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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第1章:姫様と村人A
13/208

13.周囲の評価

なんでしょう。

入学式が始まるまでの教室での待機時間中、いいえその前からなぜか私は注目を浴びているようでした。

近くを通る人が私を2度見3度見してきたり、遠くから明らかに私の事を見て何かしらを囁いている人達。

幸いそれが悪い意味ではないと知れたのは、通学路で案内役の先輩にナンパされたからでした。

あの時は突然のことで緊張していたので何を言われたのか覚えて居ませんが、綺麗とか可愛いとか言っていた気がします。

実は私、中学までは男子からそんなことを言われた事がありません。

当時は髪を両サイドで三つ編みにしてメガネを掛けた、よく言えば文学少女、悪く言えばちょっと野暮ったい姿をしていましたから。

今は髪を下ろしてメガネもコンタクトに変えてスキンケアも頑張ってみたので印象が変わったんだと思います。

所謂高校デビューって言うものですね。

ただ。ちょっとやり過ぎたのかもしれません。

だって今も教室のそこかしこから聞こえる声が凄いのです。


「ちょっ、なにあの娘。めっちゃ可愛いんだけど」

「うわホントだ。どこのお嬢様が入学してきたんだ?」

「馬鹿だなぁ。ここは英伝学園だぞ!?」

「えっ!?ということは何処かのお姫様か!!」

「お肌綺麗ねぇ」

「髪もサラサラだしロングなのに枝毛全然ないわ」

「化粧品なに使ってるのかしら」


残念ながら私はお嬢様でもなければ当然お姫様でもありません。

多分なんかいい感じにコーデが填まっただけだと思うんですけど。

もうクラスのほぼ全員が私を見ている気がします。

その中の女子が意を決して私に話しかけてきました。


「あ、あの!」

「はい、なんですか?」

「ふわぁ、声も素敵!!」

「はぁ。ありがとうございます」


何故か彼女の目がハートになってます。

この状態で笑顔を維持出来てる自分を褒めても良いでしょうか。


「あのぉ」

「はっ。失礼しました。それであの、お願いがあるんですけど」

「何でしょう?」


お願い?てっきり挨拶と自己紹介から仲良くしてくださいとかお友達になりましょうって流れだと思ったんですけど。


「あの、その……ひ、姫様って呼んでも良いですか??」

「え"……」


なんでそうなるんですか!?

しかも問題は彼女だけではなく、周りも期待の眼差しをこちらに向けて居ることです。

この状況で断るのはちょっと可哀想ですかね。

別に何て呼ばれても実害はない訳ですし。


「ええ。ご自由にお呼びになってください」

「ありがとうございます!」


ガバッと頭を下げられました。

更に周囲も「よくやった!」とガッツポーズ。

……実害、無いですよね?

そして彼女が私との会話の糸口を作った結果、私に話し掛けても大丈夫と判断したのでしょう。

遠巻きに見ていた男子達が私に近付こうとして……別の男子が間に割って入った、というか何気なく歩いてきたその人に塞き止められました。


「お、おい!」

「ん?」


止せば良いのに声を掛けてしまうからその男子も仕方なく足を止めてしまい、完全に壁になってしまいました。

ってよく見ればさっき中庭で女の子を案内してた人ですね。


「なんだ?」

「いや、なんだじゃなくて空気読めよ」

「え、ごめん。俺、風水師じゃないし風の流れとか読めないんだ。

ハルなら分かるかも知れないけど」

「春?いや今は春だろ」

「ああ、ごめんごめん。友達の春明のこと」


そんな頓珍漢な会話をする男子達はなぜかもう私に話し掛ける空気では無くなった気がします。


「ええい、良いからそこをどけ」

「え、ああ。そう言うことか」


ひとつ頷いて私の方に1歩動くその人。

……分かっててやってるんでしょうか。


「ほいよ。何がそこにあるのかは知らないけど」

「いやいや、だからそこをどけと言ってるんだよ。

ったく、なんて邪魔な奴だ。

お前あれだろ。村の中で狭い通路をのんびり歩いて塞ぐ奴」

「ああ。村人Aな。居る居る」

「あのボサッとした脇役感。まさに村人Aっぽいな」


男子の憤りに他の男子からも賛同の声が上がりました。

この学園には有名人にあだ名を付ける伝統があるとは聞いてましたけど、村人Aはどうなんでしょう。

一応蔑称ってほどではないのでセーフですか?


(いちいち他人の目を気にしても面倒だろ?言いたい奴には言わせておけばいい。

大事なのは自分の信念を曲げないことだ)


私としては名前から来る印象って大事だと思いますけど。


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