この二人のゆうしゃはこの世界の常識を教えてもらうようです
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ブックマークありがとうございます‼
ちょっと試験があるので、更新が遅くなります。
5/28 『冒険者の館』から、『冒険者ギルド』に名前を変更しました。
「…………」
無言の嵐に襲われた広間は、誰も声が出せない状態であった。
「……」
ポカッ
とりあえず、カルシュはカラスを殴っておいた。
力が弱いので、あまり痛みを感じないが。
「なんだよカルシュ?今何かしたか?」
まあ彼は元々痛みなど感じないが。
「オッフォン!では、旅の仕度をしてもらおうでは「待ってくださいヘリム王!」なんじゃ、ゲルマヌ?」
ゲルマヌと呼ばれた兵士がヘリムの言葉を止めた。
先ほどカラスに返り討ちにされたにも関わらず、彼は再びカラスについて意見があるようだった。
「こやつは勇者ではないのですぞ!こんなやつに世界を救う力などがあるはずないではないですか!!」
しかし、彼の意見を掻き消すかのような空気が、部屋の中を駆け巡った。
そして、コツコツという音ともに現れたのは、身長の高い女性だった。ヘリムに負けず劣らずの、割と豪華な衣装を着ていて、化粧を顔に施しているようだが、それでも目の下のクマはごまかせていないようだった。
「あら皆様、ごきげんよう。初めまして、私はガリム・カラレスよ」
「あ、どうも。君が女王だな」
その雰囲気から、カラスは彼女が女王だと見抜いた。
「カラス、敬語教えてやるから黙っててくれ」
「そうですよ、カラス様。黙っていてください」
「わ、分かったよ」
カラスはダイチとカルシュによって黙らされた。
「あらゲルマヌ、広間に来る途中にあなたの大声が聞こえたのですけれど……どうしたのですか?」
「ああ……いや、それはですね……」
「召喚を手伝ったくせに、俺には世界を救えないとか言い出しやがってもが!?」
「黙っていてと言ったじゃないですか……!」
言い淀んでいるゲルマヌに変わり、カラスが今までのことを話した。明らかに事実と違うところがあるのは、彼の精一杯の嫌がらせだろう。
しかし、黙ってろと言われたのに黙らなかった彼は、カルシュに口を塞がれた。
「ゲルマヌ?私に嘘はつかないと、私たちに仕える時に約束しましたよね?」
ガリムは笑顔でゲルマヌに語った。目が笑っていないが。
「わ、分かりました。実は、そこでカルシュに口を塞がれている、カラス・マワタリはこの儀式によって偶然召喚されたのです。ダイチ・カンナギ殿は勇者として召喚されたのですが、カラスは別の意味の『ゆうしゃ』としてで召喚されたらしいのです」
「その意味とは?」
「まだ分かりません。本人が話さないのです」
ガリムはちらっとカラスの方を見た。
しかし、何を思ったのか再び彼女はゲルマヌの方を向いて笑った。にっこりと。
「とりあえず、冒険者カードを持って来なさい」
「わ、分かりました……!」
「冒険者カード……なんだそれは?」
ダイチがガリムに聞くと、彼女は冒険者カードについて2人に簡単に説明した。
「冒険者カードとは、簡単にいうと冒険者のカードのことよ」
「「…………」」
「詳しくは『冒険者ギルド』にいる係員に説明を受けて下さい」
「もがもが(知らないなら言うなよ)」
「カラス様、ちょっとこちらに……」
カルシュはカラスを引きずって、広間の外へと歩いていった。
「女王様、ちょっとカラス様と遊んできます」
カルシュは満面に笑みを浮かべてガリムにそう言った。カラスは目でダイチに助けを求めたが、無視された。
「5分で戻って来なさい」
「了解です」
バタンッ
広間の扉が閉められると、ガリムは何事もなかったように話を再開した。
「カラス殿も馬鹿ですね、光属性の魔法については最強と呼ばれているカルシュを怒らせるなんて……」
「今何か聞き捨ててはならないことが聞こえたように聞こえたんですが……カルシュが光属性の魔法最強って本当ですか?」
ダイチはガリム同様、何事もなかったように話を再開した。
それにしても、二人とも薄情である。原因はカラスにあるのだが。
「はい、そもそも魔法の属性は火、水、風、地、光、闇、無、零の八属性に分けられます。」
「零属性とは?」
「火、水、風、地、光、闇、無のどれにも属さない属性です。というか、魔法と呼べるのかどうかすら怪しいモノです」
「認識はされているんですね」
