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異世界遊者~異世界に召喚されるのは一回だけじゃない!!~打ち切り  作者: 咲日彩 椋
第一章 召喚された人国での出来事
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ゆうしゃ召喚!

読んでくれると嬉しいです。


誤字脱字などありましたら、指摘お願いします。


4/6 炎竜巻(ファイア・トルネード)炎竜巻(フレイム・トルネード)に変えました。


試験があるので、更新が難しいです。

 ここはハリル。


 剣と魔法があり、人族の他に魔族や獣族など様々な種族が住む世界である。

 この世界には5つの国がある。


 人間が住む人国(ヒュストル)


 猫人や犬人などが住む獣国(ビストル)


 知性のある小鬼(ゴブリン)悪魔(デモン)などの魔物が住む魔国(デモストル)


 エルフやダークエルフ、そして妖精などが住む妖精国(フェアリストル)


 種族関係なく、様々な人種が集まって住んでいる幻国(ファストル)である。


 幻国は本当に存在するのか分からないが、ある冒険者の記述から存在が認められている。


 現在このハリルに存在する五国の内、人国はある危機に瀕していた……鬼魔王(オーガ・デビルス)の侵略である。

 鬼魔王は魔国に住んでいるという仮説を立てた人間がいたり、魔王なのだから魔国を攻めれば良いとか言う人間もいたりしたが、魔国の住人は人国の住人よりも桁違いに強く、とてもではないが人国の人間では攻めることができそうにない。訓練すればできると考えている人間もいたが、レベルにも限度があるし年齢や身体にも限界がある。


 そこで人国の王、ヘリム・カラレスと人国の女王、ガリム・カラレスは人国会議で勇者を召喚することに決めた。

 しかしそこである問題が発生する。

 召喚された勇者を、元の世界に返す方法が無い。

 だが、国は今現在危機に陥っている。だから、その問題は後回しにされた。


 勇者召喚は早速行われた。

 召喚の魔法を行使するにあたって、召喚魔法がずば抜けている人材を1人でも多く集めた。

 ヘリム王は宣言した。


「今回集まってもらったのは他でもない、この人国を救うための勇者を召喚するためじゃ。今から召喚する勇者はこの世界とは別の世界から呼び出す人間じゃ。だからこの世界のことは全く分からんとわしは思う。勇者を召喚することも前代未聞じゃ。じゃから、何があっても勇者を手助けするのじゃ!」


 勇者召喚が始まった。


----------------------------------


 学校へ続く道を、1人の高校生が歩いていた。

 名前は神薙大地(かんなぎだいち)。今年で高校3年生である。身長はクラスの中で4番目に大きい、168cmで、顔はどちらかと言うとイケメンと言うわけでもなかった。唯一特徴があるとすれば、いつも怒っているように見える目だろうか。後は……足が早いということだけだろうか。

 髪の色は短くこげ茶色でクセがあり、毛先は不規則に丸まっていた。本人は毎日直さなくてはいけないと嘆いているが……。


 ダイチは友達がいない。親友と呼ぶことのできる人もいない。ボッチである。足が早いため、注目されてはいだろうが、ボッチであった。もう1度言うが、ボッチであった。

 さらに、親と呼べる人間もいない。

 彼は中学生の時に両親を亡くしている。家にハンドル操作を誤ったロードローラーが突っ込むという、最悪な事故だった。偶然……そう、偶然である。彼は友達と遊びに行っていたため助かった。


 ダイチは両親が亡くなると、笑顔を見せなくなった。


 高校生になると、中学生の頃の友達は別の高校へ行ってしまい、そのまま連絡を取り合うことも無く自然消滅となってしまった。そして、笑顔を見せない挙句、両親の死のショックか人に冷たくなってしまったため、新しく友達を作ることができなかった。

 ダイチは無言で、他のクラスメイトが自分の友達とふざけあいながら帰っているところを横目に、1人溜め息をついた。


 異変はその瞬間に起きた。

 地面が光りだしたのである。


 彼は最近になって異世界モノの小説を読み始めたため、光りだした直後は思考が停止していたが、光っている地面何 か模様が描かれていることに気が付くと、再起動したかのように思考が復活した。そして知った。自分がどこかに召喚されそうになっているということを……。

