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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第11章:ハッピーホリデーズ
170/208

170.明けまして、いざ!

波乱のクリスマスが過ぎた後は特に大きな問題も無く、ゆく年くる年ものんびりと一人で過ごした俺は、1月1日を忙しく過ごしていた。

というのも、方々へのあけおめメールの送信やら送られて来たメールの返信やらをやっていたら出掛ける暇もなかった。

お陰でお雑煮食べてきなこ餅食べてミカン食べて甘酒飲むくらいしかしてない。

って食べてばっかりだな。

ちなみに我が家、というか祖父の代からしか知らないけど正月と言えばお餅料理がメインでおせち料理は食べる習慣がない。

それを話すと光なんかは驚いていたな。

それならと以前1回だけ光の家に招待されたことがあったけど、3段重ねの重箱に詰められたおせち料理を見てこれが本物かと驚かされたことがあった。


まあともかく。

そんな感じで元旦を過ごして2日。

今日はみんなで初詣に行く約束になっていた。


「……よし」


鏡を前に最終チェック。

別段いつもと変わらないんだけど、気持ちの上では今日は決戦だ。

俺の肚が据わらないせいで姫乃には1週間、いやもっと前からか、待たせてしまったからな。

まったく誰が年末に来年まで待てなんて言ってしまったのか。

普通なら1年待っての意味なのに絶対そう取られてないって確信がある。

むしろ1月1日の午前0時0分に押し掛けて来なかっただけ良心的だったのかもしれない。

逆の立場だったら……。

最後にマフラーを首に巻いた俺は近所にある特に有名でもない神社へと向かった。

待ち合わせ場所には、まだ10分前なのに皆揃っていた。

庸一なんかはもっとギリギリに来るかなと思ってたけど、隣にいる青葉さんのお陰だろうか。


「明けましておめでとうございます」

「はい。今年もよろしくお願いします」


定型文の挨拶を交わした後、そっと姫乃の顔を見る。


「……」

「?」

「よし」


良かった。ちゃんと向き合えてる。

これで真面に顔も見れないんじゃ姫乃に悪いしな。

もちろん今もドキドキはしてるけど、適度な高揚感と言うか痛くも苦しくもない。

姫乃は何を思ったのかススッと俺の傍に近づいて来たので、以前のようにその頭にぽんっと手を置いた。


「よしよし」

「ふふっ」


姫乃も嬉しそうに俺を見上げてくるのでそのまま撫でておく。

このふわっとしててサラサラの髪はずっと撫でていても飽きることは無さそうだな。


「「…………」」


ただ、気が付けば周りから何とも言えない視線が飛んできていた。


「うーん、問題は解決したと連絡は貰っていたけどな」

「早くもバカップルになってますね」

「幸せそうだから良いんじゃないですか?」

「ですね。ちょっと羨ましいです」

「だが、俺達は良いが他から殺気の籠った視線が飛んできているから程々にな」


あ、うん。

小さな神社とは言え、ご近所と思われる人達がそれなりに居るし、同年代、それこそうちの学園生と思われる男子達がさっきからこっちを睨んでた。


「仕方ない。続きはまた後でな」

「そうですね」


姫乃の頭から手を離して降ろせばあら不思議。ちょうど良い所に掴みやすいものがあるじゃないか。

人混みははぐれやすいからお詣りが終わるまではこうして手を繋いで行こう。


(ちょっキサマ村人A)

(すげぇ自然に手を繋ぎやがった)

(姫様も嫌がる所か嬉しそうに、しかも更に自分から身を寄せる、だと!?)

(くっ、俺なんてまだ彼女の手も握ったこと無いのに)

(え、おまえ彼女居たの??)

(ハッ、しまった!)


外野はともかく、俺達を見たハルや庸一達まで、それぞれはにかみながら魚沼さん、青葉さんと手を繋いでいた。

……黒部先輩だけ一人腕組みしてるのは……後で何か奢ろう。うん。


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