第1話―告白―
「ねぇ、叶。好きな人とか、いないの?」
「う、ん?好きな人かぁ・・・ そういうの、今はいいや。面倒だし」
昼休み。
私と心愛は、自教室でお弁当を食べていた。
心愛は、教室内でじゃれ合っている男子を横目でチラチラ追いながら、オムライスの最後の一口を食べようとしている。
「そっか。面倒なんだ」
ふーん、とどうでも良さそうにつぶやく。
「心愛は?また新しい彼氏とか・・・出来たの?」
「ううん。・・・あっ、そうだ」
ふと何かを思い出したように、鞄の中を探ると、デザート用にとっておいたのか、プリンを取り出した。さっきコンビニで買ったんだ、とニコニコする心愛。
「あのね、梅野が好きだって」
・・・んっ?
「何、プリン?あぁ、美味しいよねコレ。超クリーミー」
「だよね!超美味しい!あたしコレ大好きっ」
心愛は嬉しそうに言う。
「でもね、残念。梅野がね、叶のこと好きなんだって」
え、梅野って・・・梅野陽太?
私?何で?
「叶のこと好きだから、良かったら付き合って欲しい、って言ってたよ」
心愛は、教室の隅でじゃれ合っている本人、梅野陽太を見る。私もつられて顔を向けると、梅野くんはそれに気づいたのか目を逸らした。
窓を開け放しているせいか、髪をなでる風が心地良い。
「え、でもさ。梅野くんと話したこと・・・無いよ?何で私?」
「分かんない。本人に聞いてくれば?」
適当に返された。
心愛は ふふっと笑って、梅野くんを手招きする。
「梅野ー。ちょっとこっち来てっ」
え、何?ちょ、待ってよっ!
梅野くんは、心愛をちらっと見て、その後私にまっすぐ向き直った。
周りの女の子たちからの視線が痛い。
「高城。渡辺から聞いたと思うけど・・・そういうことだから。オレ、高城のことが好きだ。良かったら付き合ってくれる?」
真っ黒の髪に、くりくりした大きな瞳の、はっきりした顔立ち。運動神経が良いらしく、サッカー部ではキャプテン、常に女の子のファンが付いてるっていう噂の梅野くん。見た目も普通に格好いいし、性格も良さそうだし、人気だし。そんな人が私を好いてくれてるだなんて、信じられなかった。
「返事は今すぐに、とか言わないから」
梅野くんはそれだけ言うと、さっさと友達の所に戻っていった。するとその友達は、事情を知ってるのか何なのか、梅野くんを冷やかしている。梅野くんはただただ苦笑い。
「梅野、いい人だよ。優しいし」
心愛は梅野くんを目で追いながら、私に言う。
「え、でも・・・」
私たちをじっと見ている女の子たち。きっと、梅野くんのことが好きな子たちなんだろう。私なんかよりずっと前から梅野くんを「み