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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第12章:望んでいた日常
189/208

189.家に帰るまでがデートです

いつもお読みいただきありがとうございます。


先輩達と別れて地元へと戻ってきた俺達は一緒にスーパーに寄っていた。


「姫乃、何か食べたいものある?」

「一会くん、それ私のセリフ」

「残念。早いもの勝ちだ」


確かに普通なら彼女が彼氏に聞く言葉だ。

ただ俺達の場合、どっちも料理するし特別どちらかが上手って訳でもない。

休日ともなれば一緒に料理することも珍しくないので、こういったセリフもどっちが言ったって良い。


「と見せかけて、一会くんは何が食べたいの?」

「くっ、まさかまるでさっきの事が無かったかのように聞き返された」


姫乃も俺の扱いが段々慣れてきてるな。

こういう他人がみれば馬鹿っぽいやり取りは結構好きだ。

……まさかこれがバカップルと言うやつか。

とそれこそバカみたいな事を考えながら商品だなの側面に貼ってあるチラシを眺めていく。


「お、今日は鳥肉が安いみたいだ」

「ホントですね」

「ならそこに野菜を幾つか見繕って」

「お鍋にしましょう」

「今日はまだまだ寒いからな」


トントン拍子に夕飯が決まる。

こういう時どちらも好き嫌いが無いのがありがたい。

一人暮らしで鍋とかやりにくいし姫乃と一緒に食事をするようになったのは色々とプラスだ。


「えっと白滝とネギと豆腐と……」

「白菜にシイタケにエノキに……」


俺達はお鍋に入れる具材を買い物かごへと入れて行く。

ただそこでカゴを持つ俺は違和感を覚えた。


「あー、姫乃さんや」

「え、なに?」

「これ何人分だろう」

「もちろん2人分でしょ?って、あれれ」


それぞれ好みの具材を入れてたらカゴがいっぱいになっていた。

多分2人ともが2人ならこれくらい食べれるだろうと思って入れた結果なんだけど困ったな。

普通に4人分くらいはあるんだけど。


「さて、どれを除こうか」

「そうですねぇ」


カゴを前にして悩む俺達。

これが2つずつ入れてたから1つに減らそうっていうなら簡単だった。

だけどそう言う訳でもないし、不要なものがある訳でもない。


「ここはまず白滝に退場頂くか」

「いえボリュームで言えば白菜が一番大きいですからこちらから」

「いや白菜が入ってない鍋とかどうよ」

「それを言ったら白滝は私も欲しいです」

「むむむ」

「うーん」


何というか今日一番の悩み事な気がしてきた。

お互いに自分が居れた具を減らそうと言えば相手から待ったが掛かる。

かと言って相手がカゴに入れた具は欲しいから入れたので、それを取り除いてくれとは言いたくない。


「仕方ない。解決策は1つだな」

「そうですね。残念ですが」


じっとお互いに目を合わせて一斉に口を開いた。


「「明日も鍋にしよう(しましょう)」」


2人の口から同じ言葉が出てきたことにお互い安堵する。


「ふぅ~」

「これで違うことを言ったら困ってましたね」

「だな。さて、2日連続鍋なら味くらいは変えるか」

「そうですね」


俺達は気を取り直して鍋の素が売ってるコーナーへと向かった。

最近は出汁とったり味付けを1から自分たちでやらなくても手軽にキムチ鍋や豆乳鍋を始め各種簡単に作れる時代で助かる。

数ある中から俺達は水炊きともつ鍋の素を取った。


「こういう鍋の素も基本的に2人前~だから1人だと中々買わないんだよな」

「半分だけ使うって手もありますけど、じゃあ残りの半分はいつ使うんだって事になりますからね」


無事に買い物を終えた俺達は家に戻り早速夕飯の準備に取り掛かる。

具材を切ってポータブルコンロをちゃぶ台に置きその上に鍋をセットする。

そして特に失敗する要素もないので平和に鍋を囲むのだった。

実にまったりと、まあいつもどおりなんだけど、思い返せば今日はデートだったんだよなぁ。


「今日は普通にウィンドウショッピングして過ごす予定が随分変わっちまったよな」

「そうですねぇ。

一会くんと一緒に居るって言う事は、今日みたいなことが日常だってことなんでしょうね」

「否定しきれないのが悩ましいところだな」

「退屈し無さそうで良いじゃないですか。

もちろん一会くんと2人でのんびりするのも好きですけど」

「また今度一緒に出掛けような」

「はい」


鍋を食べて片付けも終えた俺達はベッドを背もたれにしながら肩を並べて座っていた。

姫乃に触れる左腕から姫乃の体温が伝わって来て落ち着くようでそれ以上にドキドキするのはまぁ仕方ないだろう。

やっぱりまだまだ老夫婦には程遠い訳で。うん。

ちらりと姫乃を見れば姫乃もこっちを見てにこりと笑う。


「先日読んだ雑誌によると」

「うん」

「彼女を家に送り届けるまでがデートだそうですよ?」

「そうか……んん?」


ここは俺の家な訳でつまり今はまだデートの途中だったのか。

なるほど。それなら仕方ないなぁ。

俺は黙って左腕を持ち上げるとぐるっと回して姫乃を抱き寄せた。

姫乃も抵抗せずに俺にもたれ掛かってくるしどうやら正解だったみたいだ。



【予告】

今回の章ですが、気が付けばまったりいちゃいちゃしてしまい、この後に入れる予定だった話がちょっと場違いになりそうなので、次の章送りにすることにしました。

なので、後程この章のタイトルを変更いたします。

(タイトルだけなので読み返したりは不要です)

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