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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第1章:姫様と村人A
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14.隣の席と入学式

そのままチャイムがなったのでその場はお開きになりました。

私が内心安堵しながら自分の席に座ると、隣の席には先ほど通行止めをしてくれた彼が座りました。

ちらりと様子を窺ってみましたが、他の人達と違って別に私の事を意識しては居ないようです。

それがちょっと不思議で嬉しく思ってしまいました。


「ん?なに?」

「いえ。ごめんなさい」


私が見てるのに気付かれてしまいました。

まぁ直ぐ隣ですからね。

彼は一瞬考えた後、改めて私に話し掛けてきました。


「そっか。ご近所付き合いは大事にしないとな。

俺は村基むらき 一会ひとえだ。よろしく」

「あ、はい。藤白ふじしろ 姫乃ひめのです」


そうです。これですよ。これが普通の初対面の挨拶です。

と安堵してたのもつかの間。


「藤白さんだな。藤白、藤白。よし藤白っと」

「?」


何故か反芻するように私の名前を連呼する村基くん。

やっぱりちょっと変な人なのでしょうか。

私の悩ましい雰囲気に気が付いた村基くんは頭を掻きながら笑った。


「いやすまん。俺、人の名前を覚えるのが苦手でさ。

藤白さんの名前も3回くらい呼べば覚えるかなって。

もしくは何かに連想させれば覚えやすいって言うよな。

えっと例えば、藤の白い花が似合う藤白さん。とか、姫の白藤さんとか……いやこれじゃあ藤白か白藤か分からなくなるから藤の白姫かな」


一瞬「えっ」と思いましたが、むむっと考えてる村基くんは、これ別に口説き文句を言ってる訳では無いみたいです。

もしかしたら天然のたらしなのかもしれません。気を付けないと。

でもここまでの態度といい、今の姫発言も単に私の下の名前から引用しただけみたいですし、やっぱり他の人と違って私を特別視してないみたいです。


「あの、村基くんは」

「うん?」

「さあ皆さん、席に着いて下さい」


尋ねようとしたところで担任と思われる女の人が教室に入ってきました。

そしてそのまま教壇へ。


「皆さん、入学おめでとうございます。

私はこれから1年、皆さんの担任をつとめる舞田まいた 美知子みちこです。どうぞよろしく。

さて、色々と聞きたいことはあると思いますが、まずは入学式がありますので貴重品を持って廊下に整列してください。

式が終わった後に諸連絡と配布物がありますので間違っても帰らないで下さいね」


先生の指示に従って廊下に出れば他のクラスの人達も廊下に出ていました。

うん。流石にここまで人が多ければ目立つことも無さそうで安心しました。

入学式は、長い校長先生の挨拶に始まり各クラスの担任の紹介、生徒会長の祝辞と、進行プログラムはまぁ普通でした。

ただ。生徒会長が突然、


「私が生徒会長である皇帝、美童びどう 獄津へるつだ!」


と宣言したのには会場が静まり返りましたが。

皇帝って。

まあ英伝この学園らしいとは思いますし、その直ぐ後に会場が湧きたったので良かったのでしょう。

その後の実にその皇帝らしい堂々とした発言も概ね新入生たちに受け入れられていました。

というかみんなノリ良すぎです。

更にその後の新入生代表もやらかしてくれました。


「諸先生方ならびに生徒会長の心振るえるお言葉ありがとうございます。

新入生代表、1年A組、ひじり 勇士ゆうしです。

僕はこの学園でどのように成長していこうかをずっと考えていましたが、先ほどの生徒会長のお言葉で決まりました。

僕は品行方正をモットーとし、悪に立ち向かい学友を守り抜く聖騎士となることをここに誓います!」

「「おおぉ~~~!!」」


歓声と万雷の拍手。

って、それで良いのでしょうか。

壁際を見れば先生方も嬉しそうにうんうんと頷いてますし、まあ良いのでしょうね。


(周りがどう思おうが自分でそうなるって決めたなら誰にも否定何て出来ないさ)


それで言うと私はまだ自分が何になりたいのかは決められていないです。

そう考えれば私より彼の方が一歩先に進んでいると言っても良いのでしょうか。

あまり言いたくはないですけど。


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