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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第10章:季節外れの萌芽
143/208

143.研修開始前に

研究所内に入り、通された部屋は壁が真っ白で窓が無い事を除けばごく一般的なセミナールームだった。

部屋の正面にはホワイトボードとディスプレイがあり、そちらを向くように長机と椅子がある。

1つの長机には椅子が2つずつか。


「どうぞ前から詰めてお座りください」


その言葉に従って入室した順番に席に座って行く。

といっても俺の隣に姫乃が座る様に、大体が仲の良いもの同士で同じ長机の席に座っている。

特に指定が無ければそうなるよな。

あと研修も副所長の向井さんが担当するようで、案内のままホワイトボードの前に立っている。


「さて、実際の研修に入る前に、今日から3日間の大まかなスケジュールと館内設備について説明しておきましょう。

ディスプレイをご覧ください」


パッと映し出されたのはスケジュール表に館内の見取り図。

どちらも几帳面な人が作ったんだろうなというのが分かる内容で、良く言えば整理されていて分かりやすく、悪く言えば遊び心が無い。

これが観光施設のパンフレットだったら地図の至る所にマスコットキャラであったり植物などが描かれてポップな感じになるだろうけど、そういうものが一切ない。

あと見取り図の半分は『立入禁止区域』となっていて白紙だ。

ただ建物の外枠は描かれているので見える部分の通路やトイレなどの水回りの配置からある程度予測が付いたりもする。

ま、だからと言って何か悪用する訳でもないけど。

スケジュールに関しては前情報通り、1日目は今いるセミナールームでの座学となるようだ。

今日は午前の部、昼食、午後の部が終われば後は夕食と入浴を済ませて就寝となる。

自由時間はほぼ無いけど、あったとしてもどこに行ける訳でもないしな。

2日目から3日目にかけてはこの研究所ならではのシステムを利用した実戦研修が行われる。

具体的に何をするかは明日になってからのお楽しみだそうだ。


「皆さんには明日から開発中の最新システムを使って頂きますので楽しみにしていてください。

ここまでで何か質問はありますか?」


説明された内容は明瞭で特に疑問点などはない。

でもまぁ一応確認だけしておこうかな。


「あの」

「はい、どうぞ」

「事前情報で大浴場がある、と聞いていたのですが」


先ほど見せてもらった見取り図には今日寝泊まりする場所の説明はあったけど、個室でシャワー室完備と言われたし大浴場は記載されていなかった。

勝手な偏見かもしれないけど研究員っていうのは研究に没頭するあまり寝食や入浴を疎かにしがちな印象がある。

そんな人たちの集まる場所にそもそも大浴場なんてあるのか?

むしろそんなの造る予算があるなら研究設備の一つでも導入して欲しいと思うものじゃないだろうか。

俺の質問に向井さんは嫌な顔一つすることなく頷くと新たな画面を表示した。


「はい。この研究所には確かに大浴場はありますし、一応皆さんにも開放されています。

ただ、別の建屋となりまして若干距離がありますので特段お勧めするものではありませんね。

一部風呂好きの研究員の為に造ったものですので、ちょっと大きいお風呂だと思ってください。

俗にいうスーパー銭湯を想像していたらがっかりします」


ふむふむ。

宿泊場所からぐるっと回ってさらに地下に降りて、か。

外に出なくて済むのは楽ではあるが、片道10分、いや15分くらい掛けてまで入りたいかと聞かれたら悩ましいところだ。

聞いた限り別に温泉って訳でもないしな。


「他に質問はありませんか?

無いようであれば、早速午前の部を開始致しましょうか」


そうして遂に研修がスタートした。



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