「はい、ですが誰も使う者がいないため、認識はされているのですが、記録はもう残っていないのですよ」
「記録無しですか……」
「ちなみに無属性とは?」
「零属性以外の中で最強と呼ばれる属性です」
ちなみに強さは、火は水に強く、水は風と地に強く、風は火と水に強く、地は風に強い。さらに火は地が、光は闇がお互いの弱点である。無属性の弱点は零属性だけで、他の属性は無属性の敵ではない。さらに無属性だけは特殊で、他の属性と掛け合わせることができる。
例えば、火属性と無属性を掛け合わせれば、無炎属性ができる。さらに、水属性と無属性で無水属性。風と無で無風属性。地と無で無地属性。光と無で無光属性。闇と無で無闇属性。零と無で無零属性。ただし、無零属性は零属性を使う者がいないため、今まで無零属性を獲得したものはいないのだとか。
「じゃあ、さっきゲルマヌさんが、火属性と風属性を掛け合わせたような魔法を使ってましたが、それは……?」
「炎竜巻のことか?あれは火属性だ。風属性は別に竜巻が存在しているな」
ヘリム王はその知識があるらしく、ダイチの疑問に答えた。
つまり、先ほどの魔法は、火属性と風属性を掛け合わせたものではなかったということである。
カラスめ、嘘をつきやがって……
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~5分後~
「たっだいまー!」
「カラス殿!?カルシュはどうしたのですか!?」
「あ、女王。カルシュならここに……」
5分後、広間に目を回したカルシュをカラスがズルズルと引きずって帰ってきた。扱いが酷い気がする。
「カラス殿、光属性魔法最強のカルシュに、魔力切れを起こさせるってどんな遊びをしてたんでしすか……?」
「最強?なるほど。通りで無詠唱を連発してくると思った」
「カラス、具体的にはどんな攻撃がきたんだ?」
ダイチは、彼とカルシュの戦いに興味を持ったのか、興奮ぎみに聞いてきた。
「無詠唱で極太ビームが間髪入れずに連続で。後で俺たちが戦った場所を覗いてみれば分かるぞ。確か……中庭だったかな」
「ああ、この城の中庭はよく模擬戦で使われますからね。ちなみに、早く見に行かないとその跡消えますよ?自動修復の魔法が掛けてあるので」
ダイチは女王の言葉に、中庭へ急いで向かっていった。
数分後、ダイチは戻ってきた。どうやら中庭に行こうとしたところ道に迷ってしまったようだ。お目当てのものは見付けられなかったため、暗い顔で戻ってきたのは知らなくてもいい情報だった。
「カラス殿、魔法の属性やこの世界の歴史については……?」
「それなら、そこで気絶してる魔法使いに聞いたよ」
「あの5分間で、ですか?」
「5分間というか、あの中庭では時間がすっごく引き延ばされてたからな……時間結界で」
「時間結界ですか?中庭ではそんな結界、掛けられていなかったような……」
女王は顎に人差し指を当てて考える。
その様子を見て、カラスは慌てて言った。
「いや、その結界実は元々掛けられていたんだよ」
「なるほど、今度調べてみます」
「女王様、冒険者カードを取ってきましたぞ!ってカルシュ殿!?いったいどうしたのですか!?」
先程ガリムから言われて冒険者カードを取りに行っていたゲルマヌが、気絶しているカルシュを見て声を上げた。
「安心してください、遊び疲れただけです」
「遊び……ああ、誰を相手にしたのですか?」
ゲルマヌは、カルシュの言っていた『遊び』の意味を知っているらしく、顔は笑っているが青ざめさせながら聞いた。
「はーい、俺でーす」
カラスはわざとらしく手を上げて、ニヤリと笑った。
「…………」
ゲルマヌはついに無言になった。
彼は気づいてしまったのだ。こいつにかまっていたら、話が一向に進まないということに。
「じゃあ、冒険者カードついて説明しますね。まず、この冒険者カードは、自身のレベル、HP、MP、スキルなどといった、自分の情報を見るための物であり、自分の冒険者ランクを確認するための物です。冒険者に登録するには、自分の血をこのカードに垂らしてください」
女王の言葉に、2人は何の躊躇もなく、ゲルマヌの持ってきたナイフを借りてカードに血を垂らした。
空進にいたっては血液が流れていないので、特殊な方法で垂らしたが。方法は聞かない方がいいだろう。知りたい?まず、ナイフでゆっくりと自分の左手の人差し指を切り落とし、その切り口をカードに押し当てて終了。人差し指は《戻れ》と念じれば元に戻るので、人差し指を戻して完了。簡単でしょう?
