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異変③
「あなたは神に選ばれたのですよ。選ばれた子供は全員で七人います。ちなみに私はラースと呼ばれる、憤怒の悪魔」
神に悪魔、まるで安物のラノベみたいな設定。
私はスタンガンを机に置いた。こんなものは今さら役に立たない。
「母さんを殺したのはなんで?」
ラースは首を傾げる。
「悪魔が人を殺すのに理由がいりますか」
なるほど、私はおそるおそるラースに近づいた。
「あなたは普通の人間に見えるの?」
「見えません、触れないし、パワーがある人間だとわかりませんが。まず弱い一般人には認識されないでしょう」
私はこの悪魔と契約を交わさないといけないのか。
ラースは首をゴキゴキならしながら黒い箱を取り出した。黒い箱はふわふわと浮かびながら母さんを飲み込んだ。母さんの体は何層にも減し曲げるように畳まれていく。
不思議に悲しくはならなかった。私は久しぶりに部屋から出た。
そして階段をとんとんと降りて行く。
「絵里ちゃん、凄まじい音がしたけど大丈夫かい?お母さんはどこかな」
母さんの彼氏が半裸で現れた。