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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第13章:村人らしく姫様らしく
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194.決闘に付き物

姫乃の挑発に乗った皇子は、何を思ったのかじっと姫乃の顔を見つめ、そしてニヤリと笑った。


「ふっ、そこまで言うなら賭けをしようじやないか」

「「賭け?」」


突然の提案に俺達だけじゃなく学院側も首を傾げた所を見ると皇子の独断のようだ。


「そうだ。決闘といえば勝者には栄誉と共に敗者のものを手に入れる権利が与えられるものだ」

「……」


また何を言い出すかと思えば。

学生が、しかも学校行事で賭事など認められる筈がない。

というのは俺達だけの常識だったようだ。


「よろしいですね、先生」

「あ、ああ。まぁそうだな。

決闘なのだからな」


うわ、先生立場弱っ。

皇子の提案ならば仕方ないって感じで頷いてしまった。

生徒の暴走を止められない教師なんて居る意味ないだろう。

ともかく、大人の許可は出てしまった。

ならまずは皇子が何を言うのかを見極めるか。

もしこれで「勝ったら1万円」とか言うなら放置しても良いし。


「では我が決闘で勝ったらそちらの姫を頂こう。

やはり気高く美しき薔薇は野に咲くよりもよく管理された庭園で咲くほうが美しいからな」

「えっ、私?」

「そうだ。そこの村人が我に勝てると言ったのは君だ。

それが嘘ではないなら問題無かろう」

「えっと……」


あまりの阿呆な発言に唖然となる姫乃。

まぁ突然お前が欲しいとか言われるとは思ってないよな。


「残念だけど問題は大有りだな」


姫乃の代わりに俺が発言すれば皇子が馬鹿にしたように笑った。


「はっ、やはり我に勝てぬから闘いを避ける気か。

今なら土下座して頼み込めば聞いてやっても良いぞ」


やっぱりこういう手合いは何故かやる前から勝てる気でいるのが謎過ぎる。

だから肝心なことが色々抜けるんだよ。


「いや、勝つとか負けるとか言う前に1つ聞きたい。

こちらが勝ったら何を差し出す気だ?」

「ナメた口を。我が負ける訳が無かろう。

だがそうだな。

万が一、我が負けるような事があれば100万くらいは出してやろう」

「100万?それは米ドルか?それとも金塊を100万キログラムってことか?」

「なっ、円に決まってるだろ!」

「はぁ。なんだ貧乏人だったか」

「なんだと!!」


はぁ〜〜とこれ見よがしに溜め息を吐いてあげる。

まったくたった100万円じゃ掛け金にもならないんだけど。

せめてまずは億を最低基準にしてほしい。


「ならば幾らなら満足するんだ。言ってみろ」

「そもそも金で解決出来ると考えてる時点で阿呆だと言っている。

姫乃の事が欲しいというならベットするのはお前の命しかないだろう」

「「なっ!?」」


会長達が驚きの声を挙げたが、俺は別に間違った事は言っていない。

仮に皇子としては姫乃に学院に転入しろと言ってるだけだったとしても姫乃の意思を無視して強制させようと言ってる以上、命を奪うに等しい。

冗談でもそんな要求を出した以上、遊び感覚で話を勧めさせる気はない。

もちろん前言撤回するというのならこれ以上争う気は無いのだけど。


「ふざけるなっ。我の命とその女の命の価値が等しいと言うのか」

「別に等しいとは言ってない。

ただお前の要求に多少なりとも釣り合う対価が何かを提示しただけだ」


口にはしないが、この男が100万人居ても姫乃1人とトレードする価値は無い。

俺からしたらこいつはむしろゴキブリ以下の害獣みたいなものだからな。

タダでくれると言われても叩き返すだろう。


「さっき決闘とはプライドと命を賭けた戦いだと言っていたのはただのハッタリか?」

「どこまでもふざけた口を叩きおって。

良いだろう。そこまで言うなら乗ってやる。

だか言ったからには貴様が相手なのだろうな、村人A」

「そちらこそ、貴族だからと代役を立てたりするなよ」

「良いだろう。今から貴様が無様に命乞いする姿が目に浮かぶぞ」


睨み合う俺達。

そこに待ったが掛かった。


「待てふたりとも。残念だが学園としてはそんな事を認める訳には行かない。

賭け事もそうだか、命を賭けるなど言語道断だ」


おお、流石会長。

まだまともな思考を持ち合わせてくれた。

それ本来なら真っ先に教師が言うべきなんだけど。

その教師はというと、


「まぁまぁ、彼らだって本気で殺し合いをする訳ないじゃないですか。

そちらのお嬢さんについても短期留学生として本学院に招くだけですよ。

きっと」


などと実に空気読めてない発言をしている。

もしここがキヒト達の世界なら既に癇癪を起こした貴族が剣を抜いててもおかしくない。

まあ見たところあの皇子かその親に弱みを握られてるっぽいしなぁ。



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