1. 機械仕掛けの街
薄青色のガラスの向こう側には、地上から数100m以上ある階層都市が、無数に地平線の彼方まで続いている。
「エディアカランは中世、オルドビスの”こっち側”は機械仕掛けの大都市、か」
地球の文明よりもはるかに進んだ文明を持つ、オルドビスの”こっち側”。
”こっち側”というのは、俺が今居る、機械文明の世界「グローリエ・バウム」のことだ。
”こっち側”ということは、”あっち側”というのも存在している。
夕日が差し込む、高層建造物の上層のバーで、人を待っていた。
カラン。
ロックグラスの中にある、褐色のリキュールが飲み干されようとしていた時。
「お前がクウマ、か?」
振り向くと、紫色の艶やかなセミショートヘアの女性。
黒を基調とし、レッドに光るラインのスーツ、紫のシャツを身に纏い、立っていた。
長身痩躯だが、鍛えているであろう、しなやかな筋肉が付いているということがわかる。
「そうだ。貴女がスカンダか?」
俺が”スカンダ”と呼んだ女性がうなづく。
「そうだ。よろしくな。お前の服装、目立つからわかりやすかったよ」
くすくすと笑われてしまった。
白を基調とした中に、ブルーに光るラインが入ったロングコートに同系統のスーツ。
周りを見ても、白系統を着ている人は誰もいない。
そういわれると、たしかに目立つかも知れん・・・。
閉域で、ミゥホに”これならオルドビスに溶け込める”と言われて、これで来たんだが・・・。
「ま、今はそれでもいいが、ここでの仕事ではその服装は目立つな。それに、汚れやすそうだ」
スカンダは俺の隣のバーチェアに座り、カウンターのバーテンダーを呼んだ。
「彼と同じのを」
「カシコマリマシタ」
違和感はないが、抑揚があまりないマシンボイス。
見た目はほとんど人間だが、複数の機械の手が付けられているアンドロイドだ。
「クウマ、このオルドビスに来た時は、最初は驚いただろう?」
俺はエディアカランから閉域に戻り、少しの休暇の後にオルドビスに配属された時のことを思い出した。




