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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第9章:芸術の秋。色づく秋。
115/208

115.もやもや継続中

結局、一会くん達は1時間ほど何かを話した後に帰って行きました。

遠目に見た感じでは終始楽しそうでしたね。

私は忙しく働いているのに優雅なものです。

お陰様で胸のもやもやは残ったままです。

こういう時は美味しいものを食べてリフレッシュだ!と帰りのスーパーでお気に入りのプリンを買ってみましたがあまり効果無かったですね。


「おはよう、姫乃」

「……おはようございます」


翌朝一会くんに挨拶されて、一瞬考えましたが返事をしないのも拗ねているみたいで格好悪いので一応返しておきました。

それでも明らかに機嫌悪いですよオーラが出ているのでそれ以上は話しかけてきませんでした。

私は目を合わせたくなかったので、携帯を弄りながら一会くんに背中を向けました。


「おいおい喧嘩か?」

「一会君にしては珍しいですね。何を仕出かしたんですか?」

「いや特に心当たりが無いんだが」


阿部くんと兵藤くん(いつものふたり)の気遣わし気な声が聞こえてきます。

でもそれに対する一会くんはやはりというか自覚がない様子。

全く困ったものです。

その日も、その次の日も状況は変わらず、お昼は裏庭には行きますが私達女子が東屋を利用して男子たちは少し離れたところで分かれて食べました。

その間もどこかのクラスの女子が一会くん達に何度か話しかけに来てましたね。

ただやっぱり一緒に居る真子ちゃんや謡子ちゃんにも心配を掛けてしまいました。


「あの、姫乃さん。村基君と喧嘩したの?」

「うん。仲直りは早めの方が良いと思います」


そう言ってくれるのは嬉しいのですが、別に喧嘩しているって訳でも無いんです。

ただその、最近の一会くんを見ているとムカムカするというだけで。

この感情は一体なんでしょうね。

恋人同士なら嫉妬なんだって思いもしますが、別に付き合ってはいないのでそうでも無いのですし。

そういえば夢に見るあの世界の私もこんな感情を抱いたことがありましたっけ。

確かキヒトが酒場で露出の多い女の人に胸を押し付けられて鼻の下を伸ばしてて。

あの時はどうしたんでしょうねぇ。

気が付いたら周囲に酒瓶が大量に転がっていて、キヒトが私に平謝りしてましたけど。


『アルコールっていうのは摂りすぎれば毒みたいなものだからね。解毒魔法で治せるのさ。

まあ一緒に酔いも醒めちまうから今回みたいな非常時以外は極力使わない事にしてるんだけど』


酒場の女将さんがそう言ってましたので、多分私が酔った勢いで色々とやらかしたんだと思います。

お陰様でその時のもやもやはスッキリ出来たんですけど。

それならこっちでもお酒を飲めば、というのは未成年ですから厳しいですね。

あ、あとこんな事も言ってましたね。


『喧嘩した後の夜は激しくなるから宿の防音はしっかりするんだよ』


夢の中では何のことか分かりませんでしたが、今考えればその、夜の営みのことを言ってたんですよね。

もちろんその夜キヒトとの間に何かがあった訳ではないのですが。


ただ、私の機嫌が悪いというのは、私が思っていた以上に周りに影響があったみたいです。

気が付けばクラス全体の空気も重くなってしまってますし、既に他のクラスにも知られているらしく廊下を歩いていても皆私を遠巻きにして声を潜めるようにして通り過ぎていきます。

そんなある日。

クラスの女子が何人か私の所にやって来ました。


「あの姫様。今日の放課後とかって予定空いてたりしませんか!?」

「今日ですか?えっと、はい。大丈夫です」


私の回答を聞いてあからさまにほっとした様子です。

尋ねてきた時も緊張してましたし、やっぱり今の私は話し掛け辛い雰囲気を出してるんですね。


「それなら放課後、私達と遊びに行きませんか?

ほら気分が晴れない時ってパーッと身体を動かしたりするのも良いですよ。

あと私らで良ければ愚痴とかも聞けますし、もちろん誰にも特に男子には絶対漏らしませんから」


その男子には絶対漏らしませんっていうのは、裏を返せばもしかしたら女子には漏らしちゃうかもって事ですよね。

まあ良いんですけど。


「分かりました。よろしくお願いします」


応えながらチラッと一会くんの方の様子を窺ってみると、そっちはそっちで男子が何人か一会くんを取り囲んでいるようでした。

喧嘩とかいじめって感じじゃないし、一会くんなら大丈夫ですよね。



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