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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第10章:季節外れの萌芽
152/208

152.姫様は姫様になりました

~~ 姫乃 Side ~~


VRマシンを起動してみれば、いつの間にか私は満点の星の中に立っていました。

視線を下に向ければ青く美しい惑星が見えます。

といっても大陸の形状からして地球ではないようですが。

説明にあったように異世界、もしくは別の惑星に向かっているということなのでしょう。

ぼんやりとその惑星を眺めていたら目の前に淡い光の玉が出てきました。


『ようこそいらっしゃいました。私はナビゲートAIです。

あなた様にはこれからあの星で活動をして頂くことになりますが、その準備の為に幾つか確認をさせて頂きます』


こういうのを見ているとこれが現実では無くてヴァーチャルなんだなってよく分かりますね。

そう言えば最近のVRはリアルとの境目が無くなりつつあり、それこそが問題だとニュースでやっていたのを見たことがあります。

ただ先ほどの言葉に違和感をおぼえてしまいました。


「確認、ですか?」

『はい。あなた様の基本情報は既に登録済みです』


AIはすらすらと私の基本情報を伝えてきました。

恐らくは今回の研修にあたり学園側から提出されたものなのでしょう。

確認された内容は、普段の学園生活を元にした情報のみで、プライベートに踏み込んだ内容、例えば家族に関することやバイトの事については何も触れられませんでした。


『あなた様はこれからとある国の第3王女として活動して頂きます』

「その国で私は何をすればよいのですか?」

『何も』

「え?」

『決められた内容は何もありません。

姫として国を愛し、民の為に政策を打ち立てるも良し。

姫として有り余る財を使い贅沢の限りを尽くしてみるも良し。

どうぞお心の向くままに活動してください』


まさかの丸投げでした。

もっとも、折角普段とは違う環境なのに行動を強制されていたのでは意味がありません。

自由に活動できる環境の中で自分の役をどう演じるのかが問われているのでしょう。

理想の自分は何をするのか。富と権力を持った自分は何を成すのか。

きっとこの辺りに今朝の講義と宿題の内容が絡んでくるんでしょうね。


『自分の人生に影響を与えた人、尊敬できる人』


私にとってそれは1番は間違いなく私をここまで育ててくれた祖母です。

祖母のようにご近所の方からも愛されて、孫を大事にしながらのんびりと過ごす。

そんな風になりたいな、なんて祖母に言ったら70年早いって笑われてしまうでしょうね。

そしてもうひとり。

私の人生に影響を与えたと言えばそれは、夢の中の私(シロノ)に違いありません。

生まれながらにしての気品や優雅さ。その行動力と覚悟は夢という形で追体験させてもらってなお尊敬して止みません。

同じ立場に立ったなら今の私もあんな風になれるのかと何度も考えたことがあります。


「あ、そっか」


仮初とは言え、今から私は彼女と同じ姫になるのですね。

ならとことん彼女の背中を追いかけてみる、というのも面白そうです。

そう思っている内に舞台は切り替わり、私はいつの間にか石造りの部屋に立っていました。

服装もドレスになっていることから、無事にこの国の第3王女になったという事ですね。


コンコンッ

「はい、どうぞ」


廊下に繋がると思われる扉がノックされたので返事を返せば、静かに扉が開けられカートを押しながらメイドが部屋へと入ってきました。


「失礼致します、姫様。お茶をお持ちしました」

「ありがとうございます。

……て。え、もしかしてメイ!?」

「ん?はい。そうでございますが」


入って来たメイドは私の夢の中に出てくるシロノ付きのメイドでした。

名前も同じなら仕草も夢の中と瓜二つです。

そんなことってあるのでしょうか。




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