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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第9章:芸術の秋。色づく秋。
129/208

129.ステージではみんなのアイドル

結局裏庭に集まるいつものメンバーになってきた私達ですが、それで言うとあと2人足りないことになります。

あ、でも、あの二人はそれこそお邪魔しちゃダメですよね。


「謡子ちゃん達は今頃デートですからそっとしておいた方がいいですよね」

「あ、そうだ。あいつらならそろそろステージに出る頃じゃないか?行ってみるか」

「ステージ?」


えっと、2日目の今日の午前中は有志でステージを利用するって話ですから……なるほど。

我が校の歌姫として一躍有名になってしまった謡子ちゃんが出ない訳にはいかないですね。

私達は揃って講堂に向かってみたのですが、既にそこは超満員。

昨日と違って立ち見だというのに講堂から人が溢れそうです。

集まってる皆は手に手にサイリウムを用意してて、これはもうアイドルのコンサートです。


「さすがとしか言いようがないな」

「ですね」


ステージの上にはすごく可愛い衣装を纏った謡子ちゃんと、ギターを抱える阿部くん。

他にもドラムとキーボードを担当する人も居ますね。そっちのふたりは余り見覚えがありません。

まあ私が阿部くんの交友関係を全部把握している訳もないので当然ですね。

ただちょっと意外なのは、こういう所でも一会くんがサポートに回るものだと思ってました。


「一会くんは楽器はやらないんですか?」

「まあな。即興演奏なら多少出来なくもないけど、皆に合わせようとするとリズムがずれるんだ」

「はぁ」


メトロノームが無いと演奏できないタイプですか。

え、違う?むしろメトロノームがあったら更に調子が崩れて変になるんですか。

それは筋金入りですね。

そんなことを話している間に伴奏が始まりました。

1曲目は最近流行っているアイドルの歌ですね。

ステージの上では謡子ちゃんが楽しそうに歌ってます。

初めて会った頃はあんなに堂々と人前で歌える感じじゃなかったのに、やっぱり阿部くんが隣にいるお陰ですかね。

舞台挨拶を挟んで続く2曲目のラブソングを歌いながらサビの部分で阿部くんに視線を送っちゃうものだから、会場は別の意味でも大盛り上がりです。

歌ってる本人はもう観客のことなんか忘れてしまってる気がしなくも無いですが。

最後の3曲目は懐かしのフォークソング。

私達が小学校高学年くらいの時に流行った曲で知らない人は居ないんじゃないかなってくらい有名な曲。


「みんな一緒に~♪」


謡子ちゃんの言葉で会場にいる全員がお馴染みのフレーズを歌ってます。

たった一人でこれだけの人を感動させられるんだからやっぱり謡子ちゃんは凄いです。

歌い終わった後にアンコールの声もありましたが、尺の関係で無理みたいです。

この後は設営を挟んでD組の演劇がありますからね。

このステージの後でやるとなるとかなりハードルが上がってしまう気もしますが大丈夫でしょうか。


「さて、今頃出待ちの群衆のせいで出るに出れなくなっているであろうハル達を回収して昼飯でも行くか」

「あ、そうですね」


同じ学園生なのに出待ちをするっていうのが意味不明ですが、ともかく舞台裏に向かえば黒山の人だかりとそれを押し留めるスタッフが居ました。

ただそのスタッフが私と一会くんを見付けて大声を上げました。


「ああっ!あんなところにシンデレラと村人Aがっ!!」

「「なんだって!?」」

「「何処だ何処だ!」」


それを聞いた群衆の目が一気にこちらに向きました。

くっ、やってくれましたね!


「逃げるぞ姫乃」

「はい!」


一会くんも大声を出しつつ私の手を取って出口へと向かいました。

そんなことをすれば周囲の視線が凄い事に。


「村人Aが逃げたぞ。追え~!」

「ふたりの邪魔はさせないわ!」

「ここは任せて早く行って!」


私達を追いかけようとする男子と、食い止める女子の攻防を横目に何とか講堂を出た私達は何とか裏庭の方に避難したのでした。


「みんな大丈夫でしょうか」

「庸一も黒部先輩も居たし、あの騒動で魚沼さんへの注意は逸れたから大丈夫だろ。

ステージ衣装の時と違って制服なら魚沼さんはまだ目立たないし」

「不思議ですよね」


私から見ても超が付く程の美人ですしもっと注目を浴びても良いと思うんですけど。

なのにこうしてステージに立ってる時しかファンが集まってくる事もないんです。


「何か秘策があるのでしょうか」

「うーん、生来の気質って感じもするけど」

「あ、やっぱりここに居ました」

「お、噂をすれば」


阿部くんと謡子ちゃんの登場です。

どうやら無事に抜け出せたみたいですね。


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