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第一現場~人生の終わりと始まり~

プロローグ


「……また崩落かよ」


ノノベヨシトは、ヘルメットを押さえながらため息をついた。


現場は山間部のトンネル工事。

雨の影響で地盤が緩み、仮設支保工が持たずに一部が崩落した。


「排水計画、甘すぎだろ……」


誰に言うでもなく呟く。

だがそれを改善する時間も予算も、現場には与えられていない。


——安全より納期。

——合理性より慣習。


それが彼のいる“現実”だった。


「ノノベさん!中確認行けますか!」


「……行きます」


ヨシトはライトを点け、崩落部へと足を踏み入れる。


そのときだった。


ゴゴゴゴゴ——!!


「なっ……!」


二次崩落。


視界が土砂に埋まり、音が消え、意識が途切れた。



第一章 土木知識、チートでした


目を開けると、そこは森だった。


「……は?」


見慣れたコンクリートも重機もない。

代わりに広がるのは、手つかずの自然。


「ここ……どこだよ……」


体を起こそうとした瞬間、頭に情報が流れ込む。


——ノノベヨシト。死亡。転生。


「……いやいやいや」


だが否定する間もなく、背後から声がした。


「目、覚めた?」


振り返ると、一人の少女がいた。


透き通るような銀髪に、どこか不思議な雰囲気。


「私はユワ。あなた、森で倒れてた」


「……えっと」


ヨシトは深く考えるのを一旦やめた。


まずは状況整理だ。


・知らない世界

・言葉は通じる

・服装も変わっている

・そして——


「インフラ、ゼロじゃねぇか」


目の前の村を見て、確信した。


道はぬかるみ、排水もなく、建物は歪み、明らかに非効率。


「……なるほど」


ヨシトはゆっくり立ち上がる。


「これは——勝ったな」



第二章 “整備”という名の革命


数日後。


ヨシトは村に滞在していた。


そして確信する。


この世界、土木レベルが低すぎる。


「まず排水だな」


村の広場に溜まる水を見て、ヨシトは言った。


「そんなの無理だよ。雨降ったら溜まるもんだし」


ユワが首を傾げる。


「違う。溜まるように“なってる”んだ」


ヨシトは木の枝で地面に線を描く。


「ここに溝を掘る。勾配つけて、水を逃がす」


「……できるの?」


「できる。ていうか普通やる」


半日後。


簡易的な排水路が完成した。


そして——


ザァァァァ……


雨。


だが水は溜まらない。


すべて流れていく。


「すごい……!」


ユワが目を輝かせる。


村人たちもざわつく。


「魔法か……?」


「違う。技術だ」


ヨシトは淡々と言う。


「再現できる。誰でもな」


その瞬間だった。


「面白いことしてるじゃないか」


振り向くと、一人の男がいた。


整った服装、だが目は冷たい。


「俺はOKABE。この村の管理を任されてる」


「……管理?」


嫌な予感がした。


「余計なことはするな。バランスが崩れる」


「……は?」


ヨシトは眉をひそめる。


「この村は“このままでいい”んだよ」


——停滞を維持する側。


ヨシトは直感した。


こいつは敵だ、と。



第三章 仲間と野望


その夜。


「絶対あいつおかしいだろ」


焚き火を囲みながらヨシトは言った。


「OKABEは昔からああだよ」


ユワが少し悲しそうに言う。


「変化を嫌うの」


そのときだった。


「いや、違うな」


低い声。


振り向くと、大柄な男が立っていた。


「アイツは“変化されると困る側”だ」


「誰だあんた」


「だいち。元兵士だ」


彼はどっかり座る。


「この村、ずっと搾取されてる」


「……やっぱりな」


ヨシトは苦笑する。


「だったら簡単だ」


「何が?」


ユワが聞く。


ヨシトは即答した。


「インフラ整備で、全部ひっくり返す」


「……は?」


「水、道、建物。全部改善する」


「そんなこと……」


「できる」


断言だった。


「俺、土木エンジニアだから」


そのとき、もう一人が現れる。


「なら、手伝おうか」


静かな声。


細身の男。


だが、ただ者ではない気配。


「シュウゴだ」


だいちが言う。


「この辺じゃ最強」


「戦闘担当ってことか」


「まぁな」


ヨシトは笑った。


「最高じゃん」


技術、仲間、そして課題。


すべてが揃った。


「——この世界、作り直すぞ」



だがヨシトはまだ知らない。


OKABEがただの管理者ではないことを。


そして——


この世界そのものが、

“崩壊寸前の構造物”であることを。


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