141.合宿へ
いつもありがとうございます。
横恋慕ネタなんて挟んだおかげでストックが今度こそ切れました。
あと1週間頑張れば年末年始で纏まって執筆出来るのですがそこまで途切れず行けるかどうか……
想定外の出来事がありつつも12月21日になった。
昨日終業式を終えたので本来なら今日から冬休みになる訳だが、俺と姫乃は朝から校門前へと来ていた。
「「おはようございます」」
「おう、来たか」
俺達が挨拶すれば先に来ていた聖たちが挨拶を返してくれる。
ひのふの、ふむ。どうやら俺達が最後だったらしいな。
集合時間までまだ5分以上あるんだけど。
「こういう時は誰かが時間ギリギリになるのがお約束じゃないのか?」
「残念ながらここに居るメンバーは学園の代表みたいなものだからな。
そういう時間にルーズな者はいないのだ」
そう胸を張って言う織田生徒会長だけど、世の中には2:8の法則もしくは2:6:2の法則というものがあって、社会は優秀な2割と怠惰な2割とその中間6割で世の中は構成されていて、更にその優秀な2割だけを取り出すとその中でもまた2割の優秀なものと怠惰な2割のものが生まれるという。
ちなみにその怠惰な2割が悪いという訳ではなく、不測の事態に陥った時の為に力を温存しているという見方もある。
この中で言えば真面目を絵に描いたような生徒会役員ではその怠惰な2割にはなれないだろうから、きっと俺がなるのが適任だな。お誂え向けに村人Aな訳だし。
そして9時ちょうどに到着したバスに乗り込む俺達。
待ち合わせ時間丁度とかこの運転手も優秀な2割に入りそうだな。
ならばもう一人くらいは怠惰組に引きづり込まねば。
「という訳で光。一緒に座ろうか」
「うん。どういう訳かはさっぱり分からないけど良いよ」
「天音さん、ご一緒して良いですか?」
「はい。よろしくお願いします。藤白さん」
俺が光を誘ったのと同じように姫乃は天音を誘ったようだ。
他のメンバーも気が付けば2年どうし、生徒会どうしで座ったみたいだ。
目的地の研修センターまでは片道約1時間ほど。
基本的な諸注意が終わった後はやることも無くなる。
そうなれば隣近所と雑談が始まる訳だ。
「それで一会君。先日、先輩の女子から告白されたんだって?」
「なに、そうなのか村人A!」
「奇特な女子も居たものだな」
光の一言で一気に俺に注目が集まる。
そんなに珍しいものでも、あるか。
これが姫乃がって事ならまたかで終わるだろうけど、俺に告白する物好きなんて早々居ないからな。
「それで、なんて返事したんだ?」
「えっとそれは」
「それは聞かなくても分かるでしょう。
一会君には姫様が付いているのですから」
「いやまぁそうなんだけどな。
万が一ってことも……いや、ないない。ないよなっ」
俺が何か答える前にみんなの中で結論は出たようだ。
でも姫乃の笑顔を見た瞬間に慌てて否定するのは何かあったんだろうか。
「まぁ、良い友人で居てくださいってことで落ち着きました」
実際、俺に好意を持っているとは伝えられたけど、今はお付き合いすることは出来ませんと答えた。
それは先輩がどうこうと言うよりも俺の問題で、多分今の状態だと誰とも付き合うことは出来ないと思う。
勿論それは姫乃も含まれるのだけど、先輩の解釈は少しだけ違ったようだ。
『やっぱり姫様がいるもんね。
分かってはいても何も言えないまま諦めるのは嫌だったから。
それに別に断られたって好きって気持ちがなくなる訳じゃないし、絶対に村基君の邪魔はしないから傍に居ても良いよね?
それともし姫様以外の誰かと付き合おうってなったら真っ先に私の事を考えてくれると嬉しいな』
少しだけ寂しそうに、それでも元気いっぱいに笑っていた先輩は強い人だなと思った。
もし仮に俺のこの傷が癒えて、その時にまだ傍に居てくれるなら改めて真剣に考えてみよう。