 抜け出そうと思ったが、身体が思うように動かなかった。頭も焼けるように熱くなり、意識が朦朧として来ていた。

 そして、光が自分の身体を包み込むのと同時に、意識を失った。


----------------------------------


「ヘリム王……成功したようです……!」


 召喚魔法を行使していた集団の中の1人が、召喚するために床に描かれた魔法陣に人が現れたことを確認し、息絶え絶えに王に告げた。

 ヘリムはそのことを自分も確認しに行くと、確かに人はそこにいた。



 2人も。



 召喚された人物は気を失っているようだ。倒れている。


「大変じゃ!お前たち、今すぐこの2人を客人用の部屋で介護するのじゃ!!」

「「分かりました!!」」


 ヘリムの命令によって、召喚された2人は兵士の手によって運ばれて行った。

 彼はこの状況に驚いていた。


「あなた、確か召喚される勇者は1人のはず……そうよね?」


 召喚の様子を見ていたガリムはヘリムに聞いた。

 ヘリムは彼女の問いに、重く頷いた。

 初めての召喚といっても、初めからイレギュラーなのはおかしい。

 この召喚が行われた部屋にいる全員は、そう思った。


----------------------------------


「ん…………み「見慣れない天井だな」僕が言おうとしていたのに!?」

「ひゃっ!?」


 2人が目を覚ましたのは、2人が召喚された次の日の朝だった。

 お気まりの台詞を言おうとしたダイチは、自分の台詞を取られたことに叫んだ。

 最初に目を覚ましたのはカラスである。で、その次がダイチである。


 ダイチは自分の台詞を取られたと思っているようだが、カラスは正直に自分が思ったことを言っただけであり、別に意地悪をしたわけではない。偶然だ。


 ダイチの大声に驚いたのか、大地の近くから若い女性の声が聞こえた。

 二人が目を向けると、そこには真っ白いローブを着た白髪の若い女性がいた。

 その女性は大地の寝ているベッドに突っ伏して寝ていたらしい。


「あ、目が覚めたのですね!!」

「お前は誰だ?」


 女性にダイチは少し警戒しながら聞く。


「そんなに警戒なさらなくても大丈夫ですよ。私はカルシュ・ホワイツ、あなたたちの介護を任された者です。あなたたちは私の国に召喚されて、その反動に耐え切れなくなって意識が無くなったようですから」

「召喚だと……ということは、僕はこの世界を救うために召喚されたということなのか!?」

「あれれ……もう知っているんですか?」

「知ってるも何も、僕の世界にはそういう本があるからね」


 カラスの言葉は何も言わない。まるで空気だ。

 カルシュは大地の言葉に少し驚きつつも、ダイチの説明に興味を示して聞き入っていた。


 カラスは思う。暇だな……と。

 ダイチはいつの間にか警戒を解いていた。


「つまり、えと……」

「ああ、紹介が遅れたな。僕は神薙大地。この世界だと、最初が名で最後が姓なのか?」

「はい。そうですよ」

「じゃあこの世界では、ダイチ・カンナギだな」

「ダイチ様ですね……つまり、あなたたちの世界では自分自身が住んでいる世界から魔術や魔法により、他の世界に召喚されてしまうという日記みたいな本があるということなのですね!」

「日記というより、フィクションの物語なんだけどな……」

「ふぃくしょん?」


 カルシュの至った答えに、大地はどう伝えたらちゃんと伝わるか頭をひねっていた。


「カルシュと言ったよね。つまりダイチの世界では、その話は作り話で、現実には起きること自体があり得ない話なんだよ」

「つまり……あれ、誰でしたっけ?そもそもいましたっけ?」

「なぜ俺とダイチとでは対応が違うのか聞きたいね」


 カルシュは大地の時と同じように詰まった。いや、そもそも存在すら忘れていた。

 そのことに関して、小一時間問い詰めたいと密かに思ったカラスだった。


「俺はク……いや、間渡(まわたり)空進だ。この世界ではカラス・マワタリだな」

「カラス様はなぜそのように考えるのですか?」


 カルシュは不思議そうに聞いた。


「えーっと……なんでだろうな?」

「カラスといったか?お前は小説を読んだことがないのか?日本出身なら読んだことがあると思うんだけど」


 ダイチはカラスに不思議そうに聞いた。

 カラスはダイチに自分の出身を言った。


「ああ、悪いな。俺は『ニッポン』っていう世界の出身じゃないんだ。その世界とは別の世界から召喚されたんだ。だから、その小説とやらを見たことがないし、聞いたこともない」

