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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
序章:村人Aは学園に通う
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2.村人Aは学園に通う

俺こと村基 一会(むらき ひとえ)の通う英伝学園には創設以来、学園内の有名人に妙なあだ名を付ける伝統がある。

例えば「王子」「王女」「皇帝」「聖女」「魔王」などなど。

まるで厨二病かファンタジー小説の読み過ぎなんじゃないかと笑ってしまいたくなるが、それでも今に至るまでその伝統が生き残っているのは、そんなあだ名が似合う生徒が毎年数人は居るからなんだろう。

そしてそんな彼らは常に生徒たちの噂の的だ。


「聞いたか。王子と天使が付き合い始めたってよ」

「えぇ~~まじかよぉ。でもあの二人ならお似合い過ぎて文句も言えないな」

「ああ、まったくだな」


今も廊下を歩いている男子がそんな話をしながら通り過ぎて行った。

あ、もちろん王子も天使も普通の人間だ。少なくとも見た感じは。

ただその容姿がモデルとかアイドルでも通用するレベルなのと、あの二人に関しては性格もあだ名に似合っている。


「よお一会ひとえ。聞いたかあの噂」


そう言って俺の肩を組んできたのは兵藤ひょうどう 庸一よういちだ。

中学からの友人で身長180センチの筋肉質であだ名はソルジャー。

……言いたい事は分かるがもうちょっといいあだ名でも良いんじゃないかと思う。

ただあだ名が付いている事から分かる通り、学園内でもそれなりに人気がある。

文……はともかく、武つまり体育ではその肉体を活かして圧倒的な破壊力を齎している。って破壊しちゃダメだけどな。

不良グループを粉砕して更生させたとかの武勇伝もある。

まあそれはともかく。


「噂って、王子と天使がってやつか?」

「おうよ」

「そこかしこで噂してるからな。聞きたくなくても聞こえてくるさ」


俺のどうでも良さそうな回答に顎をさすりながら頷く庸一。


「ふむ。分かっていた事だが一会は興味なしか」

「そんなこと聞くまでも無いでしょう。我が道を行く一会君ですよ?」

「それは褒めてるのか?ハル」

「もちろんですよ」


俺達の会話に参加してきたのはハル。本名は阿部 春明(あべ はるあき)

こいつは小学校からの腐れ縁だ。

『一会君と一緒だと退屈しないで済みそうですね』

そう言ってなぜか俺の後を付いて来るちょっと変わった奴だ。

身長160センチの細身なので庸一と並ぶと落差が激しい。

化学と古文で満点近い成績を出したところから『陰陽師』と呼ばれている。

別に陰キャではない。

ちなみにそれ以外は赤点ギリギリで得意不得意がはっきりしている奴だ。


「芸能ニュースもそうだけど、どうも俺には他人の恋愛事に一喜一憂する気持ちが分からないよ」

「ふむ。じゃあ例えば俺に彼女が出来たらどうだ?」

「そりゃあ気になるだろう。庸一は親友で他人じゃないからな」

「はっはっは。嬉しい事を言ってくれるじゃないか」

「いたいいたい。バシバシ背中を叩くな。自分の怪力をもうちょっと考えろ」

「ふふっ。庸一君は一会君が大好きですからね」


照れ隠しに俺の背中を叩く庸一。

それに対し意味深に呟くハル。

ついでにそれを見てクラスの一部女子から黄色い声が聞こえて来るまでがよくある俺達の学園風景だ。

ちなみに、俺のあだ名は誰が呼んだか『村人A』。

別に容姿は普通だし成績面でも突出はしてないし目立つところはない筈なんだが、入学式の時に道に迷ってた女子を案内してたのが見られてたらしく「あいつは最初の村に入った時に最初に話しかける村人Aだな」となったらしい。

まあ蔑称って程でも無いし、それが理由でいじめの対象になったことも無いからなんて呼ばれてようが気にしない。

それに庸一とハルが良く一緒に居てくれるのでクラスで孤立してる訳でもないから今のままでも楽しいものだ。

俺達はRPGで言えば前衛(ソルジャー)1人、後衛(陰陽師)1人、サポーター?(村人)1人なのでバランスは悪く無いのかもしれないなんて思ったりもする。村人が何かの役に立つかは謎だけどな。


(ヒーラーは必須よ。仕方ないから私がなってあげるわ)


はいはい。癒し担当ね。

でもどっちかというと食いしん坊担当の方が近かったな。



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