一会君は藤白さんのこと言えないでしょう」

「だな。今週だってほぼ毎日バイトなんだろう?」


全くだと同意する庸一。

でも仕方ないだろう。


「俺の場合は食費稼がないといけないし」


別に1日2日休んでも問題ないくらいには貯蓄はあるけど、テストの為に切り詰める必要性は感じない。

むしろ正月や長期休暇のように他の人が休んでる時こそ稼ぎ時だ。

ただその話を聞いて藤白達がちょっと驚いてる。


「え、村基くんもバイトしてるんですか?」

「も?」

「あ、いえ。それで何のバイトをしてるんですか?」


藤白の言葉が若干気になったけど、まあ良いかと続きを答える事にした。


「メインは喫茶店のバイトだな。

他にも引っ越し業者とか工事現場とかな。

季節によってはスーパーの棚卸しなんかもやってるぞ」


指折り数えて行けばまだまだあるけど、細かいのはいっか。


「す、凄いんですね。

それで放課後はいつも直ぐに帰宅してたんだ。

でもなんでそんなにバイトしてるんですか?」

「そりゃ学費も生活費も全部自分で払ってるからな。

所謂苦学生という奴だ」


どうだ格好良いだろうと冗談めかして笑ってみる。

実際、生きるか死ぬかの瀬戸際でもないし、十分笑い話で済む話だ。


「まぁそれよりも今度の勉強会は藤白を除いた5人でやるということで」

「ちょっと待て!」


無事に話は纏まったと思ってたのに何故か待ったが掛かった。

しかも掛けた本人はご立腹の様子だ。おかしいな。


「おや?」

「『おや』ではない」

「おやおや」

「『おやおや』でもないわ。ええい、我をおちょくってるのか」

「いやぁ、そんなつもりは毛頭無いですよ」


腕を組み俺のことを睨み付ける黒部先輩。

何でかしら無いけど怒ってても迫力無いんだよなぁ。

それはともかく、一体何をおこってるんだろう。


「なぜ我のことは誘わんのだ!!」

「いや、なんでと言われても。先輩、学年違うし」


試験の内容も違うのだから先輩を誘ってもあまり意味がない。


「それでもだ。

せめて『先輩はどうします?』と聞いてくれれば

『ふっ、我のことは気にせず若い者達だけで行ってくるが良い』

と見送るものを」


つまり寂しかったんだな。

全く世話の焼ける先輩だ。


「安心してください。テストと言えばもうひとつ集まる口実があるじゃないですか。それも学年関係ないのが」

「む?」

「打ち上げですよ。打ち上げ。

最終日は全学年共通なんですからテスト終わったら皆でご飯でも行きましょう」

「ふむ、それなら良いな!」


すっかりご機嫌になった先輩。

ちょろいな。


「藤白はその日も用事あるのか?」

「ううん。流石にテスト当日は大丈夫です」

「他のみんなも、大丈夫と。

よし。なら魚沼さんの時以来、久しぶりに全員で遊びに行こうか」

「「はい!」」


そうと決まれば面倒なテストはさっさと終わらせてしまおう。


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