これを見ていたダイチは耐性が無かったのか、目を逸らしていた。
他の四人は別に何ともなかった。
「私は女王になる前は、冒険者をしていたのですよ。こういう光景なんか日常茶飯事でしたよ」
「私は一応光属性の魔法使いなので、そういう人たちを何人も見てきました。回復魔法をかける際、そういう方が数名おられましたので」
「わしはガリムとパーティを組んでいたからの、ガリムと同じじゃ」
「おれは王と女王の護衛をしているとき、襲ってきた盗賊を何人も返り討ちにしてきたから、別に何ともないな」
ガリム、カルシュ、ヘリム、ゲルマヌはそれぞれそんなことを言った。
だからといって、自分の指を躊躇なく切り落とすのはどうかとダイチは突っ込みたかった。
しかし、ダイチはふと思った。
「えっと、ゲルマヌさんの言ったことってもしかして、人を殺したとかそういうことですか……?」
彼はゲルマヌの言葉に違和感を持ち、おずおずと聞いた。
「当たり前だ。ただし、それはやむを得ない時だけだ。しっかりとした理由が無ければ殺してはいけないし、気にさわったからという理由で殺しても駄目だ。正当防衛など自身を守るためなら殺しても良いというのが、この世界の常識だからな」
「そう……ですか……」
大地は自分が人を殺している姿を想像し、顔を青ざめさせた。
「ダイチ様は人を殺したことは無いのですか?」
カルシュはダイチに聞くと、彼は小さく頷いた。
「僕の世界では、人を殺すことは犯罪なんだ。それに、人を殺したいと思ったことも、考えたこともない」
「カラス様は?」
「…………まあ、あるって言えばあるけどねー」
「あ、大体分かりました。要するに、無いけどあるって言えば何とかなるかもしれないっていうことですね」
「まあ、そういうことにしておいてくれ」
カルシュが言ったことは、カラスにとって的外れなことだが、自分のことをまだ話すことをしないカラスはその事を言わないでいた。
「さて、話が逸れました。冒険者になるということは、もちろん人や魔物を殺すことも出てきます。生きるために生き物を殺す。そういう覚悟はありますか?無理矢理召喚した私たちが言うのも図々しいと思いますが、鬼魔王を倒すという覚悟はありますか?」
女王は二人に真剣な顔で聞く。
「俺は覚悟はあるぜ。怖くないからな」
カラスは言う。どこからそんな自信が出てくるのか分からないが。
「僕は…………」
「ダイチ、召喚されたんだから、覚悟を決めちゃいなよ。どうせ(お前は)帰れないんだし」
「帰れないんですか!?」
「ああ、すまぬ。元の世界へ帰す手段は無いのじゃ」
「そうですか…………」
ダイチはヘリムの言葉を聞くと、俯いて考え込んでしまった。それもそうだろう。呼び出されたあげく、生き物を殺す覚悟を決めろと言われたのだから。
ダイチは少し考え、そして顔をあげると言った。
「覚悟を決めました。僕は、鬼魔王を倒します!!」
「では早速、旅の準備を始めなければならぬな」
「少し待って下さい」
ヘリムは旅の準備をしようとしたがガリムに止められ、2人にステータスを確認するように言った。
「ステータスを確認するには、どうすればいいんだ?」
「ガードの真ん中に人差し指を乗せて、『ステータス』と念じれば出ますよ。ちなみにこれは自分にしか見えません」
カルシュが説明してくれた。
「なるほど、では」
2人は同時に『ステータス』と念じた。
そこに出てきたカラスのステータスは、所々おかしかった。
空「始まりましたー、後書きを乗っ取る会ー」
大「なんか適当だな……」
空「黙らっしゃい。ていうか、なんでまだいるんだよ」
大「お前の秘密を暴こうかと「黙らっしゃい。今日のゲストは君じゃない。カルシュだ(空)」」
カ「どうも、カルシュ・ホワイツです」
空「カルシュはだな、俺と戦って普通に負けた、光属性魔法最強の魔法使いだ」
カ「うっさいですね、黙っててください」
大「ところでカルシュ、お前はいつ頃復活したんだ?」
空「ダイチ、そこは聞いてはいけないところだ」
カ「気絶なんてしてませんよ?」
空「ほら、頑張って目を逸らしているけど笑顔を保とうとしているじゃないか。こう見えて実はプライドが高くて、俺がコイツの攻撃を軽く避けると子供っぽく「それ以上言うと怒りますよ?(カ)」とまあ、こんな感じだ」
大「…………」
カ「ダイチ様、なぜ私をそのような目で見るのですか?」
大「いや、苦労してるんだなーって」
カ「いや、仮にも私は光属性魔法最強のって頭を撫でないで下さい!!」
空「ダイチ、嫌がってるからやめてやれ」
カ「そういうカラス様も、一緒になって撫でないで下さい!!」
空「いやー、心が和むねぇ」
カ「~~~~っ!!」
大「え、あれ?」
空「よしダイチ、逃げるぞ!」
大「え、なんで!?」
空「怒らせると最上級の光属性魔法をぶっぱなしてくるからだ」
大「よし、逃げよう」
カ「あ、こら!待ちなさい!!」
空・大「「ではまた次回!!」」
カ「次は逃がしませんよ!!」