「日本は世界じゃなくて、国なんだが……なるほど、僕とは別の世界から来たのか。だから知らないし、見たことない……ふむ」


 ダイチはカラスの言葉に納得した。


「じゃあ、理由が無いようなので、カラス様の考えは無効ということでーー」

「待て待て、今理由がわかった。簡単に言うと、何度も繰り返し召喚されている人が『ニッポン』にすでにいないからだと思うぜ」


 カルシュがカラスの考えを否定しようとしたところで、カラスは急いで割って入った。


「繰り返し召喚されているってどういうことだ?」


 ダイチは不思議そうに首を(かし)げる。

 カラスはできるだけ自分の年齢のことに触れないように説明した。


「実はだな、俺の母さんが体験したらしいんだが……異世界で召喚が行われるたび、自分がいるその地面が光るらしいんだ。その光った地面には何か幾何学的な模様が描かれてるらしいぜ」

「幾何学的な模様だと?」


 ダイチはカラスの言葉に、ふと思い当たる節があった。

 自分の意識が遠退く前に、足下に何か模様が描かれていたことを思い出したのだ。


「俺もそんなような模様を見た気がする……が、それのどこが繰り返し召喚されているということに繋がるんだ?」

「繰り返し召喚されていても、幾何学的な模様が描かれているということに気づいたり、教えたりすることができない。

 なぜかって、すでに死んでいるからな。

 死んでいれば、誰かに伝えることもできないだろう」

「…………ああ、なるほど。分かった気がします」


 カラスの説明にダイチはまだ分かっていないようだが、カルシュは分かったようだ。


「つまりこういうことですね。


 大抵普通に召喚された人は、召喚されたということを咄嗟に判断できず、幾何学的な模様……私たちでは魔方陣と呼ばれるものですね、そういうものが描かれていることに気づかない。

 だけど、何度も召喚されている、もしくは召喚されそうになっているという者ならば、その地面に何が書いてあるか気づく。しかし、それに気づいても亡くなっているから、伝えることができない。


 カラス様はそういう風に言いたいのですよね?」

「正解だ」


 カルシュはカラスの言いたいことを簡単にまとめあげた。

 彼女はこの会話を聞いていると、まるで段々二人とも説明が苦手かのように聞こえてきた。旅に出るときは説明上手な人間が必要だなー、とこっそりと考え始めていた。


「では目も覚めたことですし、ヘリム王のところにでも行きますか」

「ヘリム王?」

「誰だ?」


 カルシュは立ち上がって言った。しかし、2人はカルシュの言葉に首を傾げた。


「この国の王様です。あなたたちの国には、王様はいなかったのですか?」

「いや、王様ではなかった。僕の国では、争いとかそういうものを嫌う国だったから、王様っていう役割の人は無かったな……」


 ダイチはテレビや新聞を見ない人間だったので、世間の話には疎いのだ。


「俺の世界は……そもそも偉い人がいなかった。というか、王様じゃないのに偉そうな人はいた。俺の祖父母とか、母さんとか」

「要するに、そういう人はいないのですね」

「……まあな」

「なぜ目を逸らすんだ……?」


 そこについては、カラスにとって踏み込んで欲しく無いところだったりする。踏み込み過ぎると、実は神様と知り合いでしたなんていう事実が発覚しかねないからである。


 ……余談だが、今現在カラスの母と祖父母はくしゃみをしているだろう。


「それでは王様のところへ向かいます。私についてきて下さい」


 カルシュに促され、2人はこの国の王に会うことになった。


----------------------------------


「初めまして、俺がカラス・マワタリだ」

「王に向かってなんたる無礼!!」

「待て待て!!」


 カラスがヘリムに挨拶すると、ヘリムの近くにいた鎧を着て剣を持った男が斬りかかってきた。

 剣を左手で白羽取りした空進は、ダイチに振り向き不思議な顔でそう聞く。


「なあダイチ、今俺の挨拶のどこが変だったんだ?」

「……」

「あれ?ダイチ、ダイチー?」


 空進は大地に聞くが、反応が無い。口をあんぐりと開けて固まっている。

 ということで、もう一方の右手を顔の前で振ってみた。


「はっ……何が起こったんだ「反応遅いですよダイチ様!」ごめん、いきなりのことに頭がついていけなかった」


 どうやらカラスの行動を見て呆気にとられてしまったらしい。


「で、ダイチ。俺の挨拶の仕方、何か変だったか?」


 なぜそこで近くにいるカルシュに聞かないのか……カラスはダイチの反応を待つ。


「どこがって、全体的にだよ。相手に対して敬意が足りない。そもそも、カラスは敬語を知らないのか?僕でも知ってるぞ?」

「悪かったな、敬語なんて言語があることすら知らなかったんだが」

「いやお前マジでどこから来たんだよ」

「悪かった、そんなに怒るな」

「この目付きは元からだ」


 カラスは兵士のことを忘れていないだろうか。剣を持つ手が震えてきている。顔も真っ赤だ。


「ぐぬぬ……《炎よ我が敵を炙り欠片残さず焼き尽くせ――炎竜巻(フレイム・トルネード)》!」

「お?」


 兵士は魔法を使ったようだ。まるで風属性と火属性の会わせ技のようだとカラスは考えた。

 そして、カラスは間近でこれをくらった。

 炎の竜巻は彼を焼き尽くさんと中に閉じ込めた――はずだった。


バンッ!!


