表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第8章:トップの条件
107/208

107.先輩たちの所信演説

全員分終わらせる予定だったけど予想外に長くなったので村人Aの演説は次回に。


所信演説初日。

昼休みに入ると織田先輩の声がスピーカーを通じて学園中に流れた。


『皆さんこんにちは。

私は現生徒会副会長で次期生徒会長候補の将軍こと織田 長政です』


そうして始まった織田先輩の演説は、一言で表すと演説の模範と言えば良いのか。

聞き取りやすい速さで落ち着いて話を進めていたかと思えば、時に熱を込めて生徒の関心を集め、所々に共感を促すように語り掛ける声は、なるほど確かな実力を持っているんだろうなと思わせるものがあった。

先日の生徒会室でのやり取りを思えばもっと若者らしい粗さが表に出るのかなと予想していたけどそんなことも無く、きっちり昼休み終了10分前に終わらせたのは見事と言って良いだろう。

ただまぁ要約すると『今の素晴らしい体勢を維持しつつ不満に思う部分があれば一緒に良くしていこう』だな。

これに関してだけ言えば想定通りと言える。

現生徒会長を尊敬していたし、同じ道を辿ろうと考えているんだろう。

それが決して悪いとは言わないけど会長は自分を超えて欲しいと願っていたようにも思える。

だとしたらまだもう一歩欲しい気もするけど、それは欲張り過ぎというものかな。

また放送を聞いた生徒たちの反応は概ね好意的だ。

むしろこれで決まりじゃないかって雰囲気まである程だ。

教師陣も現生徒会役員の織田先輩を推しているきらいもある。


そして演説2日目。

今度は黒部先輩の番だ。

昨日の昼休みには既に原稿が出来ていたようで、織田先輩の演説を聞き流しながらぶつぶつと自分の話す内容を反芻している姿が窺えた。

まあ黒部先輩は本番には強いタイプだし大丈夫だろう。

俺達は裏庭のいつもの東屋に集まって先輩の放送に耳を傾けることにした。

出だしは普通の挨拶に始まった。そして。


『……。

さて、生徒会役員のみならず、あだ名を持つ者はこの学園における代表と言っても過言ではないだろう。

そこで我が生徒会長になったら、月に1度これらあだ名持ちの生徒が集まる場を設けようと思う。

主な内容は今後の学園生活をより豊かなものにする為にはどうすれば良いか、という話し合いになると考えてもらえれば良い。

同時に交流を深め、得意分野を共有することでお互いの成長を促せればと考えている。

組織というものはその多くが代表を超えていくことは難しく『代表があれくらいなんだから自分もこれくらいでいいや』とつい考えて無意識にセーブしてしまうのが日本人の悪い癖だ。

だから代表が成長するということは同時に、その代表と共にいる皆も成長出来るという事だ。

我もライバルと呼べる友を得ることで大きく成長出来たことを実感する機会を得た。

これからの1年半の学園生活で更に成長できると確信している。

3年生でもまだ半年。1年生なら2年半もある学園生活で共に成長できたと胸を張って行こうではないか』


そう力強く語った。

それは黒部先輩らしい、常に自分が先頭を駆け抜けてきたからこそ出てきた言葉だったのかもしれない。

少し前までの先輩だったら自分一人で独走していたかもしれない。

でも今なら他の人も巻き込んで共に挑戦していこうと言える器の広さを身に付けていた。

それは紛れもない成長だ。

先輩を前から知っている人ならその変化に酷く驚いたんじゃないだろうか。


(戦場で最も効果的に兵の士気の上げる方法って言うのはな。大将が先陣を切ることなんだ)


ああ、まさに先輩はそれを体現しているようだ。

裏庭のここからでも学園内で先輩の言葉に心を動かされて闘志を燃やしている人たちの熱気が分かる。

これならもしかしたら織田先輩を押しのけて生徒会長に当選出来るかもしれないな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