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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第8章:トップの条件
105/208

105.女神様と噂話

いつもありがとうございます。

ようやく大変な部分を抜けました。

と言っても本番がこれからなので、その前に糖分補給を少々。


昼休みもそんなに長くないので、この辺りで生徒会室を後にした。

時間的に余裕が無いので今日は裏庭じゃなくて学食の一角を借りるか。

そう思ってみんなで学食に行ってみれば、意外と空いていた。


「今日ってなにかあったっけ」

「いや、単に寄り道して時間がずれただけだろう」

「あとは天気が良いので外で食べてる人も居るのかもしれませんね」

「なるほど」


うちの学食はメニューは豊富なんだけど全員が特定のメニューを頼めば当然品切れになる。

なので人気メニューを狙ってチャイムと同時にダッシュする生徒も居るし、そうじゃなくても複数人で纏まって座ろうと思えば早めに来て場所を確保する必要がある。

また食べる速度も人それぞれで早い人なら5分10分で食べ終える人もいるので、結果として20分くらい遅れて来たら意外と席は空いてたりする。

今も幸い8人掛けテーブルが丸っと空いてるので確保させてもらった。


「8人分の席が確保できて良かったわねぇ~」

「そうですね。……って何でいるんですか?」


極々自然な感じで俺の向かい側に座ったのはさっき生徒会室で会った伊那美先輩だった。

特に一緒にご飯を食べようとかそんな話は無かったはずだけど。


「あら、居たらまずかったかしらぁ」

「いえ、そういう訳じゃないですけど生徒会の仕事は良いんですか?」

「大丈夫よぉ。元々私は会長の補佐であってメインの役員ではないから。

それに折角だから敵情視察?

村人Aの噂は聞いてるけどやっぱり直接この目で見ないと、ね」


おっとりしているようで底が知れない気がする。

あと俺は知らなかったが彼女もこの学園では有名人のひとりらしい。

なにせ今や学食中の視線がこのテーブルに集まってるからな。


「見ろよあそこ。女神様が降臨なさっているぞ」

「学食に降臨なさるとは珍しいな。一緒に居るのは2年の黒騎士と1年の姫様か。

ということは生徒会選挙に向けての話だろうか」

「それにしては1年の聖騎士と紅の王子が居ないけどな」

「他の奴はそのお付きってところか。くぅ~代わって欲しいぜ。特に女神様の向かいに座ってる奴。

女神様の女神様がベストアングルで拝める位置じゃねえか」


女神様の女神様って。同じ男として言いたい事は分かるけど、余り露骨に言ってると女子からの風当たりが厳しくなるぞ。

それとやっぱり村人Aの知名度はそんなに高くないみたいだな。

聞こえてくる噂話の中心は伊那美先輩と姫乃だ。

ただ俺の向かいに座っている先輩はなぜか楽し気だ。


「ふふっ。君ってやっぱり不思議な子ね」

「え、そう、ですか?」


いったいどこを見てそう判断したんだろうか。


「そうよ。これだけ周囲から注目されているのに全然気付いても居ないんだもの」

「注目されてる?にしては村人Aの声は聞こえてきませんけど」

「そうなのよねぇ。そこも不思議なところよねぇ」


言われて改めて周囲の声に耳を傾けてみる。

すると。


「女神様の向かいに座って居る子って誰かしら。

女神様を前にして顔色一つ変えないって中々肝が据わってるわね」

「まあ大抵の男子は女神様の胸をガン見するか照れて横を向くかのどっちかだからねぇ」

「あ、確かあの子って村基君じゃない?」

「そうだよ村基君。1年生の異端児の。何でも村人なら村人らしく竹槍特攻しろと言うんですか!って先生に抗議してたそうだよ」

「え、私は革命の狼煙(3のフォーカード)はいつでも出せるぞって黒騎士に迫ってたって聞いたけど?」

「姫様もそういうアグレッシブなところに惹かれてるのかもねぇ」


なるほど?

確かに良く聞けば俺についての噂も聞こえてくる。ただ色々脚色が激しいけど。

以前、職員室で先生に村人Aらしくしろって言われて抗議したことはあるけど、別に竹槍特攻して玉砕するとは言ってないし、革命はトランプの大富豪で遊んでる時の話だと思う。


「不思議よねぇ。この学園で特定の生徒についての噂話っていうのは良くあるのだけど、基本的にはあだ名が先行するのよ。

それなのにあなたの場合はあだ名と実名両方が流れているの。

あだ名は主に男子に。実名は女子にって分かれているのも特徴的ね。

意図的に誰かがそう広めているのかもしれないけど」


ちらっと隣を見れば姫乃と、ついでに魚沼さんや青葉さんまで示し合わせたかのように視線を逸らした。

どうやら心当たりがあるらしい。

女子ネットワーク恐るべしと言ったところだろうか。



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