 何かが破裂する音がした。炎でできた竜巻が内側から破裂したのだ。

 周りの人間たちは何が起こったのか分からなかった。


「のう、お主らの出身の世界のことを聞いても良いかの?」


 今の出来事を見ていたヘリムは、そんなことをカラスたちに聞いてきた。

 炎の竜巻が破裂した光景を見ていても、汗一つかかないこの王様は、実に肝が座っている。


「ぼ、僕らの世界には、まず魔法というものがありません。今使われた魔法?はもちろん、その他の魔法も架空のものとされています」


 ダイチは自分の世界のことを語り始めた。


「では、お主は魔法を初めて見たということかの?」

「はい、そういうことです」

「ふむ、ではもう1人の「嫌だね」」

「なんという無礼な人間だ!」

「まあ良いではないか」


 ヘリムは男なだめるが、男は今にも斬りかかって来そうだ。

 いや、先ほど斬りかかったが、そのことを思い出して踏みとどまった。


「俺は例え王様でも、自分のことは話さねぇよ。そうだな、君らが俺たちに今から頼むことを聞いたら少しずつ話していってやるよ」

「は?それはどういうことじゃ?」


 ヘリムはカラスから言われたことを聞き返した。まだ何も言っていないのに、要件が伝わっているのはあり得ないからだ。


「ん、違うのか?何か重要なことがあるから、俺たちを召喚したんじゃないのか?」

「そこまで分かっていたのか……ならば話が早い。実はお主らに助けてほしいのじゃ」

「「は?」」


 ヘリムは2人に語った。鬼魔王に人国が狙われていることを。鬼魔王を倒すためには魔国に乗り込まなければならないことを。だが、魔族は人族より遥かに強いことを。


「だから、勇者を召喚したわけですね」

「召喚された異世界人は、この世界の住人より遥かに高い力を持つからか」

「そうじゃ。じゃが……召喚されるのは1人なんじゃ。もう1人はなぜ呼ばれたのか分からんのだ」


 ヘリムたちは今回起こったイレギュラーに頭を抱えた。とその時、カラスはこの問題の答えを言った。


「そりゃそうだろ。意味は違っても、『ゆうしゃ』は『ゆうしゃ』なんだから」

「は?それはどういうことじゃ?」


 ヘリムはカラスの言ったことが分からなかった。ヘリムだけではない。周りにいたダイチやカルシュ、そして兵士やその他人々も分からなかった。


「簡単だ。俺は『遊者』であって『勇者』じゃない。要するに、俺は巻き込まれた存在なんだよ。勇者召喚の儀式にな」

「…………」


 カラスの言葉に、辺りは無言の嵐に襲われた。

空進「後書きを乗っ取る会、始まったぜ。今回のゲストはダイチ・カンナギだ」

大地「おう、僕が大地だ」

空「いやー、召喚されちまったな」

大「そうだなーって待て、なんでお前まで召喚されたんだよ」

空「遊者ですから」

大「いやいや、おかしいだろ」

空「どこがかね、ダイチどの?」

大「どこがって全体的にだ。なんで目上の人に敬意払わないんだよ」

空「目上?残念だったな。俺に目上の人はいない」

大「いやいや、最低でも一人はいただろ」

空「実はその最低でもに入ってないんだな」

大「なんだと?じゃあ目下の人は?」

空「……まだいないぞ」

大「まだってなんだよ、まだって」

空「なんのことかな」

大「ふざけんな」

空「とりあえず、対等な立場の人しかいなかったんだな」

大「こんなバカな話がありえてたまるか!!」

空「ダイチ、現実を見ろ。俺と君は世界が違う。人間関係も違うんだ」

大「いやそれは世界云々の話じゃなく、一人一人の話であって「さて今回はここまでにしておこうか(空)」逃げるな!おい、目を逸らすな!!」

空「では、また次回」

大「次こそ聞き出してやるからな!!」

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