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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第1章:姫様と村人A
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19.後日談

それからも、風の噂ですけど何度か村基くんは先輩方に絡まれたそうです。

絡まれた理由は一言で言えば「村人Aらしくないから」だったそうです。

村人Aらしさって何でしょうね。

それと同じように私の方にも何人かの先輩が話をしに来ました。

こちらも同様に「姫様らしくしましょうね」とのことです。

まあ流石に私の方は暴力沙汰になることはありませんでしたし表現はオブラートに包んでましたが。

村人らしく姫様らしくと言われてもいまいちピンと来ません。

なにせ私は昔から「もうちょっとレディとしての嗜みを持ちなさい」なんて言われてきた方ですから。

今ですらちょっと猫を被ってると自負しています。

話を戻して村基くんが先輩方に絡まれて大丈夫だったかと言えば何も問題は無かったようです。

最初のあれ以降、事件が起きるときには決まって影から阿部くんがサポートをして、表からは兵藤くんがその体格と腕っぷしを使ってそちらが手を出すなら容赦しないぞと威圧することで事なきを得たようです。

その結果、かどうかは分かりませんけど阿部くんには『陰陽師』というあだ名が、兵藤くんには『ソルジャー』というあだ名がそれぞれ付けられ、3人合わせて『かけだしパーティー』なんて呼ばれているそうです。

それを聞いた村基くんはというと、


「ま、面倒が減るなら何でもいいさ」


と気の無い様子です。

でも実際に王子や姫ほどでは無いにしろ、周囲から一目置かれるようになったのは確かなようです。

なにせ朝の登校の時にたまたま一緒に来ても多少睨まれるだけで済むようになりましたから。

ただ。

後から知った事ですけど村基くんが絡まれなくなった本当の理由は、村基くんが絡まれる度に言っていた事が広まったからみたいです。

曰く、


「あなた達は村人Aらしくというけど、

俺のイメージする村人Aといったらどの村にも居て最初に『ようこそ○○村へ』と言う役だ。

そいつは相手が駆け出し勇者だろうとベテラン勇者だろうと関係なく同じように言うだろう?

なら姫様相手でも他の人と同じように接するのが村人Aらしさじゃないか。


あと村人Aは村が壊滅するような襲撃が無い限り常に平然と村を歩いてると思うんだ。

だから俺は誰かが攻撃してきても全て撥ね退けて何事も無かったように日々を過ごしている。

それが俺に出来る村人Aらしさだ」


それを聞いた私は、ああ村基くんらしいなと小さく笑ってしまいました。

言っている事は格好いいんですけど、要は他人のあだ名に関係なくやりたいようにやって降りかかる火の粉は撥ね退けるぞって言ってるだけです。

実に自由奔放な村基くんらしいです。

それと村基くんはこうも言っていたそうです。


「仮に村人Aは姫様の近くに居てはいけないのだとすると、万が一姫様が隣にでも来ようものなら俺は悲鳴を上げて逃げる必要があるのか?

それは姫様に対するいやがらせ以外の何物でもないと思うぞ。

姫様だから優遇されるのはまだ良いけど、他人と差別されたら彼女は自由に友人も作れない寂しい学園生活を余儀なくされることになる。

あなた達はそうさせたいのか?」


想像してみてください。

私がちょっと誰かに声を掛けようものならその人は「ぎゃー--っ、姫様だー--」と叫んで逃げていく。そんなのいじめ以外の何物でもないでしょう。

同級生に声も掛けられないのでは学園に通う意味すらありません。通信教育で十分です。

そういう意味では村基くんには感謝しています。

ただ、その弊害というか「なら俺も姫様に告っても良いのか!」みたいな思考の男子がかなりの人数に上ったらしく、週に数回、多い時だと3日連続で同級生先輩関係なく見知らぬ男子からラブレターや告白を受ける羽目になりました。

うーん、私なんかのどこがそんなに良いんでしょうね。


「顔が可愛くてスタイルが良くて声が綺麗でいつも笑顔でやさしそう。

俺らくらいの年代の男子ならその幾つかが揃ってたら十分なんじゃないか?

特に藤白さんはそれら全てが完璧なんだから」

「はぁ。また村基くんはそう言う事を恥ずかし気も無く言うんですから」

「事実だからな。誤魔化しても仕方ないだろ」

「だからそういう所ですよ。

それに村基くんは特に私に惹かれているようには見えないですけど、実は女性に興味がないとかですか?」

「勝手にゲイ疑惑を持ち出すな。普通に女性が好きだからな。

ただまあ、そうだな。外見よりもまず、生涯一緒の人生を歩めるかどうかが大事じゃないか?」

「なんですかそれ」

「さあ」


ふっと逸らした顔は、どこか哀愁が漂っていてそれ以上問いかけることは出来ませんでした。

もしかしたら村基くんは誰か大切な人とお別れをしたことがあるのかもしれないです。

あの人たちのように。


いつもありがとうございます。

ここまでで藤白視点は終了です。

次回から一会視点に戻ります。


そして。

せっせと投稿開始前に作っていた分が終わりました。

この先は毎日更新が途切れるかもです。

(エタるつもりはありませんが、2,3日に1話とかになるかもしれません)

と言いつつ次の章も大体描き終わりましたのでもうちょっと毎日更新です。


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