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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第3章:変わりゆく周囲
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39.ハルの相談

庸一の方の相談は、後日青葉さんに飼育している馬の事で何か困っている事は無いかを確認することと、折を見て動物園に遊びに行く計画を立てることで落ち着いた。


「なあ、動物園の件だけどふたりも一緒に来てくれないか?」

「ふむ」


女性慣れしていない庸一が女の子とふたりきりで遊びに出かけるというのはちょっとハードルが高いか。

なら手伝ってあげるのは吝かでは無いし、それとなく俺達は青葉さんから遠い位置に陣取れば大丈夫な気もする。

ただ。


「男女比が男3、女1じゃあ青葉さんの肩身が狭そうだな。

せめてもう1人くらい女子が欲しいところだ」

「確かにそうかもしれないな」

「僕らでは気付きにくい事とかもありますしね」


お手洗いとか、そうだな。

青葉さんがどうかは分からないけど「ちょっとお手洗い行ってくるね!」と男子に言うのは女子からしたら勇気が要る事かもしれない。

その点、女子がもう1人居ればそう言うのも察してあげられるだろう。


「適当にクラスの女子を誘うか。まあちょっと検討しておこう。

さて、庸一の方の相談はいったんひと段落として、ハルも何かあるんだよな。

昼休みに裏庭の方に行ってたのと関係があったりするのか?」

「知られてましたか」

「偶然歩いてるのを見かけただけだけどな」


学食からはグラウンドの方も見えるけど、昔は園芸部が使っていたという裏庭の方も見える。

尤も、園芸部は今は廃部になってしまい裏庭も放置されて荒れ放題の土地が広がってるだけだ。

だからそんなところに行っても特に何かあるということもない。


「僕の相談というのは、実は先日いじめの現場を目撃してしまいまして」


要約すると同じ1年の女子が複数の女子(こちらは学年バラバラ)に貶されて見下されている現場に遭遇。

ハルが近づいて行くと慌てて散っていったことから悪い事をしている自覚はあるらしい。

で、取り残されたいじめられていた女子に話を聞いたところ、内気で話下手なせいで特に何をしたという訳でも無いけど中学の頃からいじめを受けていたそうだ。

更に体育祭で他学年にも自分の存在が知られ、彼女らの憂さ晴らしのために裏庭に連れて行かれるようになったと。


「連れて行かれるって力づくで?」

「そうらしいです。

教室でも彼女に味方は居なくてひとりで食事を摂っていると周りから嫌がらせを受けるそうです。

なので仕方なくひとりになれる所を探して、その移動中や帰り道で積極的にイジメを行う女子に見つかると裏庭などの人目の付かない所に連れて行かれては突き飛ばされたり髪を引っ張られたり罵声を浴びせられたりするそうです」

「パシリというか財布を奪われたりとかは?」

「今のところ何とか抵抗しているみたいですね」


それで暴力に訴えるいじめがメインになっているのか。

幸い今は跡が残らない程度の暴行で済んでいるけど、基本的にいじめっていうのはエスカレートするものだからな。

そのうち一生治らない傷痕を付けられたり、男子も混ざって性暴力に発展するってことも考えられる。

身近でそういう犯罪が起きるのは寝覚めが悪いな。


「確かに何とかしてやりたいな」

「一会君ならそう言ってくれると思ってました」

「でもだ」

「はい?」


そう、でもだ。問題がある。

イジメってそう簡単に無くならないんだよな。


「俺達が直接介入していじめを止めろって言ったところで解決すると思うか?」

「……無理だと思います。

僕らが学校に居る間中ずっと一緒にいて守ることは出来ません。

そもそも彼女はE組で別クラスなので昼休みと放課後くらいしか会えませんし。

それに僕らが介入すると男に泣きつきやがってとか、酷いとあの女は男に身体を売って守ってもらってるんだなんて根も葉もない噂をばら撒かれる危険もあります」

「その噂が悪い方に行くとその女子の立場を悪くするだけだ。

より最悪を考えるなら、向こうも男子を呼び出したりしたら戦争だな。

そうなったら負ける気は無いけど」


(敵の息の根はキッチリ止めてやるのが後腐れがなくていい)


今の世の中、いじめを行う連中を物理的に排除するっていうのは無理があるし、何か作戦を練らないといけないか。




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