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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第9章:芸術の秋。色づく秋。
112/208

112.閑話~人生の分岐点~

いつもお読みいただきありがとうございます。

本作定番になった(なぜだろう汗)章はじめの閑話です。

が、前話の後書きにも書きましたがこの先毎日投稿が出来ないかもです。

エタることはないので気長にお待ちいただけると幸いです。

この先はようやく恋愛小説っぽくなっていく予定。


あれは2度の襲撃から生き延びて王城へと帰った後の話。

当時の私はこの国も治安が悪くなったなとか魔物が増えたなと思う程度で深刻には考えていませんでした。

なにせお忍びで城下に出ても誘拐や窃盗が起きることも無く、危険なのは街の外だけでしたから。

まあキヒトから冒険者として活動する中で色々大変なことが起きているとは聞いているけどやっぱり他人事でした。

だけどある日、大臣たちが話しているのを聞いてしまったんです。


「また失敗したそうだな。なんでも通りすがりの冒険者に助けられたんだとか」

「くそっ、なんと悪運の強い娘だ」

「そう何度も続けば周囲も警戒する。余り後は無いぞ」

「分かっている。まったく世間知らずのお姫様のままなら商国の王子に売るというのも良かったんだがな」

「確か今年で48の変態ロリコン豚王子か。

あれの元に送られるのと魔神復活の生贄に捧げられるのだとどちらがマシだろうな」

「おいっ。その名前をおいそれと出すな。どこで鼠が聞いてるとも限らないんだからな」


魔神復活!?

どういうことなのかしら。

魔神と言えばかつて10を超える国家を滅ぼし、我が国の建国王が多くの仲間たちと共に女神様の御力を授かって封印したという滅亡の魔神が思い浮かびます。

他にも魔神と呼ばれる存在は数体存在したという伝説は残っていますが古代エルフ族や龍族などの長命種が主に関わっていたので私達人間にとって馴染み深い、というのも変ですが因縁があると言えばその魔神のみです。


(そういえば先日辺境伯の所に視察に行った時も魔神復活を企む秘密結社が存在するという噂を耳にしました。まさか彼らも?)


だけど確認できただけでも国の重鎮と呼ばれる大臣が2人は居ました。

この事をお父様はご存じなのでしょうか。

仮に知らなかったとして私がそれを伝えたとしたら、どうなるか。

多分一切信じないか、すぐに事実確認をして、そして当然大臣たちは白を切り同時に自分たちを陥れようとした私を排除しようとするでしょう。つまりどちらにしても事態は良くならない。

そしてもしお父様も既に知っていて、もしこのことに自ら加担していたとしたら。

私が地方に行った時に襲われるのだって直接自ら手を出したらあらぬ疑いを掛けられることを懸念して大臣たちに指示して事故に見せかけさせたって可能性があります。


「私はどうしたらよいのでしょうか」


その話を聞いた翌日。私はいつもの視察と称して城下町に出てキヒトに相談を持ち掛けました。

あ、もちろん魔神の話はぼやかして大臣たちが悪だくみをしているって感じで伝えました。

私の話を聞いたキヒトは短く聞き返してきた。


「シロノはどうしたいんだ?」

「私?」

「ああ。俺は政治とかはさっぱりだし、もしかしたらシロノもそのなんだ。そのドS変態ペド爺のペットになってみたいとか心のどこかで思ってるかも知れないし」

「いやないですからね!」

「それは冗談としても、国としては多分シロノに姫様としての価値しか求めてないだろう。

だから周囲に言われた事だけをやるっていうのも間違った選択じゃない。

でもそれが嫌だったから俺に相談しにきたんだろう?」


キヒトの言う通りです。

私はこの国の、いいえ世界の危機を知ってしまった。

多分あの大臣たちだけを何とかしても魔神復活を目論む奴らは世界中で活動しているはずです。

自分は姫様なのだからと全てを忘れて城の奥で滅びの日まで優雅に過ごすことなんて多分出来ません。

毎日いつ魔神が復活するのかと怯えて暮らすのか、それとも。


「もし私が城を出て旅をしたいと言ったら、キヒトは手伝ってくれますか?」

「最初から俺を当てにするな」

「うっ、ですよね」


彼には小さいときに村に飛ばされた時も最近の2度の襲撃でも助けてもらって今もこうして相談に乗って貰ったりもしてます。

だからお願いしたら今度もまた助けてくれるんじゃないかとどこかで甘えてしまっていました。


「ただまぁ」

「?」

「俺は冒険者だからな。正当な報酬が約束された依頼なら受けるかもな」

「それって」

「特にどこぞのお転婆姫が無茶するって言うなら格安で引き受けるのも悪くない」


そっぽを向きながらそういう彼はなんというか。


「素直じゃないですね」

「うるさいなっ」

「ふふっ」


なんでこんなに頼もしく思えてしまうんでしょうね。

彼ならきっと。そう思わずにはいられない自分に思わず笑ってしまいました。



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