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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第9章:芸術の秋。色づく秋。
128/208

128.スケープゴート?

芸術祭2日目。

無事に自分たちのクラスの出し物を終えた私は大切な友人と学園内を回っていた。


「急にお願いしてごめんね」

「いえ、私達は大丈夫ですよ」

「ほんと?」


私は隣で爽やかに笑っている真子ちゃんに問い掛けながら、後ろでまるでボディガードのように立っていてくれる兵藤くんをちらりと見ました。


「兵藤くんも邪魔してごめんなさい」

「別に気にしなくていい。

それより一会と一緒じゃなくて良かったのか?」


その言葉の通り、ここには一会くんは居ません。

多分今頃、黒部先輩と一緒に居るはずです。

本当は一緒に回ろうと思ってたんです。一昨日までは。

でも昨日のあれのせいで今は顔を合わせられません。

なのでお二人のデートの邪魔になってしまうのは分かって居たんですが、こうしてご一緒させてもらうことにしました。


「一会は今頃、準備を手伝ってた他のクラスの奴らに引っ張りまわされてそうだな」

「あ……」


言われてみれば。

確かに何人か下心ありで一会くんに近づいてた人が居ましたね。

一人で居る一会くんを見て、これ幸いだとアタックしているかもしれません。


「ま、一会なら終始気付かずに美味いもの食えてラッキーとか思ってそうだけど」

「そ、そそそうですね。天然朴念仁の一会くんですからね!」

「ふむ」

「分かりやすいくらい動揺してますね」


いえいえ。動揺なんてしていませんにょ?

あ、えっと、だってほらそう、あの一会くんですから。

不意打ちで抱き着こうとすれば多分、ひらりと避けてしまうでしょう。

隙だらけのようで抜け目がないんです。


「お、噂をすれば一会だ」

「!!」

「と思ったら別人だった」

「がくっ」


遊ばれてますね。

まったく、後で見てなさいよ。

たこ焼きの出店を見付けたら真子ちゃんに熱々のままあーんさせてあげるんだから。


「あ、村基君です」

「って、真子ちゃんまで。そう何度も引っ掛かりませんよ」

「いえ、今度はほんとです」

「どれどれ。あ、確かにあれは一会だな。

肩なんか組んで仲良さげだな!」

「ええっ!?」


慌てて通りの向こうを見れば、確かに一会くんが居ました。

それも若干顔を赤らめながら肩を組んで歩いてます。

……黒部先輩と。

ええもうそんなことだろうと思ってましたよ。

ついでに言えば女子にも囲まれてますね。距離は空いてますが。

でもあれってどうなのかしら。


「あの黒部先輩。随分周りから見られてますよ」

「我等の仲が良いのは紛れもない事実であろう?」

「いやま、そうなんだけど」

「ならば見せ付けてやれば良かろう」

「でもこれきっと誤解されてると思う」

「ん??」


あ。あんなところに一会くんより鈍い人が居ました。

これ絶対周囲の腐った女子のオカズになってます。

どっちが受けでどっちが責めかとか、考えると怖くなるので私は程々にしておきましょう。


「む、あそこに居るのは姫様達ではないか」

「あ、本当だ。おーい」


どうやら見付かってしまったようです。

仕方ないので合流しましょうか。

ただ私達が近づけばいよいよ周囲の盛り上がりは最高潮に達しました。


(きゃ~、まさかの三角関係きたっ!?)

(いやもしかしたら「村人A?あいつなら俺の隣で寝てるよ」的な)

(ここは「ごめん僕の心はもう黒騎士様に奪われてしまったんだ」じゃない?)

(でもそれで引き下がる姫様じゃないわ。

昨日の劇でも凄かったし、ここで村人Aを賭けた決闘が始まってしまうのかも)


まるでここから第2幕の開演を期待してるような雰囲気ですが、始まりませんからね?

そもそも何をどうしたら黒部先輩と肩を組むような事態になったんでしょうか。


「寄ってくる者たちをいちいち追い払うのは手間だからな。

こうしていれば不思議と誰も話し掛けては来ないぞ」


なるほど、どうやら先輩なりに一会くんをガードしてくれてたんですね。

ただもうちょっとやり方があったんじゃないかと言いたくなりますけど。

一会くんは隣でもうどうにでもなれって感じです。


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