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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第11章:ハッピーホリデーズ
171/208

171.お参りにおみくじ

日本人の不思議な所は、普段は神様なんてこれっぽっちも信じて居ないけど正月には初詣に多くの人が神社に参拝することだ。

まぁ、俺達もこうして来てるので他人の事は言えないか。

俺は賽銭の列に並びながら時間もあるしちょっと聞いてみた。


「皆は神様を信じてるのか?」

「いや、まぁ……」


聞いてみれば皆、曖昧に言葉を濁していた。

まぁここで神様なんて居ない!って言ってしまうのは周りの人に迷惑か。


「そういう一会くんは信じてるんですか?」

「俺か。俺は居てもいいとは思ってる。でもな」

「でも?」

「神様が助けてくれるとは微塵も思ってない」

「「ああ」」

「何と言うか一会くんらしい回答ですね」


夢の中の世界なら魔神も居れば神殿で祈りを捧げることで女神にも会えた。

だから存在自体を疑う気はない。

だけど助けてくれるのかと問われれば頷くことは出来ない。

あの女神でさえ、こちらの願いは叶えてくれたのかもしれないが、その代償がキヒトの心と体だった。

それにもしかしたら女神にもあの魔神を倒す必要があって、キヒト達は丁度良いコマとして使われた可能性だって考えられる。それに、


「他人に与えられた幸せは他人によって奪われるって言うしな」


施しを受けるなとは言わない。

でもそれに依存してしまえば生殺与奪の権利を相手に与えてしまうに等しい。

あくまでも自分の幸せは自分で築き上げる必要があるんだ。

だから俺は神様に祈らない。

順番が来たので、賽銭箱に5円玉を投げ入れて手を合わせる。


(俺の大切な人の幸せを奪おうとするなら神でも運命でも阻止してみせるから覚悟しておけ)


祈る代わりに心の中で告げるのは宣戦布告。

ここの神社は縁結びの神様を祀っているらしいが、誰かとの縁が結ばれれば別の誰かとの縁が切れる事もある。

この先の人生で、もちろん多くの出会いと別れを経験することになるだろう。

だけどそれは自分の手で掴み取るのであって、誰かに強制されたり命令されたりする気はない。

全員が済んだのを見て次に向かう。


「……やっぱりやるの?」

「折角来たからね」

「僕の確認した情報によると、ここのは一味違うそうですよ」


何がっておみくじだ。

おみくじなんて基本、大吉から大凶のどれかと、それにあった誰にでも当てはまりそうな文句が書かれているものだ。

変わったのでは大中小どれにも当てはまらない吉?みたいなのがあったり、子供が頑張って書きましたってものがあるのは聞いたことがある。

だけどハルがそれくらいでこんな意味深な事を言うとも思えない。


「どれどれ」


俺達は少し期待しつつおみくじを引いてみた。

最初に思ったのは吉とも凶とも書かれていないなということ。

おかげで良い結果だったのか悪い結果だったのかが分からない。

なるほど、確かに普通のおみくじではないらしい。

そして俺のやつにはこう書かれていた。


『【前進あるのみ】

あなたの幸せも成功も後ろにはないし、立ち止まっていても届かないでしょう。

ならばどんな壁が前に立ちはだかろうとも前進し突き破りなさい。

今年もあなたの為に多くの試練を用意していますよ』


ふむ。

言いたい事は多々あるけれど、まずはこれ書いたやつをぶん殴っていいだろうか。

もし神様だっていうならわざわざ試練を用意してるとか、こっちは求めてないっての。

良いから黙って見守っててほしい。


「それで姫乃はどうなんだ?」

「私?私はこんなのでした」


『【殴れば良いと思うよ】

あなたの前には多くの理不尽が待ち構えているでしょう。

周囲に従いその理不尽を受け入れるのも道です。

しかし時として抗いたい時があるでしょう。

その時は邪魔する者を殴り飛ばしてしまいなさい』


なんとも過激な事が書いてあるな。

一瞬「笑えば良いと思うよ」って昔の有名なフレーズが頭を過ぎったけど、言ってることはただの物理だ。

まあ実際理不尽に対抗するのは最終的には拳だってパターンは良くある。

特に女性は男性から暴力で何かを強制させられることがあるからな。

あ、もちろん俺はそんなことをする気は無いし、しないと誓える。

それに姫乃にそんなことをさせなくて済むようにするのが俺の役目とも言えるし頑張ろう。



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