出会い
真っ青な空。ざわめく人々の声。数えきれないほどの人々が行き交うナイトーラ国王都の主道の一つカグナレ。
人々の中をみすぼらしいフードを着た子供が頼りない足取りで歩いていた。
何かを探しているのか、辺りをキョロキョロと眺めている。
ドサッ。
人にぶつかり、子供は自分の体を支えきれずによろけ、尻餅をついた。
行き交う人々は自分の事に忙しく子供を気にかける者はいなかった。
ペロッ。
思わず頬を流れた涙を何か温かな物が舐めた。
驚いて見ると隣にいたのは、茶色のふさふさとした毛を持つ犬。
「大丈夫か?坊主」
声をかけたのは、主道に店を出している店主。
頷いた子供に店主は手招きをした。
子供を守る様に犬は少し先を歩いた。
「怪我はないか?」
確かめる店主に子供は頷いた。じっと店主の顔を見た後、子供は堪えきれない涙を溢した。
「おじさん。俺、妹を捜してるんだ」
半分涙のにじんだ声で子供は訴えた。
「拐われたのか?」
同情した様に店主は尋ねた。
「俺、近くにいたのに、守れなかったんだ」
ぎゅっと手を握り締め、拳でぐいっと流れ始めた涙を拭いた。
「父さんも母さんも兄ちゃんも皆、もう見付からないって諦めてるんだ。絶対、妹は生きてるのに」
悔しそうに子供は言った。
「誰も見てなかったのか?」
「…馬車を見たんだ。妹がいなくなった時に。父さんも母さんも信じてくれなかった」
優しい犬の主は?