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2  ファーストコンタクト

 風はやみ、さっきまでのゴブリンのバカ騒ぎは静まり返っていた。



 俺は目の前の当然現れた女を観察する。



 なぜか女は慌てており、あたりの状況を確認していた。まるで、どこかから飛ばされてきたから状況がよくわからないといった風にだ。



 服装はというとまず、でかいとんがり帽子をかぶっており、その下は・・・胸に布を巻いただけで、腹は丸出し。ふくらはぎの中間までしかないスカート。膝の上まである長い靴下・・・問題の髪は肩までのびていた。やはりどう見てもあの毛にしかみえない。



 なんだこいつは痴女なのか?最近の娼婦でもこんな格好はためらうだろう。髪も卑猥だ。もしかしたらかなりやばい奴なのだろうか?

 しかし今の状況を抜け出す可能性を持つのはこの痴女だけなのは明白だった。俺は痴女に話しかけた。



「おい、そこの淫乱陰毛ヘッド」



 痴女は勢いよく振り向き怒りに満ちた顔で俺に詰め寄った。



「陰毛じゃない!天然パーマなだけ!」



 よかった。どうやら使う言葉は同じのようだ。それと後姿だけで顔を確認していなかったが、全体的に整っていて美しい顔だった。目つきが少々鋭いというところがあるが、それでも十分美しい部類に入る顔だろう。

 表情には子どものような幼さもあるが、大人の女の魅力も存在していた。どうやら年齢は俺に近そうだ。



 しかし、てんねんぱーまというのはなんだ?おそらく髪のことをさしているんだろうが。髪が天然とはどういう意味だ?そういえばこいつの髪は昔、海でみたワカメにも似ている気がする。もしかするとパーマという名前のワカメを海で捕まえて、頭の上に乗っけているのか?

 まぁ今確認することではないだろう。今はこの状況から抜け出すのが先決だ。



「お前、戦えるか?」

「ん?まぁ戦えるけど・・・もしかして助けてほしいの~?」

邪悪な笑みを浮かべる女、こいつが俺に何を求めているのかはわかっている




「あぁ助けてほしい、もし助けてくれるなら礼ははずむ、このとおりだ頼む」

 ロープで縛られているので頭だけをさげる。痴女に頭を下げるのは癪だが、助かるなら何でもする。



「お?意外と素直なのね。気に入ったわ。あんたの誠意に免じて、この私が助けてあげる」



女は振り向き、ゴブリンたちの方を向く。手元に何もなく防具も剣も携えていない姿で女性らしく細い手足だが勇ましく思った。



 うん・・・?今気づいたがこの女・・・武器という物をもっていないではないか?!剣のような戦えそうなものは持っていないし、素手で戦えるくらい鍛えているようにもみえない。



「おい!お前武器は!?」

「ないよ?」



緊迫した俺と違い女は軽い口調で返してくる



「はぁ?!武器なしでどうやって戦うんだよ?!」

「まぁ、黙ってみてなさいって」



女は手挙げゴブリンの方に向ける。



 ゴブリンも少女が何もできないと察知したのだろうか、一斉に少女に襲い掛かる。ゴブリンたちは波のように迫り、少女を飲み込もうとした。

 俺は今から繰り広げられるであろう惨劇を見ないために、顔を伏せようとした。今から少女はゴブリンの波に飲み込まれその体は無残にも切り刻まれ、肉体はどす黒い赤にに染まるのだ。




しかし、その心配は杞憂に終わった




 突然、少女の周りを風が逆巻き始め少女の手の先へと集中し始めた、集まる風はだんだん熱を帯びていき小さな炎へと変わった。小さな炎は集まり続ける風を糧に大きくなり始め大きな炎塊を作り出した。炎は焚火のような包み込むような優しいものでなく、すべてを燃やし尽くす山火事のような荒々しいものだった。

 炎塊は迫りくる波に向けてはなたれ、あたると弾け凄まじい爆風と炎を引き起こし迫り来るゴブリンたちを飲み干した。


 

 炎に包まれたおおくのゴブリンは、のたうち、地を這いずりまわり、そして力尽きた

 間一髪で難を逃れた運のよかったゴブリンは目の前の惨状に呆然とし、仲間が燃えカスとなるのを見届けた



 巣の中は、ゴブリンの焼けた臭いにおいが蔓延し、悲鳴がこだました

 その惨状をおこした張本人がこっちに顔をむけこう言った



「えっと・・・張り切りすぎちゃった・・・てへ♡」

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