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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
序章:村人Aは学園に通う
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1.プロローグ~夢?それとも前世の記憶?~

いつも読んでくださってる皆様ありがとうございます。

初めましての方、ようこそ!


恋愛下手な私がお送りする(普通の?)学園恋愛ものです。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。


最初こそ鬱展開スタートですが、この先はほとんど暗い話は出てこない予定です。


暗い夜の帳を松明の明かりが明々と照らしていた。

この国で最も権威のある王城の、正面広場。

普段ならそこは大掛かりな式典などに使われる場所で、しかし今日に限っては元々ただの村人でしかないはずの俺が中央を独占していた。

ただし罪人として磔にされた状態で、だが。

その俺に対し騎士のひとりが声高らかに宣言した。


「大罪人キヒトよ。

貴様の罪ははただの名も無き村の出身の平民でありながら我が国の第1王女を誘拐し、欲望の捌け口に使うだけに飽き足らず、魔神が復活するなどというガセネタを振りまき、多くの国民を騙し国家を転覆させようとしたことだ。

よって悪魔の炎によってその身を焼き地獄に落とすものとする」


勿体ぶった言い方だが要は火あぶりの計だ。

ただその燃料が通常の薪よりも煙が多く、見た目よりも温度が低い事から通常よりも長く激しく苦しみながら死ぬことになる。


「だが慈悲深き我らが王は貴様のような罪人にも幾ばくかの時間をお与えくださるそうだ。

何か言い残すことがあるならば言うが良い」


はっ。お優しい事で。

実際には自分の寛大さをアピールして悦に入っているだけだろうに。

だけどお陰で自力で機会をねじ込む必要が無くて良かった。


「言い残すことだと!?んなもん幾らでもあるぜ。

一番はそう。そこでめそめそしている馬鹿王女にだ」


俺がそう言うと遠目に囲っている民衆から嘲りとも侮蔑ともつかない声が聞こえてきた。

どうやら俺がみっともなく命乞いをするのだとおもっているのだろう。

誰がそんなことしてやるか。それで助かるなら磔になんてなってないんだよ。

そして黙って良く聞けというように俺は大声で一言一言はっきりと言ってやった。


「闇市で買った魅了の魔道具を使って連れ出して。

顔とスタイルは良いから色々楽しめると思ったのに。

最近の王家の貞操観念はどうなってるんだ!

結婚式を挙げるまではエッチどころかキスすら拒みやがる。

お手てつないで仲良しこよしとか、3歳児かお前は!!

こんなことならさっさと寝込みを襲っておけば良かったぜ」

「き、貴様!王女様を愚弄するのか!!」

「愚弄だぁ?事実だよ事実。

王族のせいか中途半端にしか魅了が掛からなかったんだぞ?

挙句に追手から逃げるときにもモタモタしやがって。

足手まといが居なければ1人で逃げられたんだ!

こんな奴さっさと捨ててしまえば今頃自由気ままに幸せな日々を送れたのにな。

そして極めつけは今だ。

なに悲劇のヒロインみたいな顔をしてやがる。

それでも封印の聖女さまかよ。

聖女様なら聖女様らしく城の教会でお祈りでもしてろってんだ。

結局はそこの豚王の娘って事なのか?

人の処刑をのんびり眺めて笑ってんじゃねえよ。このボケが!」


そうやって罵倒してやると王女は耐えられなくなったように耳を塞いで城の中へと逃げて行った。

慌てて侍女が追いかけるが止めるものは誰も居なかった。

国王たちにとって王女の事など些細なことだしな。

それより今はこれから起きることが楽しみで仕方ないのだろう。

そうだ。それでいい。


「もう良いだろう。刑を始めろ」

「ははっ」


低いだみ声で先を促す国王。

それを受けて遂に足元に置かれた燃料に火が移された。

すぐに朦々と上がる黒煙に俺の視界は覆われ、目から耳から口から猛毒が流し込まれたかのように激痛が全身を襲う。

それを見てほくそ笑む王族たち。

周りに集まった民衆も俺の死にざまを楽しそうに見守っている。

だけどな。お前達のためなんかに泣き叫んでやるものか。

折角あの馬鹿をこの場所から退場させたのに、声が届いて万が一戻ってきたら意味がないだろう。

だから俺は舌を噛み切ってでも声は上げなかった。


(悪いな。シロノ。嫌なこと全部押し付けて)


……

…………

………………


ふと気が付けば暖かい日差しが窓から差し込んできて、俺に起きろと呼びかけていた。

目を開ければいつもの天井が見える。


「……またあの夢か」


この最期の場面ももう何度見た事か。

リアルすぎるし、その時の痛みも苦しみもその場で体験しているような夢。

あれが自分の前世なんだと言われたら、そうかと納得できる。

ただ出来たところで今の俺がその夢の中で使っていた魔法を使える訳ではない。

精々現代ではあまり役に立たない無駄知識が豊富なだけだ。


「……学園いくか」


ひとつ呟いて俺は朝の支度に取り掛かった。




じっくりプロットを考えてから投稿しようと思っていたのですが我慢できなくなって投稿してしまいました。

完全見切り発車ですので2週間くらいしたら毎日更新から週2更新くらいに頻度が落ちると思います。


あと、長文は書かないので大丈夫かなと思ってますが、字下げとかしてないので読みにくかったら指摘してください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 感想しつれいします 村人Aが主人公という設定が面白くて読みました 何度も見る夢と声の正体が分かるのが楽しみです! [一言] ブクマと評価させていただきました 応援しています!
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