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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第9章:芸術の秋。色づく秋。
124/208

124.これが真の台本だ

そして遂にやってきました芸術祭1日目。

あ、言ってませんでしたが芸術祭は2日構成です。

1日目は午前中に音楽やダンスなどが披露され、午後から私達の演劇です。

2日目は午前中はD組の演劇、午後は有志によるバンド演奏があるそうです。

またそれとは別に2日に渡って出店などのよく学園祭と言われて想像する出し物が各教室や中庭で開催されています。

なので、1日目の午前は私達はフリー、な訳がありません。

午後が本番なのですから、今から最後の最終調整です。


「みんな集まってくれ!」


クラス委員の掛け声で全員が集まりました。

というかこれまで活躍している姿がなかったので忘れてましたがクラス委員って居たんですね。

よくよく考えれば最初から今回の事を取り仕切ってたのはこの人でした。


「さて、今日の午後が俺達の見せ場な訳だが。

みんな、よく今日まで我慢してくれた。

現時点を持って、箝口令を解除する。

姫様には驚かれるとは思っていたけど、実は俺達が演じるシンデレラはだいぶ内容が違うんだ」

「はぁ」


意気揚々と語る委員長でしたが、私としても多分色々変えてるんだろうなと想像は出来てましたからそこまで驚きはありません。


「昨日まではバラバラに練習をしてもらっていた訳だが、これからの約2時間で合わせていくからみんな集中してやってほしい。

なに、これまでの練習風景は見させてもらったけど、個々の完成度はなかなかだ。

あれなら2時間どころか1時間と掛からずに合わせられると思う」


そうして始まった合同演舞は、確かにシンデレラっぽくもあり、学生の悪ノリがあって、ついでにちゃんと練習していたダンスもこの為だったのかと納得の行くものでした。

ただ、それでもやっぱりたった2時間で合わせようというのは無理がありました。

何度も細かい修正を加えつつ進めていった結果、最後のシーンまで辿り着かなかったんです。


「1年C組のみなさん、そろそろ準備をお願いします」


係の人が呼びに来たために、仕方なく私達は講堂へと移動しました。


「じゃあ姫乃。頑張ろうな」

「うん、一会くんも頑張ってね」


講堂に入ったところで一会くん達と分かれて、男子はステージの右側へ。私達女子は左側へと移動しました。

そうして女子だけになったところで、女子のクラス委員が私に向かってにっこりと笑い掛けました。


「それでは姫様。いいえ、今からは終わるまでシンデレラと呼ばせてもらいますね」

「はい」

「ではシンデレラ。実を言うとね、まだ劇の開始まで少し時間があるの」

「え?」

「係の人にはお願いして少し早めに来てもらったのよ」

「はぁ」


一体なぜそんなことを?

首をかしげる私に彼女は台本を見せてきました。


「実はね。これが本当の女子の台本なの。男子には内緒よ」

「え、今からまた変更なんですか?」

「ううん。違うのはエンディングだけ。それ以外は一緒だから安心して」


言われて台本を開けばなるほど。たしかに中盤までは全く同じですが、逆を言えば後半は全く違います。

しかも細かい動作は指示されてなくて「上手い感じにやって!」みたいな適当さです。

そしてもっと気になるのが。


「あの、最後のページが破り取られてるんですけど」

「あ~それね。何というか、最近のシンデレラを見てたら違うなと思って破り捨てちゃった。

だからアドリブでよろしく!」


可愛らしくごめんねのポーズで言われてしまいましたが、それで良いんでしょうか。

それともう一つだけ気になることがあります。


「さっきこれが女子の台本だって言いましたよね?

という事は男子の台本もさっき見たのとは違うんですか?」

「まあね。と言っても知らなかったのは村基君だけだけど。

多分今頃あっちで見せられて驚いてるんじゃないかな」


にひひって笑ってるけど、これで劇が失敗したら目も当てられないんですが。

だけどもう既に時間的猶予はなく、台本を確認し終える頃にはシンデレラの衣装に着替えたり髪をセットしたりしていたら開演の時間になってしまうのでした。

こうなったら出たとこ勝負でやってやるだけです。



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