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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第13章:村人らしく姫様らしく
193/208

193.村人への評価

学院の人達を生徒会室まで送り届ける事。

それが俺達に依頼された内容だったので、無事に生徒会室に到着したところでお役御免になる。

……なんてことを期待したのだけど。


「姫様と村人Aもこの後の打ち合わせに同席してくれ。

どうせ今から教室に戻っても中途半端だろうしな」


やっぱりそうなったか。

でなければ俺が村人Aだからって生徒会とは関係のない俺をわざわざ使う必要は無かった。

順当に考えれば副会長位が担当すべき事だろう。

仕方ないので俺達は極力端の席に座って話を聞くことにした。


「まずはようこそ王貴学院の皆さん。

私が今期の英伝学園の生徒会長、織田です。

学園内では『将軍』のあだ名で通っています」

「王貴学院の皇子。浅田だ。

それにしても英伝学園は随分と人材不足と見えるな。

それとも隠しているのか」

「何のことでしょう」


初っ端の挨拶からしてなにやらきな臭くなったな。

というか向こうは喧嘩腰を隠す気が無いようだ。

皇子……これはこちらで言うあだ名であり、同時に生徒会長を兼任しているようだ。

なら公爵令嬢が副会長に相当するのだろう。そんな雰囲気だ。

その皇子はチラリとこちらに視線を送って来た。


「村人Aなどという底辺の者を我らの迎えに寄越すなど何を考えているのか。

隣の野バラの君の存在を際立たせるのが目的なら出しゃばらない様に申し付けておくのだな」


どうやら俺の事が相当お気に召さないらしい。

それ自体はどうでも良いんだけど、さっきから無言の姫乃が怖いから何とかしてほしい。

するとその意を汲んでくれたのか会長が反論してくれた。


「この学園では能力次第で誰でも重用されるんです。

彼はその代表と言っても良い優秀な生徒だ。

その点は親の威光で上に立てるどこかの学院とは違いますからね。

理解できる柔軟性を持てというのは無理かも知れないですね」


バチバチと会長と皇子の間で火花が上がる。

姉妹校と言ってもどちらかというとライバル関係って感じだな。

そう思ってみてたら隣から「あの2人は去年の試合で泥沼の勝負を繰り広げたんだ」と教えて貰えた。

そうか、会長は去年は副会長だったから当然対抗試合に出場してたのか。

つまり学園だけでなく個人としてもライバルだと。


「時間も惜しい事ですし本題に入りましょう。

来週末に行われる対抗試合。

去年はそちらの校舎での開催でしたから今年はこちらの校舎での開催でよろしいですね」

「ああ。

そして種目は招かれる側、つまり我々が指定する」

「ええ、それで結構です」


自分のホームで種目も決めるとなると不正を働くとまではいかなくても有利な種目を選べるからな。

少しでも公平性を保つ為の処置なのだろう。


「そしてこれが今回こちらから提示する種目だ」

「ふむ。皆に見えるようにホワイトボードに書き出してくれ」

「はい」


サッと立ち上がった書紀が渡された用紙にある種目を書き出していく。


・チェス(1手1分)

・乗馬

・演奏(クラシック、ソロ)

・社交ダンス

・決闘


ふむ。チェスや乗馬は勝敗が分かりやすいけど演奏やダンスは評価基準が難しそうだ。

その辺りの採点はどうするんだろうか。


「審判については両校から音楽ならびに舞踊の資格を持つ教師が1名ずつ担当する。

更に公平性を保つために外部の講師も呼ぶ予定だ」


なるほど。

外部となると袖の下が心配にはなるが、それを言ったら身内だとしても裏切る可能性はあるので仕方ないとも言える。

後の問題は、決闘か。


「決闘は具体的に何をするんですか?」

「ふん、所詮は村人。馬脚を現したな。

決闘といえば当然、お互い自校のプライドを背負い行う命を賭けた戦いだ。

村人ごときではプレッシャーに潰されてその場に立つことも出来ないかもしれないな」


プライドねぇ。

確かに俺はそんなものは背負う気はないな。

それにしても皇子は相手を見下さないと話せない病気なのだろうか。

俺はもう慣れてきたけど。

でも俺の隣に座っている姫乃は我慢出来なかったらしい。


「お言葉ですが、実際にあなたと一会くんが闘えば勝つのは一会くんだと思いますよ」

「なんだと!?」


姫乃の挑発にあっさりと乗ってくる皇子。

こんなに沸点低くてよく学院の代表が務まるなって感心してしまう。

よっぽど周りが優秀なのかもしれないな。



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